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【落合陽一】「日本人の謙虚さが幸福度を下げている」「日本ヤバい」って飲み会で言う人は不幸?「幸せ」研究の第一人者・前野隆司が解説「ウェルビーイング資本主義」って何?日本人にある「心配性遺伝子」とは?
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本記事は、ウェルビーイング、幸福学等、幸せのメカニズム研究の第一人者である前野隆司先生(慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授)監修のもと、意志が弱い人の特徴や、克服する方法を詳しく解説します。
「私って、なんでこんなに意志が弱いんだろう……」
「意志を強くするには、どうすればいいの?」
そんな風に悩み、意志を貫けない自分を責めたりしていませんか。
最初にお伝えしたいのは、意志が弱いとあなたが感じているのは、単に「物事を継続するテクニック」を知らないだけ。あなたの性格に問題があるわけではないのです。
意志が弱い自分を嫌いになる必要はまったくありません。意志が弱くても、やるべきことをやり抜ける方法を知れば良いのです。
その方法とは「習慣化」。習慣化とは意志の力に頼らずに、望ましい行動を継続するためのテクニックで、意志が弱い人こそ使うべき人生の知恵です。
本記事のポイント
- 意志が弱いのは自分だけではないことがわかる
- 意志がどんなに弱くても物事を継続できるテクニック「習慣化」を紹介
- 本当の意志の強さを自分のものにできる
「私は筋金入りに意志が弱い!」
「今まで散々努力してきたけれど、自分を変えられなかった」
そんな人にこそ、ぜひ読んでほしい内容になっています。
大げさではなく、あなたの人生が変わっていくでしょう。意志が弱いとくよくよ悩むつらい時間から、一刻も早く解放されてください。さっそく解説を始めましょう。
目次
1. 意志が弱いせいでこんなことに困っていませんか?
本題に入る前に、意志が弱いと悩んでいるのはあなただけではないことを、知ってほしいと思います。
今は習慣化のテクニックを身に付けて楽々と物事をやり遂げているように見える人の中にも、かつてあなたと同じ悩みを抱えていた人がいます。
例えば、意志が弱いせいで、こんなことに困っていませんか。
- 自分で決めたことがやり通せない
- 意志が弱い自分を責めてしまう
- 自分はダメ人間と感じる
- 仕事や勉強が進まず常に焦っている
- 忍耐力がなく我慢できずに後悔する
- 思うように人生をコントロールできない
- 毎日がツラくて幸せじゃない
実はこれらは、習慣化のテクニックを身に付けて変身したある女性の実体験です。
今でこそ「強靱な意志の持ち主」と周囲に評されている彼女ですが、習慣化を身に付ける前は、あなたと同じように意志の弱さに悩んでいました。
それぞれ詳しく見てみましょう。きっと共感できる部分があるはずです。
1-1. 自分で決めたことがやり通せない
1つめの困りごとは「自分で決めたことがやり通せない」です。
例えば、「早寝早起きする」「運動する」「もっと本を読む」など、“決意”はするのですが、それがまったく続きません。
自分にプレッシャーをかけた方が続くはずだと、思い切ってお金をかけたことも続きません。
「20万円の受講料を支払った半年間の講座」
に通うのも途中でイヤになってしまい、20万円をドブに捨てるほどの意志の弱さ。
他人から強要されたことならともかく、「自分で決めたこと」なのに意志を貫けないことが、情けなくて涙が出るほどです。
1-2. 意志が弱い自分を責めてしまう
2つめの困りごとは「意志が弱い自分を責めてしまう」です。
意志が弱いなら弱いなりに、開き直ってあっけらかんとしていられたらメンタル的にはラクなのですが、意志が弱い人に限って、自分を責める癖があります。
挫折するたびに、
「私は、なんでできないんだ」
「自分のことが大嫌い」
「私なんて最低だ」
……など、頭の中は自分を責める言葉でいっぱいです。
ここには書けないくらいの汚い言葉・乱暴な言葉も自分に投げ掛けて、いつも自分を否定しています。
