ポジティブとは「積極的・肯定的であるさま」を指す言葉です。
ポジティブな人は、喜び・楽しさ・幸福感などの“ポジティブ感情”を感じる頻度や割合が多く、幸せな人生を送ることができます。
多くの人が、自分もそうなりたいとポジティブになる方法を探しています。しかしながら「実践しても、うまくいかない」という声が少なくありません。
その理由は「前向きになる努力」だけでは、ポジティブな人にはなれないからです。詳しくは本文で解説しますが、フィジカル(体)とメンタル(精神)の両方からのアプローチがカギとなります。
本記事では、きちんと理解して取り組めば必ず変化を実感できる「ポジティブになる方法・習慣」を、わかりやすく解説します。
本記事のポイント
- ポジティブとはどういうことか基礎知識から解説
- ポジティブになる方法論を具体的にお伝え
- 今日から実践できるヒントが満載
「ポジティブってどういうことか知りたい」
「自分もポジティブに変わりたい」
…という方におすすめの内容となっています。
この解説を最後までお読みいただければ、ポジティブになるために何を・どうやるべきなのか、体系的に理解できるようになります。
ポジティブになろうとして挫折したことのある方も、ぜひ本記事の内容をもとに再チャレンジしてみてください。今までとは違った結果が得られるはずです。
目次
1. そもそもポジティブとはどういうことか
最初にポジティブとは何か、基本の知識からご紹介します。
1-1. ポジティブとは?意味・定義
「ポジティブ」の辞書的な意味は、以下のとおりです。
積極的であるさま。肯定的であるさま。
出典:日本国語大辞典
ポジティブな人とは「積極的・肯定的な人」と言い換えることができます。
ポジティブの反対語は「ネガティブ = 消極的・否定的」となります。
もう少し詳しく感情レベルで見ると、ポジティブな感情とネガティブな感情は以下のように分けられます。
ポジティブ感情 | ネガティブ感情 |
|
|
参考:What are Positive and Negative Emotions and Do We Need Both?
※ 補足として、ポジティブには「正の」「陽性の」といった意味もあります。
(1) 積極的.肯定的
(2)【数学】正の
(3)【医学・生理】陽性の
(4)【電気】陽極.⇔ネガティブ
(5)【写真】陽画.ポジティブフィルムの略.出典:情報・知識 imidas
たとえば、新型コロナウイルス感染症のPCR検査の「陽性/陰性」は、英語では「ポジティブ/ネガティブ」と表現します。
1-2. ポジティブでいることのメリット
ポジティブでいることのメリットは大きく分けて2つ挙げられます。
人生に対する幸福度が高くなる
1つめは「人生に対する幸福度が高くなる」ことです。
〈物事をポジティブにとらえる思考を持つ人は、ストレスが少なく、全体的な幸福度も高い〉
ということが、研究から示唆されています。
「ストレスなく、幸せな人生を送りたい」と思うなら、ポジティブになることが最良の手段のひとつです。
参考:Optimism and immunity: Do positive thoughts always lead to positive effects?
