ネガティブ思考を治すには?誰でもできる簡単で効果ありの改善方法

ネガティブとは「消極的・否定的であるさま」を指す言葉です。

ネガティブな人とは、悲しみ、不安、怒り、嫉妬、憎しみなどの“ネガティブ感情”にとらわれやすい人をいいます。

ネガティブ思考が絶対に悪いというわけではありませんが、恐れや怒りなど負の感情に飲み込まれ、自分自身や周りの人たちを傷つけてしまうのは、つらいことです。

そこで本記事では、ネガティブ思考から抜け出すための具体的な方法をお伝えします。

本記事のポイント

  • ネガティブとはどういうことか基本から解説
  • ネガティブになる原因別に改善方法がわかる
  • 今までネガティブ思考を治せなかった人へ新しい情報をお届け

「ネガティブな自分を変えたい」
「今よりもポジティブに生きられるようになりたい」

…という方におすすめの内容となっています。

この解説を最後までお読みいただければ、ネガティブになる根本原因へアプローチする、さまざまなノウハウを入手できます。

誰でもすぐに実践できるよう、具体的なやり方をお伝えします。今度こそ自分のポジティブな変化を、実感できるはずです。


1. そもそもネガティブとはどういうことか

最初にネガティブとは何か、基本の知識からご紹介します。

 

1-1. ネガティブとは?意味・定義

ネガティブの辞書的な意味は、以下のとおりです。

否定的なさま。消極的なさま。

出典:日本国語大辞典

ネガティブな人とは「否定的・消極的な人」と言い換えることができます。

ネガティブの反対語は「ポジティブ=肯定的・積極的」となります。

もう少し詳しく感情レベルで見ると、ポジティブな感情とネガティブな感情は以下のように分けられます。

ポジティブ感情ネガティブ感情
  • 喜び
  • 満足感
  • 安堵
  • 興味
  • 娯楽
  • 幸福感
  • 安らぎ
  • 尊敬
  • 不安
  • イライラ
  • 嫌悪感
  • 悲しみ
  • 怒り
  • 寂しさ
  • 憂うつ
  • 不快感

参考:What are Positive and Negative Emotions and Do We Need Both?

※補足として、ネガティブには「負の」「陰性の」といった意味もあります。

(1) 否定的.消極的.同意しない.反対の
(2)【数学】負の
(3)【医学・生理】陰性の
(4)【電気】陰極の.⇔ポジティブ
(5)【写真】陰画.原版.ネガティブフィルムの略

出典:情報・知識 imidas

たとえば、新型コロナウイルス感染症のPCR検査の「陽性/陰性」は、英語では「ポジティブ/ネガティブ」と表現します。

 

1-2. ネガティブでいることの問題点

ネガティブでいることの問題点は、大きく分けて3つあります。

自分がつらい

1つめは、自分がつらいという問題です。先にご紹介したとおり、ネガティブ感情は感じるのがつらいものばかりです。

喜びや幸福感、安らぎを感じることが少なく、不安やイライラ、怒り、悲しみを感じることが多い状態は、生きていくのが苦しくなるかもしれません。

周囲とうまくいかない

2つめは、周囲とうまくいかないという問題です。

ネガティブな感情が原因でけんかになったり、周囲の人からネガティブさを嫌がられたりして、人間関係に悩むことが多くなります。

体に悪影響がある

3つめは、体に悪影響があるという問題です。

ネガティブ思考は、メンタルに影響するだけでなく、
〈身体的な疾患(がん・心臓病・脳卒中など)などの死亡リスクにも影響する〉
ということが示唆されています。

健康で長生きするためには、ポジティブさを持つことが必要といえるのです。

参考:How power of positive thinking works – Harvard Gazette

 