1-3. 自分はダメ人間と感じる
3つめの困りごとは「自分はダメ人間と感じる」です。
自分を否定しているうちに、どんどん自信がなくなっていき、自分のことをダメ人間だと思い込んでいます。
コンプレックスが強くなり、自分を卑下しているので、パートナーや友人との関係もギクシャクしていきます。
例えば、褒められたとしても、自分をダメ人間と信じているため、褒められた言葉を全否定してしまったり、
「こんなダメ人間を褒めるなんて見る目がないな」と逆に相手を見下したりします。
こんな状態では、良い人間関係が築けないのも無理はありません。
1-4. 仕事や勉強が進まず常に焦っている
4つめの困りごとは「仕事や勉強が進まず常に焦っている」です。
意志が弱いせいでやるべきことがスムーズに進められないので、いつも何かに追われています。
「あれもやらなくちゃ、これもやらなくちゃ」
と締切に追われる毎日は、焦りと不安でいっぱい。
焦れば焦るほど、ますますうまくいかなくなって、心の中はグチャグチャです。
1-5. 忍耐力がなく我慢できずに後悔する
5つめの困りごとは「忍耐力がなく我慢できずに後悔する」です。
例えば、ダイエットをすることにして、
「もう甘いお菓子は食べない」
と決めたのに、ショーウィンドウに並ぶケーキを見るとつい食べたくなって買ってしまいます。
意志が弱くて我慢が利かないのです。
我慢できずに望ましくない行動をしてしまった後、激しく後悔します。
同じ行動でも、自分の意志で納得した上での行動ならそこまで後悔しないはずですが、自分の意志に欲望が負けての行動ですから、その後悔は非常に大きくつらいものです。
1-6. 思うように人生をコントロールできない
6つめの困りごとは「思うように人生をコントロールできない」です。
意志が弱いせいで、本当の自分がやりたいことも、本当の自分がやりたくないことも、意志の力で制御できません。
いつも自分の意志に反して、流されるように人生が過ぎていき、
「こんなはずではなかった」
という気持ちを強く持っています。
自分の人生なのに、操縦しているのは自分じゃない。そんな息苦しさを常に抱えています。
1-7. 毎日がツラくて幸せじゃない
7つめの困りごとは「毎日がツラくて幸せじゃない」です。
ここまでに6つの困りごとをご紹介しましたが、意志が弱い人は楽しく毎日を過ごせない苦痛の中で、それでも何とか自分を変えようともがきながら暮らしています。
日常で幸福を感じられる瞬間なんてほとんどなく、長年悩み続けてメンタルにダメージを負っている人も珍しくありません。
以上、意志が弱い人の困りごとをご紹介しましたが、共感できる部分が多かったのではないでしょうか。
「共感した」という人こそ、次章で紹介する「習慣化」のテクニックで人生が変わるはずです。
2. 意志が弱い人が身に付けるべきテクニックは「習慣化」
さて、ここからが本題です。
意志が弱いせいで数々の困りごとに苦しめられ、つらい人生を送っている人が身に付けるべきテクニックは「習慣化」です。
2-1. 意志の弱い人が意志を強くするのは極めて難しい
意志が弱いと悩んでいる人は、意志を強くするために努力してきたはずです。あなたは十分にがんばってきました。
こんなにがんばってきたのに、なぜ、うまくいかなかったのでしょうか。
その理由は、「そもそも意志を強くするためは、ものすごく強い意志が必要」だからです。禅問答のようになってきましたが、意志が弱い人が意志を強くすることは、物理的に不可能ともいえるのです。
特に、意志が弱いと悩んでいる人の多くは、「意志が欲望に勝てないこと」で苦しんでいます。
「食欲に負けて食べてしまった」
「性欲に負けて浮気してしまった」
「睡眠欲に負けてサボってしまった」
——といった具合です。
欲望に打ち勝つほどの強靱な意志を、いま意志が弱いと悩んでいる人が身に付けるのは至難の業。その道はいったん諦めて、他のルートから攻略しなければなりません。
2-2. 意志が強く見える人ほど実は意志の力を使っていない
ここで意外な事実をひとつ、お伝えしましょう。意志が強く見える人ほど実は意志の力を使っていないのです。