健康になり長生きできる
2つめは「健康になり長生きできる」ことです。
ポジティブでいること
のメリット
- 寿命が長くなる
- うつ病の発症率が低くなる
- 苦痛や痛みの感じ方が弱まる
- 病気に対する抵抗力が高まる
- 苦難やストレスへの対処力が向上する
- 精神的・身体的な健康状態が改善する
参考:Positive thinking: Reduce stress by eliminating negative self-talk to reduce stress
近年、ポジティブさが身体的な健康や寿命に好影響を与えると指摘する研究者が増えています。
たとえば、2016年のハーバード大学T.H. Chan公衆衛生大学の研究では、
〈楽観的な女性は、楽観的でない女性に比べて、8年間で、がん・心臓病・脳卒中・呼吸器疾患・感染症などの複数の主要な死因による死亡リスクが有意に減少する〉
と明らかになりました。
あるいは2018年に発表された35年間の追跡調査では、
〈ポジティブな考え方をする人は、ネガティブな考え方をする人よりも死亡リスクが低い〉
ということが示唆されています。
参考:How power of positive thinking works – Harvard Gazette
Positive Mental Attitude Associated with Lower 35-Year Mortality: The Leisure World Cohort Study
2. メンタルだけケアしてもポジティブにはなれない
前述の話を一言でいえば、
“ポジティブでいると、幸福感が高まるだけでなく、健康寿命も長くなる”
…ということですから、「自分もぜひポジティブになりたい」と思うのは当然といえます。
ですが、実践となると難しいのはなぜなのでしょうか。ここでは、そのメカニズムを知ることで、打破の手がかりとしましょう。
2-1. 自己啓発やスピリチュアルで変わらない人が見逃していること
多くの人が、自己啓発の本を読んだり、セミナーを受講したりして、ポジティブになるための努力をしています。最近では、スピリチュアル系の教えを守って実践している人も少なくありません。
こういったやり方で挫折してしまった人は、
「自分がポジティブになれない原因は、メンタルだけではないかもしれない」
ことに気づくことが、大きな一歩となります。
詳しくは次章で解説しますが、近年注目されているのが「栄養欠損」や「機能性低血糖症」など、フィジカル(身体的)の問題でポジティブさが失われてしまうケースです。
まずはフィジカルの問題を解決してから、メンタルに取り組む。この順序が重要なカギとなります。
2-2. ポジティブな人は「フィジカル」× 「メンタル」のバランスが良い
実際に、あなたの周囲にいるポジティブな人を、何人か思い浮かべてみてください。
こんな人はいませんか。
- 肉をよく食べる
- 早寝早起き
- ジムに通ってトレーニングしている
こういった特徴を「ポジティブな性格だから」と片づけがちですが、じつは逆の因果関係があります。
- 肉をよく食べるから → ポジティブになる
- よく寝るから → ポジティブになる
- 筋トレするから → ポジティブになる
という図式が成り立つのです。
ポジティブな人は、かならずしも強靱な精神力や生まれつきの楽観的性格を持っているわけではありません。
「フィジカル面が整っているため、考え方が勝手にポジティブになる」という側面に着目しましょう。
これからポジティブになりたい方が成功するための最大のコツです。詳しい実践は続けてご紹介します。
3. 【フィジカル編】ポジティブになれない5大原因と対策方法
さて、ここからは具体的にポジティブになる方法を解説していきます。まずはフィジカル面です。
ポジティブを阻害する原因として、以下5つが挙げられます。
- 栄養欠損
- 機能性低血糖
- 睡眠不足
- 筋トレ不足
- 水分不足
それぞれ見ていきましょう。
3-1. 原因1:栄養欠損
何らかの栄養素が不足すると、身体症状が出ることはよく知られています。たとえば、「鉄が欠乏すると、貧血になる」といった具合です。
しかし実は「不足によって“精神症状”が出る栄養素」があります。具体的には以下をご覧ください。
ビタミンB群