1-3. ネガティブになる原因は人によって異なる

「ポジティブになりたいと思っているのに、ネガティブになってしまう」
という場合、その原因は人によって異なります。

原因に見合った対処をすることが大切です。この後、以下の3つの原因別に、具体的な改善策をお伝えしていきます。

ネガティブになる3つの原因

  • 栄養の問題
  • 生活習慣の問題
  • 思考パターンの問題

    補足:病気が疑われる場合は医療機関を受診

    補足として、うつ病をはじめとする精神疾患が疑われる場合には、まず医療機関を受診することが大切です。

    「楽しみや喜びを感じない」
    「何か良いことが起きても気分が晴れない」
    といった状態が2週間以上継続して、社会生活が困難になるような場合、注意が必要です。

    以下に自分でできる簡易テストのリンクをご紹介しますので、チェックしてみてください。


    2. ネガティブになる原因と改善策(1)栄養の問題

    さて、ここからはネガティブになる原因と改善策を具体的にご紹介していきます。

    まずは「栄養の問題でネガティブになっているケースについて解説します。

     

    2-1. 不足するとネガティブになる栄養素

    あまり知られていませんが、微量栄養素が不足するとメンタル面に悪影響が出て、ネガティブになります。

    微量栄養素とは、ビタミンやミネラルなどです。それぞれ解説しましょう。

    ビタミン類

    ビタミン類は、脳内の神経伝達物質の合成に欠かせません。

    血液によって脳内に運ばれたアミノ酸(タンパク質)が、神経伝達物質へつくり変えられるときに必要なのがビタミンです。

    たとえばビタミンB6は、ドーパミン・セロトニン・GABAのすべてにかかわっていますし、ビタミンCがないとノルアドレナリンの合成がうまくできなくなります。

    ▼ 脳内の神経伝達物質のはたらき

    ドーパミン喜びや快楽・意欲をもたらす
    セロトニン精神を安定させる
    GABAストレスを軽減してリラックスさせる
    ノルアドレナリンストレスに打ち勝つためにはたらく

    これらの神経伝達物質のバランスが悪くなることは、ネガティブな感情が強くなる原因です。

    他にもビタミン類には多くの種類があり、心身の健康に直接的な影響を与えています。

    ▼ ビタミン類

     

    種類

    主なはたらき

    脂溶性

    ビタミン

    ビタミンA

    • 細胞の増殖・分化
    • 皮膚や粘膜の維持
    • 視覚作用
    • がん抑制作用

    ビタミンD

    • 免疫向上
    • カルシウムの吸収・代謝に関与
    • 骨粗しょう症予防作用
    • 発がんの抑制

    ビタミンE

    • 抗酸化作用
    • 血行促進作用
    • ホルモン活性化作用
    • 赤血球膜の安定化

     ビタミンK

    • 血液凝固作用
    • 骨粗しょう症予防作用
    • 動脈硬化予防作用
    • 脳の酸化防止作用

    水溶性

    ビタミン

    ビタミンB1

    • 脳の発育、神経機能に関係
    • 糖質代謝、免疫系機能の維持

    ビタミンB2

    • ブドウ糖を脳のエネルギーに変える際の補酵素
    • 成長ホルモンの生合成

    ビタミンB3

    (ナイアシン)

    • エネルギー代謝
    • 抗糖尿病作用、免疫系機能の維持

    ビタミンB5

    (パントテン酸)