あなたから見て「あの人は意志が強い」と感じる人がいれば、その人を思い浮かべてみてください。
例えば、その人はダイエットの成功者だとしましょう。どんなに疲労困憊でも、睡眠不足でも、悪天候でも、早起きして出勤前にジムでトレーニングすることをやめません。
「なんて意志が強い人なんだ!」
と思うかもしれませんが、本人に聞いてみると意志を奮い立たせてがんばって早起きしているわけでも、ジムに行っているわけでもないのです。
その答えは、
「習慣になっているから、疲れていても体が勝手に行動してしまう」
「逆にいつも通りの行動をしないと、気持ちが悪い」
です。
これが習慣化の力です。端から見れば意志の力で継続しているように見えますが、本人としては、強い意志でがんばっている実感はありません。行動が自動化されているのです。
2-3. 意志ゼロで意図通りの行動を自分にさせるテクニックが「習慣化」
ここまでお読みいただければ、意志が弱い人にこそ「習慣化」をおすすめする理由が見えてきたでしょう。
習慣化とは、意志ゼロで意図通りの行動を自分にさせるテクニックなのです。
例えば、意志が弱いと悩んでいる人が、意志の力を使って物事を継続しようとすれば、ほぼ100%失敗します。
意志が弱いなら、意志の力を使わずに継続する方法を採用すべきです。習慣化しましょう。
3. 習慣化って?最低限知っておきたい基礎知識
習慣化を実践してみたい人に向けて、最低限知っておきたい習慣化の基礎知識をご紹介しましょう。
3-1. 習慣化とは
あらためて習慣化について解説すると、習慣化とは、
「同じ状況のもとで繰り返し行われた行動がやがて定着し、(意志とは関係なく)自動化されて行われること」
と定義できます。
習慣化の特徴は、以下の通りです。
習慣化の特徴
- その行動をするのが当たり前に感じる。
- その行動をしない方が気持ち悪いと、違和感を覚えることもある。
- 意志の力が必要ない。無意識のうちに行っていることもある。
- がんばらずにずっと継続できる。むしろやめようと思っても、やめられない。
意志の力に頼れば苦しくて続きませんが、習慣化すればラクラク続けられるのです。
3-2. 習慣化に必要な条件
では、自分にとって望ましい行動を意図的に習慣化したいとき、どうすれば習慣化に成功できるでしょうか。
習慣化は、以下の条件がそろったときに成立します。
習慣化の成立に必要な条件
- 同じ状況で、同じ行動を繰り返し行う
- 行動の繰り返しは一定期間継続して行う
一定期間、行動を反復していると、やがて習慣化が成立し、自分の意志とは関係なくその行動が発動できるようになるというメカニズムです。
気になる「必要期間」は、習慣化したい行動の難易度によって異なりますが、少なくとも3週間は必要です。
より詳しい情報は「あなたが行動を習慣化したいと思った時におすすめの記事」にまとめられていますので、ぜひ熟読してみてください。
行動を習慣化するための具体的なプロセスも、上記の記事で解説しています。
4. 意志が弱い人が習慣化に成功する3つのコツ
具体的な習慣化のやり方はあなたが行動を習慣化したいと思った時におすすめの記事を見ていただくとして、ここでは意志が弱い人が習慣化に成功するためのコツをご紹介します。
- 意志の力を限りなくゼロに近づけてスモールスタートする
- 欲求の暴走をサプリメントや生活改善で身体的に解決しておく
- 自分と同じく意志が弱い仲間と励まし合う
以下で詳しく見ていきましょう。
4-1. 意志の力を限りなくゼロに近づけてスモールスタートする
1つめのコツは「意志の力を限りなくゼロに近づけてスモールスタートする」です。
意志が弱いと悩んでいる人に習慣化をご提案すると、必ずといってよいほど返ってくる反応が、
「そもそも習慣化できるまで継続できる自信がない」
……というものです。
これまで何度もチャレンジしては挫折してきた分、自信がないのも無理はありません。
習慣化の良いところは、自分ができると思えるレベルに合わせて、どこまでもハードルを低くスタートできることです。
例えば「毎日腹筋50回」の習慣化を目指すなら、最初から腹筋50回をする必要はありません。腹筋1回からスタートしましょう。