ビタミンB群とは、ビタミンB1/B2/B6/B12、ナイアシン(B3)、パントテン酸(B5)、葉酸、ビオチンの総称です。
これらは、単独ではなく複合的に作用しており、脳内の神経伝達物質の合成に深くかかわっています。
たとえば、リラックス成分として知られるGABAや、やる気にかかわるドーパミン、幸せホルモンともよばれるセロトニンなどをつくるために、ビタミンB群が必要なのです。
何事もポジティブに考えられる人は、ビタミンB群の欠損がなく、脳内の神経伝達物質が安定していると考えられます。
ビタミンB群は全部で8種類あります。食事からとる場合には「バランスの良い食事」を心掛ける必要があり、なかなか大変です。
多く含む食品 | |
ビタミンB1 | 豚肉、魚介(うなぎ、たらこ)、ぬか、胚芽 |
ビタミンB2 | レバー、卵、チーズ、魚介(青魚、うなぎ)、きのこ、青菜類、納豆 |
ビタミンB3 (ナイアシン) | レバー、魚介(カツオ)、きのこ |
ビタミンB5 (パントテン酸) | レバー、鶏肉、魚卵、卵、きのこ類野菜、納豆 |
ビタミンB6 | しじみ、牡蠣、レバー |
ビタミンB12 | 肉(レバー、鶏ささみ)、魚介(マグロ)、野菜、種実類 |
葉酸 | 葉野菜、レバー、小魚、果物、海藻 |
ビオチン | ピーナッツ、アーモンド、納豆、卵黄 |
そこで、ポジティブ度を強化したいときには、ビタミンB群のサプリメントを利用するのが便利です。
▼ ビタミンB群のサプリメントの例
NOW B-50コンプレックス
鉄
続いて「鉄」も脳の神経伝達物質の合成に深くかかわっています。
鉄欠乏になると、神経伝達物質の合成がうまくおこなわれず、さまざまな精神症状があらわれてきます。
鉄欠乏による精神症状の例
- ちょっとしたことでクヨクヨと思い悩んでしまう
- 憂うつな気分が長く続く
- 睡眠のリズムが乱れる
くわえて鉄は酸素を運ぶ役割を担っているため、鉄が欠乏すると酸欠になります。
鉄欠乏による酸欠の症状の例
- 疲れやすい
- 筋力が落ちる
- めまいや立ちくらみがする
鉄欠乏の状態でポジティブになれという方が無理というものです。
鉄分は、レバーや赤身の肉、鉄剤などから補給できます。とくに月経によって鉄を失いやすい女性は、積極的に鉄分を摂取してください。
ただし、すでに鉄不足になっている人は、肉類や鉄剤によって胃のムカつきが出るなど、苦手な人も少なくありません。
そんな方へ『うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった』の著者である藤川徳美医師が推奨しているのは、「キレート鉄」というタイプの吸収性を高めたサプリメントです。
キレート鉄を活用するようになってから治療効果があがったといいます。
▼ キレート鉄のサプリメントの例
NOW 鉄 36mg
亜鉛
前述の鉄欠乏は女性に起きやすいのですが、男性に起きやすいものとして「亜鉛欠乏」があります。
亜鉛は精子に多く含まれ、さらにアルコールを分解する際に使われるので、アルコールの摂取量が多い男性では不足しやすくなります。
亜鉛が不足すると、意欲や筋力、認知力にかかわるホルモン「テストステロン」をうまく合成できないので、ポジティブでいることが難しくなります。
また、亜鉛は血糖値の調整にも大きな役割を果たしています。この後「3-2. 原因2:機能性低血糖症」にて詳しくはご紹介しますが、低血糖症は精神面にさまざまなネガティブな影響を及ぼします。
亜鉛は、タンパク質を含む食品に多く含まれます。とくに多いのは、牛肉、牡蠣、レバー、タラバガニ、チーズなどです。
「元気を出すために、焼肉に行こう!」
という人がいますが、牛肉の亜鉛を摂取すると思えば、理にかなっているのです。
食生活だけでは不足しがちな人は、サプリメントの利用も検討しましょう。
▼ 亜鉛のサプリメントの例
ディアナチュラスタイル 亜鉛
ビタミンC
ビタミンCは、ノルアドレナリンの放出過程ではたらく栄養素です。
ノルアドレナリンはストレスがかかったときに分泌されるのですが、ノルアドレナリンが十分に放出されるには、体内にビタミンCが必要量きちんとあることが重要です。
ビタミンCが不足すると、ストレス耐性が弱くなるといえます。ストレスがかかっても十分にノルアドレナリンを分泌できないためです。