    • 皮膚や粘膜の維持
    • 神経や副腎皮質の機能維持

    ビタミンB6

    • アミノ酸の吸収・代謝、脂質代謝に関係
    • 神経伝達物質を合成する際の補酵素

    ビタミンB12

    • 血液中のヘモグロビンの合成、アミノ酸の代謝
    • 葉酸を活性体に変換

    葉酸

    • DNA合成に関係
    • 胎児の成長(特に中枢神経の発育)に関係

    ビオチン

    • 免疫反応、細胞分化の誘導
    • 糖新生、脂肪酸の分解・合成

    ビタミンC

    • 抗酸化作用、ストレス抵抗力の増進
    • シミの改善、コラーゲンの生成
    • 鉄の吸収に関与
    • がん・ウイルス細胞増殖抑制

    ミネラル類

    次にミネラル不足も、ネガティブな感情が強くなる原因となります。

    たとえば鉄が不足すると、セロトニン・ドーパミン・ノルアドレナリンなどの神経伝達物質が十分につくられず、うつ症状が出ることが知られています。

    銅やマグネシウムも神経伝達物質の合成に関わっていますし、亜鉛が不足すると意欲や積極性に必要なテストステロンというホルモンが低下してしまいます。

    ▼ ミネラル

    主なはたらき
    カルシウム
    • 骨と歯の形成
    • 血液凝固促進作用
    • 神経を安定化させる
    マグネシウム
    • 骨の形成
    • 神経伝達の制御
    • 細胞内のカルシウム濃度の調整
    • 酸素の運搬
    • 粘膜を正常に保つ
    • エネルギー産生に関与
    亜鉛
    • 皮膚を守る、骨を丈夫にする
    • 味覚・視覚・聴覚を正常にする
    • インスリン合成、成長ホルモン産生
    • テストステロン生成
    カリウム
    • 高血圧予防、むくみ解消
    • 筋肉のエネルギー産生に関与
    • 心臓のはたらきを保つ
    • 鉄の吸収
    • 骨の強化
    • 免疫細胞の活性作用
    ヨウ素
    • 甲状腺ホルモンの原料
    • 基礎代謝のアップ
    • 幼児の発育を促す
    マンガン
    • 骨の生成を促進
    • エネルギー産生に関与
    • 抗酸化作用
    コバルト
    • ビタミンB12の原料
    • 神経機能の正常化
    • 骨髄の造血作用に関与
    セレン
    • 抗酸化作用
    • 甲状腺ホルモンの活性化
    • 精子のはたらきの活性化
    リン
    • 骨と歯の形成
    • エネルギーをたくわえる
    • エネルギー産生に関与
    ナトリウム
    • 細胞の浸透圧の調整
    • 血圧の調整
    • 神経、筋肉細胞のはたらきに関与

    マルチビタミン&ミネラルのサプリが便利

    バランスの良い食事からまんべんなくビタミン・ミネラルを摂取するのが理想ではありますが、なかなか難しいものです。

    微量栄養素は、お互いに助け合いながらはたらいているため、1種類だけとってもあまり意味がありません。また一時的に摂取するのではなく、継続的に毎日続ける必要があります。

    バランスの良い食事を心掛けつつも、「自分のベースを支えてくれるサプリ」としてマルチビタミン&ミネラルのサプリメントを継続するやり方がおすすめです。

    ▼ マルチビタミン&ミネラルのサプリメントの例

    ディアナチュラ ストロング39アミノ マルチビタミン&ミネラル

    アクションプラン

    • マルチビタミン&ミネラルのサプリメントを記載された1日の目安量で毎日飲む
      (上記のサプリなら1日3粒)

      参考:溝口 徹 『図解でわかる最新栄養医学「うつ」は食べ物が原因だった!』

      なお、具体的な成分別の解説は以下の記事で詳しくしていますので、ぜひご覧ください。

      ポジティブになる方法と5つの習慣をフィジカル・メンタル両面から解説
      ポジティブになる方法と5つの習慣をフィジカル・メンタル両面から解説

      たとえば「鉄分」や「亜鉛」など、特定栄養素がとくに不足することでネガティブがひどくなることもあるので、あわせて参考にしてみてください。

       