意志が弱い自分でもできるレベルで、無理せずに取り組むことが大切です。
4-2. 欲求の暴走をサプリメントや生活改善で身体的に解決しておく
2つめのコツは「欲求の暴走をサプリメントや生活改善で身体的に解決しておく」です。
意志が弱いと悩んでいる人の中には、身体的な問題点を抱えていて、欲求が暴走しているケースが散見されるので、自分に当てはまらないか確認してください。
体の本能的な欲求が暴走している状態であれば、意志の力で抑制するのは不可能です。
ダイエットの場合なら、カロリーは十分に取っていても不足している栄養素があると、その栄養素を摂取したい体の本能で食欲が暴走することがあります。
あるいは、どうしてもやる気が起きない・朝起きられないという症状を抱えていて、自分では意志の弱さが原因と思っていたのに、実は深刻な栄養不足が隠れていたというケースもあります。
例えば、最近話題となっているのが「鉄分の不足」による心身の不調や過食です。
藤川徳美医師の著書「うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった」には、
- 鉄が不足すると甘いものが欲しくなるメカニズム
- 過食症の人が甘いものを食べすぎるのは、意志が弱いからではない
といった内容が書かれています。
あなた自身が、いつも意志の力では負けてしまう欲求は何でしょうか。その欲求を、サプリメントの摂取や生活改善で解決する方法を探し、実践してみてください。
欲求の暴走をケアしたうえで習慣化に取り組むと、習慣化がよりラクに成功できるようになりはずです。
4-3. 自分と同じく意志が弱い仲間と励まし合う
3つめのコツは「自分と同じく意志が弱い仲間と励まし合う」です。
あなたには、自分の「意志が弱い」という悩みを打ち明けられる人はいますか。
意志の弱さを深刻に悩んでいる人ほど、そんな自分を恥じていて、人に相談できず孤独に苦しんでいます。
自分と同じく意志が弱い仲間と知り合って、励まし合いましょう。孤独な戦いは終わりにして、悩むことがあっても、誰かと共有していくのです。
具体的には「みんチャレ」という習慣化アプリがおすすめです。5人で1つのチームを作って、一緒に習慣化を目指すアプリなのですが、あなたと同じように悩みがら習慣化に踏み出した人たちがたくさんいます。
仲間と一緒に習慣化にチャレンジすると、成功率が高くなるというデータも出ています。
詳しくは、以下のリンクからご確認ください。
5. 習慣化で自信がつくと意志の力は自然と強くなっていく
最後に、
「習慣化だけでなく、意志の力を強くしていきたい」
と考えている方へ、大切なことをお伝えしましょう。
習慣化のテクニックを身に付けて、自分の行動を、自分が望むようにコントロールできるようになると、自然と意志の力は強くなっていきます。
自分に自信がつき、メンタルが安定し、やればできるという自己効力感が増してくると、意志が貫けるようになるからです。
本記事の前半で「意志の弱い人が意志を強くするのは極めて難しい」とお伝えしましたが、その真意は、「意志は強くしようと努力しても強くならない」ということです。
意志は、強くしようと努力して強くなるものではないからです。
一見回り道に見えるかもしれませんが、習慣化のテクニックを身に付けて自信を付けていくことで、気付くとあなたの意志は強くなっています。
まずは習慣化から、取り組んでみてください。
6. まとめ
意志が弱いと、こんな困りごとが発生します。
- 自分で決めたことがやり通せない
- 意志が弱い自分を責めてしまう
- 自分はダメ人間と感じる
- 仕事や勉強が進まず常に焦っている
- 忍耐力がなく我慢できずに後悔する
- 思うように人生をコントロールできない
- 毎日がツラくて幸せじゃない
つらい毎日から抜け出すために意志が弱い人が身に付けるべきテクニックは「習慣化」です。
意志が弱い人が習慣化に成功する3つのコツはこちらです。
- 意志の力を限りなくゼロに近づけてスモールスタートする
- 欲求の暴走をサプリメントや生活改善で身体的に解決しておく
- 自分と同じく意志が弱い仲間と励まし合う
さあ、もう自分の意志の弱さを責める必要はありません。新しい一歩を踏み出しましょう。