ビタミンCは、緑黄色野菜(赤ピーマンやブロッコリーなど)や、果物(キウイ、いちご、柿など)、じゃがいもなどに豊富に含まれています。動物性食品には、ほとんど含まれていません。
一度にたくさんとっても余剰分は排出されるため、1日のなかで小まめに補給し、体内にビタミンCが十分にキープされている状態をつくりましょう。
野菜や果物からの小まめな摂取が難しいときには、サプリメントも活用してください。
▼ ビタミンCサプリメントの例
大塚製薬 ネイチャーメイド C1000mg
タンパク質
タンパク質は、脳の神経伝達物質の主原料であると同時に、臓器・筋肉・骨など体の主成分でもあります。
タンパク質が欠損していると、体力・免疫力・思考力など、あらゆるパワーが不足してしまいます。
ポジティブになるためには欠かせない栄養素です。
タンパク質は、肉、魚介、卵、乳製品などに含まれており、1日に必要なタンパク質量は体重1kgあたり1〜1.5gといわれます。
たとえば体重が50kgの人なら、1日に50〜75gのタンパク質を摂取する必要があるということです。
鶏肉・豚肉・牛肉に含まれるタンパク質量の目安は【約2割】です。
大まかな目安ではありますが、「100gの肉を食べたら20gのタンパク質を摂取できる」と覚えておくと便利です。
食事を中心にタンパク質を摂取するのが基本ですが、不足分はプロテインで補うのも良い方法です。
▼ プロテイン
ザバス(SAVAS) ホエイプロテイン100+ビタミン リッチショコラ味
参考:功刀浩『こころに効く精神栄養学』
飯田薫子,寺本あい『一生役立つ きちんとわかる栄養学』
藤川徳美『うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった』
溝口 徹 『図解でわかる最新栄養医学「うつ」は食べ物が原因だった!』
3-2. 原因2:機能性低血糖症
2つめの原因は「機能性低血糖症」です。
機能性低血糖症は、本来の安定した血糖の変化をコントロールできず、血糖値が乱高下してしまう状態をいいます。「隠れ低血糖症」とも呼ばれます。
アドレナリンなどの内分泌系異常や自律神経にも影響し、慢性疲労やうつ状態、集中力不足、情緒不安定など精神面にもさまざまな症状が引き起こされることがわかってきています。
機能性低血糖症の症状(一例)
- 不安感や気分の落ち込み
- イライラ感・爆発的な怒り
- 不眠・朝起きられない・だるい
- 食事の直後または数時間後の耐えがたい眠気
- 目のチカチカや頭痛
- 動悸や冷や汗・息苦しさなどの身体症状
低血糖症のチェック
以下のチェックで3つ以上当てはまる場合、低血糖症の可能性があります。
- 甘い物、スナック菓子、清涼飲料水をほぼ毎日とる
- 空腹感を感じたり、おやつを食べることが多い
- 夜中に目が覚めて、何かを食べることがある
- 夕方に強い眠気を感じたり、集中力が落ちる
- 体重の増減が激しい
- 体重が増えてきた、またはやせにくくなった
- イライラや不安感が、甘い物をとることでよくなったことがある
- 頭痛、動悸、しびれなどが甘い物をとることでよくなったことがある
- 安定剤や抗うつ剤を服用しても、明らかな症状の改善がない
- 血縁者に糖尿病の人がいる
出典:溝口 徹 『図解でわかる最新栄養医学「うつ」は食べ物が原因だった!』
対策:食後の血糖値に配慮した食事療法
機能性低血糖症に対処するためには、血糖値を上げすぎない・下げすぎないことに考慮した食事療法が効果的です。
食事療法
- (1)糖質を控え・GI値の低い食品を選ぶ
※GI値グリセミック指数(glycemic index)とは、食後血糖値の上昇度を示す指数 - (2)食物繊維(野菜・豆類)とタンパク質(肉・魚・大豆)を中心に摂取
- (3)食べる順番を工夫する
食物繊維を多く含む野菜・海藻や蛋白質を炭水化物の先に食べる - (4)よく噛んで、ゆっくりたべる
- (5)アルコールを控える(特にビールやワインなどの醸造酒)
- (6)欠食せず、三食たべる
糖質を控える「ケトジェニックダイエット」や「糖質制限食」が、機能性低血糖症のケアに用いられることもあります。
より詳しく知りたい方は書籍からの情報収集やクリニック受診も検討してみてください。