      2-2. ネガティブが減る食事法

      次に、ネガティブを減らすためには、どんな食事法が適しているのか見てみましょう。

      適度にカロリーが制限された炭水化物控えめの食事

      ネガティブな自分を変えたい人が一番やってはいけない食事は、太る食事です。

      「自分の体重が増加して、脂肪がついていく食事は、自分の精神をネガティブにする食事」と覚えておきましょう。

      研究によれば、
      〈適度にカロリーが制限された低炭水化物の食事のグループで抑うつ症状に違いが出た〉
      というデータがあります。

      肥満に向かっていくような高カロリーの食事をやめ、健康的な体重を維持できる範囲にカロリー摂取量を抑えることが役立ちます。

      参考:Nutrition and behavioral health disorders: depression and anxiety

      アクションプラン

      • 適切な摂取カロリー以内で食事する

        タンパク質を十分にとる

        前述の研究で「低炭水化物」の食事が推奨されることをお伝えしましたが、炭水化物を減らす分、代わりに増やしてほしいのがタンパク質です。

        先ほど、ビタミン・ミネラルの項目で、ビタミンやミネラルが脳内の神経伝達物質の合成に不可欠であることをお伝えしました。

        その神経伝達物質の材料は何かといえば、タンパク質(アミノ酸)なのです。

        肉・魚・卵・大豆といった食品から、タンパク質をしっかり摂取しましょう。

        目安量は、体重1kgあたり1〜1.5gです。たとえば、体重が50kgの人なら、1日に50〜75gのタンパク質が必要です。

        肉類には約20%のタンパク質が含まれますので、250gの肉を食べると約50gのタンパク質を摂取できます。

        アクションプラン

        • 毎日体重1kgあたり1〜1.5gのタンパク質をとる

          炭水化物(糖質)のとりすぎに注意する

          「ネガティブな自分を変えたい」と悩む方のなかには、炭水化物や甘いお菓子・スナック菓子など糖質の多い食べ物が好きな方が少なくありません。

          しかし、

          〈糖分の多い飲料や甘いスイーツから摂取する糖分量が多いほど、うつ病のリスクが高くなる〉
          という研究データがありますので、注意してください。

          糖質過多によってネガティブになってしまう原因として、「​​機能性低血糖症(隠れ低血糖症)」を引き起こすことが考えられます。

          機能性低血糖症とは、本来の安定した血糖の変化をコントロールできず、血糖値が乱高下してしまう状態のことです。

          アドレナリンなどの内分泌系異常や自律神経にも影響し、慢性疲労やうつ状態、集中力不足、情緒不安定などネガティブな症状の原因となることがわかってきています。

          機能性低血糖症の症状(一例)

          • 不安感や気分の落ち込み
          • イライラ感・爆発的な怒り
          • 不眠・朝起きられない・だるい
          • 食事の直後または数時間後の耐えがたい眠気
          • 目のチカチカや頭痛
          • 動悸や冷や汗・息苦しさなどの身体症状

            機能性低血糖症に対処するためには、糖質を控えて、血糖値の乱高下を防ぐ食べ方を心掛けましょう。

            機能性低血糖症の食事療法

            • (1)糖質を控え、GI値の低い食品を選ぶ
              ※GI値グリセミック指数(glycemic index)とは、食後血糖値の上昇度を示す指数
            • (2)食物繊維(野菜・豆類)とタンパク質(肉・魚・大豆)を中心に摂取
            • (3)食べる順番を工夫する
              食物繊維を多く含む野菜・海藻や蛋白質を炭水化物の先に食べる
            • (4)よく噛んで、ゆっくりたべる
            • (5)アルコールを控える(特にビールやワインなどの醸造酒)
            • (6)欠食せず、三食たべる

            出典:汐留ガーデンクリニック「機能性低血糖症」

            なお、糖質を控える「ケトジェニックダイエット」や「糖質制限食」に取り組んだことで、ネガティブさが軽減したという声も少なくありませんので、チャレンジしてみる価値はあります。

            アクションプラン

            • 糖質を控える

              ※機能性低血糖症について詳しく知りたい方は書籍からの情報収集やクリニック受診も検討してみてください。

              永田勝太郎『「血糖値スパイク」が万病をつくる!』

              参考:Nutrition and behavioral health disorders: depression and anxiety
              ひめのともみクリニック「機能性低血糖症」


              3. ネガティブになる原因と改善策(2)生活習慣の問題

              次にご紹介するのは、「生活習慣の問題」でネガティブになっている原因と対策です。2つのポイントがあります。

               

              3-1. 睡眠が足りない

              睡眠が足りないと、それだけで人間はネガティブになってしまいますので、注意が必要です。

              睡眠時間とうつ病の発生に関しては、さまざまな研究があります。

              たとえば、青年期の睡眠不足について調べた研究では、
              〈睡眠時間が減るとうつ病のリスクが高まる〉
              と示唆されています。

              うつ病とまでいかずとも、睡眠不足が続けばネガティブ思考が強まります。十分な睡眠を確保しましょう。

              具体的には、最新の研究で、
              〈メンタルヘルスの健康を維持するためには毎日「7時間」の睡眠時間が最適〉
              と考察されています。

              睡眠時間が足りないだけでなく、過眠(寝過ぎる)でも悪影響があるという指摘もあるため、「7時間」を目安にして睡眠時間をコントロールしてみましょう。

              アクションプラン

              • 毎日7時間寝る

                参考:The prospective association between sleep deprivation and depression among adolescents
                The brain structure and genetic mechanisms underlying the nonlinear association between sleep duration, cognition and mental health

                「寝たほうがよいとわかっているけど、なかなか寝られない」
                という方には、7時間睡眠を確保するための具体的なメソッドを以下の記事にて紹介しています。ぜひチェックしてみてください。

                ポジティブになる方法と5つの習慣をフィジカル・メンタル両面から解説
                ポジティブになる方法と5つの習慣をフィジカル・メンタル両面から解説

                 

                 

                3-2. 運動が足りない

                次に、運動不足もネガティブ思考を引き起こします。

                身体活動がメンタルヘルスの不調に陥るリスクを減らすことを示す研究は多くあります。

                最近の研究では、
                〈運動が筋肉のキヌレニン(KYN)代謝を高めることにより、ストレスによるうつ病を予防する可能性がある〉
                と報告されています。

                ※キヌレニンは「セロトニン(別名:幸せホルモン)」の代謝にかかわる物質です。

                ではどれくらいの運動をすると良いか?といえば、2022年にASICSが興味深い研究成果を発表しています。

                〈「約15分9秒」の運動が、精神にポジティブな影響をもたらす〉
                というのです。

                具体的には、自身が日ごろから行っている運動を1日あたり「約15分9秒」実行すると、精神状態にポジティブな影響を与える可能性があるというデータが出ています。

                同時に、
                〈わずか1週間の運動不足でも心の状態が低下する〉
                ことがわかっており、毎日の運動習慣の重要性が指摘されています。

                アクションプラン

                • 毎日15分運動する

                  参考:Physical exercise prevents mice from L-Kynurenine-induced depression-like behavior
                  株式会社アシックス プレスリリース


                  4. ネガティブになる原因と改善策(3)思考パターンの問題

                  最後にご紹介するのは「思考パターン」の問題です。3つのポイントをご紹介します。

                   

                  4-1. ネガティブなセルフトーク

                  1つめのポイントとして挙げられるのが「ネガティブなセルフトーク」です。

                  セルフトークとは、“自分の頭の中で繰り広げられているおしゃべり”のことです。

                  別の表現では「自動思考」と呼ぶこともできます。意図せず、自動的に頭に浮かぶ思考や心的イメージを自動思考といいます。

                  無自覚で気づきにくいが「気づく」ことがファーストステップ

                  まずは、「セルフトークの存在」に気づいて自覚的になることがファーストステップといえます。

                  セルフトークは、自分の意志とは無関係に、勝手にある特定パターンで繰り返される傾向があります。簡単にいえば、長い人生で習慣化されてしまった考え方の癖です。

                  たいていの人は、自覚しているにせよ、していないにせよ、何かしらの「癖」を持っています。考え方の癖に限りません。

                  たとえば「無意識にいつも鼻を触ってしまう」という癖があるかもしれません。

                  鼻を触る癖を手放すことは、「いつも無意識に鼻を触ってしまうことに気づく」ところから始まります。

                  まずは、ネガティブなセルフトークが自動思考で繰り広げられていることを、はっきり明確に自覚しましょう。

                  それは、あなたの意思や意図、性格ではありません。単なる癖だと、気づいてください。

                  気づくたびに修正する

                  自分の癖に気づくと、手放せるようになります。思考の癖を直すのも、体を動かす癖を直すのも、根本は同じです。

                  癖が現れるたびに自覚し、自分の意志でストップし、よりよい思考に修正します。

                  癖は、気づくだけであっけなく消えてしまうものもあれば、根気強く矯正が必要なものもあります。癖が習慣化してから何十年も経っていれば、消えるまで時間がかかるかもしれません。