永田勝太郎『「血糖値スパイク」が万病をつくる!』
参考:
ひめのともみクリニック「機能性低血糖症」
3-3. 原因3:睡眠不足
3つめの原因は「睡眠不足」です。
たとえば米国では18〜60歳の成人は少なくとも7時間睡眠が推奨されており、
〈7時間未満の睡眠不足では、精神的な苦痛を感じる頻度が多くなる、肥満・高血圧・糖尿病その他さまざまな疾病や死亡のリスクが高くなる〉
とわかっています。
ポジティブになるためには、毎日7時間以上の睡眠時間を確保しましょう。具体的な対策を続けて4つ、ご紹介します。
参考:Prevalence of Healthy Sleep Duration among Adults–United States, 2014
対策1:光との接し方を変える
起床したらカーテンを開け朝日を浴びます。起床してすぐであるほどベターです。部屋に朝日が入らない場合は、光療法ライトの使用を検討してください。
▼ 光療法ライト
光療法の標準器 高照度照明 Brightlight ME+
就寝前2時間からは明るい画面を見るのを避けてください。スマホ、パソコン、テレビなどを見るのはやめます。
寝るときには、部屋を真っ暗にしてください。発光する小さな電気機器も隠し、光がまったくない状態が理想です。
対策2:睡眠サイクルを守る
睡眠サイクルを毎日一定にします。
毎日同じ時間に寝て起きることで、体内時計を最適化し、睡眠の質が高まります。週末だからと寝坊したり、夕食後にソファで眠ってしまったりする誘惑と戦いましょう。
対策3:食べ物・飲み物の工夫
白い砂糖(甘いお菓子)・白パン・ラーメン・パスタ・白米など、精製された糖質はできるだけ避けてください。
「ごはんを食べると眠くなるから、睡眠によいのでは?」と思う方もいるかもしれません。
たしかに糖質をとると早く入眠する傾向があるものの、
〈精製された糖質を多く食べると、夜に覚醒を引き起こし、夜中に目が覚める回数が増える〉
という研究があります。血糖値が不安定になり交感神経を刺激するためと考えられます。
糖質をとるときには、精製されていない糖質(玄米、全粒粉のパンやパスタ、未精製のオートミールなど)を選んでください。血糖値が安定しやすく、快眠につながります。
ほかに、カフェインやアルコールは睡眠の質を妨げますので、できる限り控えましょう。
カフェインは摂取後約30分で血中濃度がピークに達し、健康な人では半減するのに約4時間かかるといわれています。少なくとも就寝前4時間以内は、カフェインを避けてください。
アルコールは一時的に眠気を誘うものの、眠り自体を浅くする傾向があり、夜中に目が覚めやすくなります。眠るためのアルコールは逆効果です。
参考:Fiber and Saturated Fat Are Associated with Sleep Arousals and Slow Wave Sleep
ネスレ日本「ネスレのなぜなにコーヒー」
中野区医師会「よく眠れていますか?」
対策4:睡眠環境を整える
騒音・ノイズをできるだけ抑えます。難しい場合は耳栓も検討しましょう。
自分にとって快適なマットレス・枕であることを確認してください。就寝中に背中や腰の痛み、肩こり・首こりがひどくなると感じるなら、マットレスや枕をより良いものに変えましょう。
十分に換気された、少し涼しいと感じる程度の室温(20℃前後)をキープしましょう。
自分にとって寝室を安心してリラックスできる環境にするために、ベッドの上では仕事などをしない(睡眠のためだけに使う)ことも役立ちます。
参考:How to Sleep Better – HelpGuide.org
3-4. 原因4:筋トレ不足
4つめの原因は「筋トレ不足」です。
筋肉トレーニングとメンタルヘルスをテーマにしたレビュー論文によれば、さまざまな先行研究から、
〈筋力トレーニングが健康な成人の不安症状の軽減に関連している〉
と結論づけられています。
不安症状のほかにも、うつ症状や疲労症状、自尊心の改善など、メンタルヘルスに良い影響が示唆されています。
脳のメカニズムとの関連性はまだ研究途上にありますが、定期的に反復して行われる「筋トレ」の行動による影響と、筋肉量の増加による影響の両方が考えられます。
筋トレの具体的なやり方は以下の記事で詳しく解説されています。ぜひ参考にしてみてください。
参考:Mental Health Benefits of Strength Training in Adults
3-5. 原因5:水分不足
5つめの原因は「水分不足」です。
大脳皮質機能をテストする実験データや脱水ラットの研究などから、研究者たちは、
〈水分不足は、意志薄弱・精神力の低下・QOL(人生の質)の低下を招く〉
と推察しています。
対策:食事+飲み水=2.2リットルの水分補給
私たちの体は1日におよそ2.5リットルの水の出入りがあります。そのうち、食事と飲み水で【2.2リットル】の水分補給が必要です。
出典:熱中症環境保健マニュアル2022を元に作成
ただし、体格や発汗量によっても異なりますので、「尿の色」でも脱水症状にならないようにチェックしましょう。
出典:尿の色で脱水症状チェック
参考:Impaired cognitive function and mental performance in mild dehydration
4. 【メンタル編】ポジティブ思考を身につける5つの習慣
さて、ここまで「フィジカル面」の対策を解説してきました。
フィジカル面はいわば「ポジティブの土台」となるものですから、最初に取り組んでください。
そのうえで、これからご紹介する“ポジティブ思考を身につける5つの習慣”を実践すると、効果を強く実感できるはずです。
- 毎晩3つの良いことを書き出す
- 感謝の気持ちを手紙に書いて渡す
- ポジティブ力の強い5種類の言葉を口癖にする
- 笑う
- ポジティブな人と過ごす
それぞれ解説します。
4-1. 毎晩3つの良いことを書き出す
1つめの習慣は「毎晩3つの良いことを書き出す」です。
ポジティブ心理学の研究によれば、
〈『1週間・毎晩、うまくいったことを3つ書き出し、その理由も書く』というワークを行った参加者は幸福感が高まり抑うつ状態が軽減した〉
という結果が出ています。
毎晩、3つの良いことを書き出しましょう。ノートに手書きでも、スマホのメモアプリに入力でも、自分のやりやすい方法でかまいません。
書き出す内容は、今までの人生のこと、過去のこと、今日あった良いことなど、思い浮かんだものを書き出せばOKです。
例
- 今日は仕事が早く終わった。前もって段取りをきちんとしていたから。
- 高校の最後の大会で優勝できた。全力で優勝に向けて毎日がんばったから。
- 昨年は10kgのダイエットに成功できた。知識をつけて無理なく食事制限ができたから。
これを習慣化してずっと続けてほしいのですが、まずは「1週間継続」を目標の一区切りとして実行します。
1週間後、あなたのポジティブさが増しています。その自分の変化をぜひ実感してみてください。
参考:Seligman, M. E., Steen, T. A., Park, N., & Peterson, C. (2005). Positive Psychology Progress:Empirical Validation of Interventions.
4-2. 感謝の気持ちを手紙に書いて渡す
2つめの習慣は「感謝の気持ちを手紙に書いて渡す」です。
前述の研究と同じ検証で、
〈『過去に親切にしてもらったが、きちんとお礼を言ったことのない相手に感謝の手紙を書き、届ける』というワークを行った参加者は、1ヶ月間、大きなポジティブな変化が起きた〉
という結果が出ています。
ポジティブな変化が1ヶ月継続しており、一過性ではない点がポイントです。
1ヶ月に1回程度、他人に感謝の気持ちを手紙に書く習慣がある人は、それだけでいつもポジティブと考えられます。
この研究をもとに、おすすめしたい具体的なやり方は、イベントごとに感謝の手紙を添えた贈り物をすること。
イベントとは、たとえば母の日、父の日、敬老の日、家族の誕生日、友人・上司・部下の誕生日などです。
ちょうど1〜2ヶ月に1回ペースで、不自然ではなく感謝の手紙を書く習慣を持てるはずです。
参考:Seligman, M. E., Steen, T. A., Park, N., & Peterson, C. (2005). Positive Psychology Progress: Empirical Validation of Interventions.