                  ですが、気づきさえすれば、かならず好ましい方向へ変わっていきます。諦めないことです。

                  具体的なエクササイズ

                  具体的にどう修正すればよいのか、具体的なエクササイズをご紹介しましょう。

                  たとえば、頭の中でこんなセルフトークが始まったとします。

                  「大事な場面であんな最悪のミスをするなんて、私は本当に最低な人間だ」

                  本記事を読んでネガティブなセルフトークの存在を知ったあなたは、今までと違います。

                  自動思考に飲み込まれることなく、
                  「ああ、考え方の癖が始まった。自動思考でセルフトークがネガティブになっている」
                  と、はっきり気づくことができます。

                  気づいたら、癖を修正していきましょう。

                  具体的には、次の3つの質問を自分に投げかけてみてください。それぞれ、回答を考えてみましょう。

                  「相手が親友なら、どう声をかける?」

                  「極端な言葉を中立に近い言葉に変換すると?」

                  「それは1年後(あるいは5年後)も重要なこと?」

                  どんな回答が浮かんだでしょうか。あくまで一例ですが、以下に挙げてみましょう。

                   回答例

                  「相手が親友なら、どう声をかける?」
                  大丈夫だよ。本当によくがんばってきたこと、私は知っているよ。

                  「極端な言葉を中立に近い言葉に変換すると?」
                  最悪のミス→たしかにミスはしたけど最悪というほどではないかも…。客観的に見ればよくあるミス。
                  本当に最低な人間→最低っていったら自分がかわいそうかも。おっちょこちょいだけど真面目。

                  「それは1年後(あるいは5年後)も重要なこと?」
                  1年後にはすっかり忘れているくらいのこと。たぶん5年後には、記憶にさえ残っていない。

                  まずは3日間、習慣化してしまったネガティブなセルフトークの修正に取り組んでみてください。

                  最初は難しく感じるかもしれませんが、3日、7日、3週間、3ヶ月……と続けるごとに、あなたの自動思考は確実に変わっていきます。

                  アクションプラン

                  • ネガティブなセルフトークに気づく

                    参考:The Toxic Effects of Negative Self-Talk
                    有斐閣 現代⼼理学辞典

                     

                    4-2. 反すう思考

                    2つめに改善したいポイントは「反すう思考」です。

                    反芻(はんすう)思考とは?

                    ある観念などを異常なほど何度も繰り返し考えること。状況に関係なく、特定の思考を持続的に繰り返してしまうこと。

                    たとえば、過去にあった嫌なことを何度も思い出して、そのときの感情を繰り返し味わっていないでしょうか。

                    過去の研究によれば、
                    〈反すう思考が強い人は、経験したネガティブな感情を強めてしまう〉
                    と考察されています。

                    過去の嫌なこと、トラウマ、思い出したくない出来事など、ネガティブな物事を繰り返し考え出したら、
                    「いま、反すう思考が始まった」
                    と自覚してください。

                    自覚するだけで、まずは大きな一歩です。

                    自覚できたら、反すう思考を止めるために、他の何か集中できることをしましょう。運動・瞑想・音楽などがおすすめです。

                    すぐにそういった作業ができないときは「数を数える」だけでも、反すう思考から外れることができます。

                    「1、2、3、4、5、6」とゆっくり6つまで数えて深呼吸しましょう。

                    アクションプラン

                    • 反すう思考に気づいたら数を数える

                      参考:Rumination, emotional intensity and emotional clarity

                       

                      4-3. 自己関連づけ

                      3つめのポイントは「自己関連づけ」です。

                      自己関連づけとは?