4-3. ポジティブ力の強い5種類の言葉を口癖にする
3つめの習慣は「ポジティブ力の強い5種類の言葉を口癖にする」です。
以下の5種類の言葉を、積極的に口にしてみてください。
▼ ポジティブ力の強い言葉
肯定の言葉 | わかる、わかる/そうだよね/いいね/おっしゃるとおりです |
感謝の言葉 | ありがとう/助かります/感謝しています |
前向きな言葉 | できる/やってみよう/いいことありそう |
褒め言葉 | すごい/さすが/すばらしい/すてき |
好意の言葉 | 好き/大好き/愛しています |
人間の脳には、
「自分がしたこと・言ったことを肯定したい」
というはたらきがあります。後からつじつまを合わせようとするのです。
たとえば「わかる、わかる」と言えば、脳はわかろうとします。「できる」と言えば、できようとします。
この仕組みを利用して、先にポジティブな言葉を発し、(良い意味で)脳をだまそうという作戦です。
「ポジティブな気持ちじゃないのに嘘をつけない、思っていないのに言えない」
という方も、ここは“そういう作戦”と割り切って、やってみましょう。
やってみた後、どう気持ちが変化するか、観察してみてください。ふしぎとポジティブな自分を発見できるはずです。
4-4. 笑う
4つめの習慣は「笑う」です。
嘘笑いでも、笑顔をつくると、ポジティブになることが判明しています。
ある研究では、
〈ストレスの多い仕事をしながら微笑みをつくったグループは、そうでないグループよりも心拍数が低くストレスを感じにくい〉
とわかっています。
ポジティブになるためには、作り笑いでもよいので、まずは“顔の表情を笑顔の形にすること”が役立ちます。
具体的には、自分にとってストレスの多いこと(仕事など)をするときほど口角を上げ、形だけでも微笑みの表情にしておきましょう。ストレスからの回復が早くなります。
さらに、本気で大笑いできればポジティブ効果は強くなります。暇つぶしに動画を観るならお笑い系にするなど、笑う頻度を増やす工夫をしましょう。
参考:Grin and bear it: the influence of manipulated facial expression on the stress response
4-5. ポジティブな人と過ごす
5つめの習慣は「ポジティブな人と過ごす」です。
ポジティブになりたい人がやってはいけないのは、ネガティブな人とずっと一緒にいることです。
なぜなら、ポジティブもネガティブも伝染するためです。
私たちの脳には「ミラーニューロン」という神経細胞があり、視覚から入った他者の様子を真似するようにはたらきます。私たちが共感や感情移入をするのは、ミラーニューロンによるものといわれます。
ある研究では、
〈被験者の26%が、ストレスを感じている人を見ただけで、自身のコルチゾール(ストレスホルモン)のレベルが高まった〉
というデータが出ています。
ポジティブになるためには、ネガティブな人よりもポジティブな人と一緒にいる時間を増やすことが重要です。
参考:Make Yourself Immune to Secondhand Stress
5. 今度こそ本当にポジティブになりたい人へ伝えたいこと
最後に「今度こそ本当にポジティブになりたい」と願うあなたへのメッセージをお伝えします。
5-1. ポジティブは習慣であり性格ではない
ここまでお読みいただいたあなたならきっとおわかりかと思いますが、ポジティブかどうかは性格ではありません。
フィジカル・メンタル両面の「習慣」に依存する部分が大きいのです。
生まれ持った性質や脳の作りは変えられないかもしれませんが、習慣はかならず変えられます。まずはそのことを改めて認識してください。
5-2. 習慣化メソッドで誰でもポジティブになれる
「どうすればポジティブになれるかはわかったけれど、染み付いた習慣をなかなか変えられない」
と悩んだら、習慣化のメソッドを活用してください。
たとえば習慣化アプリ『みんチャレ』には、習慣化を成功させるメソッドが詰まっています。
『みんチャレ』では、5人1組のチームを組んで、良い行動や思考の習慣化を目指すのですが、ポジティブの習慣化を目指すチームもたくさんあります。
詳しくは、以下のリンクからご確認ください。
6. まとめ
本記事では「ポジティブ」をテーマに解説しました。要点を簡単にまとめます。
そもそもポジティブとはどういうことかといえば「積極的・肯定的であること」です。
ポジティブでいることのメリットとして、以下が挙げられます。
- 人生に対する幸福度が高くなる
- 健康になり長生きできる
メンタルだけケアしてもポジティブにはなれません。フィジカル・メンタルの両面からアプローチすることが大切です。
具体的なアプローチ法を以下のとおりご紹介しました。
【フィジカル編】ポジティブになれない
5大原因と対策方法
- 栄養欠損
- 機能性低血糖症
- 睡眠不足
- 筋トレ不足
- 水分不足
【メンタル編】ポジティブ思考を
身につける5つの習慣
- 毎晩3つの良いことを書き出す
- 感謝の気持ちを手紙に書いて渡す
- ポジティブ力の強い5種類の言葉を口癖にする
- 笑う
- ポジティブな人と過ごす
ここまで読んでくださったあなたは、今までとはまったく違った効率的なやり方で、自分をポジティブにコントロールするスキルを身につけています。
ぜひ自信を持って、ポジティブに充実した日々を楽しんでください。