                      出来事の原因を自分に関連づける思考。たとえば他人の不機嫌な表情、仕事のトラブルなど、何か悪いことが起きると自分のせいだと、自分に関連づけてしまう考え方。

                      自己関連づけの癖を持っていると、本来は自分とまったく関係のない出来事まで自分のせいだと悩んでしまうので、ネガティブな考え方から抜け出せなくなります。

                      「自分のせいだ」と思う悪いことが起きたら、一度立ち止まって、客観的に見つめ直す習慣を持ってください。

                      具体的には、円グラフを書いて自分の責任は何%あるのか分析する「責任のパイ」というワークがおすすめです。

                      ▼ 責任のパイ(円グラフ法、パイチャート)

                      本当に自分が100%悪いのか、客観的に可視化することで自分の考え方のゆがみに気づけます。

                      アクションプラン

                      • 自分のせいだと思ったら円グラフを書く

                        参考:井上和臣『認知療法の世界へようこそ―うつ・不安をめぐるドクトルKの冒険』


                        5. ネガティブ思考は自分で直せる

                        最後に、ネガティブ思考を治したいあなたへ伝えたいメッセージがあります。

                         

                        5-1. ネガティブなのは性格ではない

                        ネガティブな自分の性格を責めて、ますますネガティブになってしまう人がいます。

                        しかし明確に認識してほしいのは、
                        「ネガティブは性格ではない」
                        という事実です。

                        本記事でここまで紹介してきたとおり、栄養状態や生活習慣、思考パターンによって、元来の性格とは関係なく出てくるものです。

                        まずは栄養と生活習慣の問題から取り組んでみましょう。自分の性格のせいではなかったことが、すぐに実感できるはずです。

                         

                        5-2. 無意識の習慣に気づいて修正するだけでOK

                        前述のとおり、思考パターンは性格ではありません。無意識の習慣、つまり「癖」です。気づけばかならず修正できます。

                        もしひとりで挫折しそうになったら、良い習慣をつくりたい人が集まっているアプリ『みんチャレ』で仲間を探してみてください。

                        5人1組のチームを組んで習慣化にチャレンジする仕組みで、常にさまざまなチームがメンバーを募集しています。

                        詳しくは、以下のリンクからご確認ください。


                        6. まとめ

                        本記事では「ネガティブ」をテーマに解説しました。要点を簡単にまとめます。

                        ネガティブとは消極的・否定的な様子を指す言葉で、ネガティブでいることには以下の問題があります。

                        • 自分がつらい
                        • 周囲とうまくいかない
                        • 体に悪影響がある

                        ネガティブになる原因は人によって異なり、原因に合う対処をすることが大切です。次の3つの原因別に、具体的な解決策をお伝えしました。

                        栄養の問題

                        • ビタミン・ミネラルを摂取する
                        • 適度にカロリーが制限された炭水化物控えめの食事が良い
                        • タンパク質を十分にとる
                        • 炭水化物(糖質)のとりすぎに注意する

                          改善策生活習慣の問題

                          • 睡眠不足を解消する
                          • 運動不足を解消する

                            思考パターンの問題

                            • ネガティブなセルフトークを修正する
                            • 反すう思考に気づく
                            • 自己関連づけをやめる

                              ネガティブな自分を変えたいと思うこと自体が、じつは非常にポジティブなことです。ここまでお読みくださったあなたは、すでにポジティブに向かって歩いています。

                              この機会に自分を苦しめる類いのネガティブは手放して、心身ともに健やかで楽しい毎日を過ごしていきましょう。

                               

                               

                              習慣化アプリ「みんチャレ」を使う人の70%が、アプリを使い始めて21日以上習慣を継続しています。一人ではなかなか習慣化できないことでも、同じ目標を持った仲間と励まし合いながら取り組むと楽しく続けられます。まずはみんチャレアプリをダウンロードして、興味のあるチームに参加してみましょう。

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