「健康経営に取り組みたいけれど、どう実現すればいいか、わからない……」
そんな悩みを抱えていたら、適切なサポートを取り入れることをおすすめします。
幸いなことに、健康経営を的確にサポートしてくれる企業やサービスが増えています。
サポートをうまく活用することが、健康経営を成功させるカギといっても過言ではありません。
この記事では、健康経営を手助けするサポートの種類と、効果的な取り入れ方を5つのステップで紹介します。
自社に合ったサポートを取り入れ、効率的かつ効果的に、健康経営を推進していきましょう。
目次
1. 健康経営の取り組みが難しい理由
最初に、なぜ自社のリソースだけでは、健康経営の取り組みが難しいのか、その背景を確認しておきます。
ポイントは、3つです。
- 従業員の多様なニーズに対応する必要性
- 健康経営に必要な人材の不足
- 自社の課題の見えにくさ
1-1. 従業員の多様なニーズに対応する必要性
1つめは「従業員の多様なニーズに対応する必要性」です。
健康経営において対処すべきニーズは、年齢、性別、職種、ライフステージなどの要因によって変わります。
近年、企業の従業員は多様化しています。さまざまなバックグラウンドやライフスタイルを持った人々が、同じ職場で働くことが、一般的になっています。
さらに、類似した境遇にあっても、生活習慣病にかかりやすい従業員もいれば、育児や介護による負荷やメンタルヘルスの問題を抱えている従業員もいます。
一律に同じ健康経営施策を適用することは困難であり、個々の従業員のニーズに合わせた、柔軟な対応が求められます。
結果として、自社のリソースだけで対応するのは、難しい現実があります。
1-2. 健康経営に必要な人材の不足
2つめは「健康経営に必要な人材の不足」です。
健康経営を推進するには、健康経営に関する専門知識を持った人材が必要です。
しかし、そのような人材を確保することは容易ではありません。とくに中小企業では、健康経営を推進する人材が不足しがちな現状があります。
健康経営を推進するためには、外部の専門家を活用することが有効です。
健康経営に精通した専門家からサポートを受けることで、人材不足を補填できます。
あるいは、セミナーや研修によるサポートを通じて、健康経営に必要な人材を社内に育成する選択肢もあります。
1-3. 自社の課題の見えにくさ
3つめは「自社の課題の見えにくさ」です。
健康経営の取り組みは、“自社が抱える課題に対応する解決策の実践” が主体となります。
しかし、自社の課題を正確に把握することは、簡単ではありません。
たとえば、社内で従業員アンケートなどの調査を行っても、客観的な分析が難しいために、本質的な問題を見落とすことがあります。
自社にとって見えにくい部分や改善余地があるポイントを見つけ出すためには、健康経営コンサルタントなど、外部の視点を活用することも重要です。
2. 健康経営のサポートの種類と具体例
健康経営に取り組む企業が活用できるサポートには、どのような種類があるのか、見ていきましょう。
- 人材育成のセミナー・研修
- 一般従業員向けのセミナー・研修
- 健康管理システム
- アウトソーシング
- コンサルティング
それぞれ、具体的なサービスやサポート会社もあわせてご紹介します。
2-1. 人材育成のセミナー・研修
1つめは「セミナー・研修・資格取得」です。
こんなときにおすすめ
- 社内に健康経営をリードできる人材を育成したい
- 経営者自身が健康経営に必要な知識やスキルを身につけたい
- 健康経営に関する資格を取得したい
健康経営を推進するうえでは、経営者をはじめとする関係者が、健康経営の手法を理解している必要があります。
健康経営に必要な知識やスキルを身につけるために、セミナーや研修、資格取得コースなどのサポートを活用できます。
具体例
- 健康経営アドバイザー:東京商工会議所が提供する研修プログラムで、健康経営の必要性を伝え、実施へのきっかけを作る人材を育成します。経済産業省からの委託で2016年に誕生し、3万人以上が受講しています。
- eラーニング健康経営コース:日本能率協会が提供するeラーニングで、コンプライアンスやメンタルヘルスなど健康経営に関連する300コース以上の中から必要なものを選んで学べます。1年間いつでも何度でも定額で利用できます。
2-2. 一般従業員向けのセミナー・研修
2つめは「一般従業員向けのセミナー・研修」です。
こんなときにおすすめ
- 健康経営施策の一環として、従業員の健康意識を高める研修を行いたい
- 疾病予防やストレスマネジメント、栄養管理などの専門的なテーマを設定したい
- さまざまな従業員の健康課題に合う健康教育を実践したい
健康経営の実践において、従業員に対する健康教育は、重要な役割を持ちます。
社内リソースだけで、質の高い健康教育を提供するのは難しいため、専門的なセミナー・研修を積極的に活用しましょう。
具体例
- 健康LIVEセミナー:パソナが提供するオンラインセミナーで、企業の特性にマッチした健康経営度調査票対策の内容を学べます。告知サポートや参加者特典、事後のアーカイブ動画などもあります。
- オンライン健康セミナー:アドバンテッジリスクマネジメントが提供するオンラインセミナーで、女性の健康や生活習慣の改善など累計363万人以上の従業員を支援してきた実績に基づいた内容を学べます。
2-3. 健康管理システム
3つめは「健康管理システム」です。
こんなときにおすすめ
- 健康管理にかかる作業時間を圧縮して業務効率化を図りたい
- 従業員の健康データの分析を行いたい
- データに基づいた健康経営を推進したい
健康管理システムは、健康管理業務を効率化するとともに、データ活用を推進するうえで、重要なツールです。
導入することで、従業員の健康リスクを可視化し、実効性のある打ち手を検討することが可能となります。
具体例
- Carely(ケアリィ)::iCAREが提供する人事・産業保健スタッフのための健康管理システムで、健康診断・メンタルヘルス・面談管理など健康管理にかかる業務工数を効率化するだけでなく、組織の健康課題を根本から改善する予防の実現を支援します。
- ヘルス×ライフ:勤次郎が提供する健康管理システムで、健康診断・ストレスチェックの結果データと、日々の体調管理などの生活データを収集し、さらに勤怠・人事データを含めて分析可能です。
2-4. アウトソーシング
4つめは「アウトソーシング」です。
こんなときにおすすめ
- 健康経営に関する人材が不足している
- 健康経営に関連する事務処理を効率化したい
- 自社で行うよりも、より専門的に健康経営を推進したい
アウトソーシングのサポートを利用すると、事務的な作業を外部委託できるほか、自社では難しい専門的な業務を委託することもできます。
アウトソーシング企業には、健康経営に関する知見が豊富な専門家が多く在籍しており、より高度なサービスを提供している場合もあります。
具体例
- 健康支援サービス:イーウェルが提供する健康支援サービスで、 企業や健康保険組合の各種健診事業の代行から、 従業員・組合員の健康管理への意識向上までをトータルにサポートします。
- 健康管理業務アウトソーシング:パソナが提供するアウトソーシングサービスで、パソナの産業保健スタッフチームが、健康管理業務の運営を代行します。
2-5. コンサルティング
5つめは「コンサルティング」です。
こんなときにおすすめ
- 自社の課題分析から戦略立案までのサポートがほしい
- 社内の健康経営チームに外部の視点を加えたい
- 健康経営優良法人認定制度のノウハウを学びたい
コンサルティングは、健康経営を推進する専門的な知識と経験を持ったコンサルタントが、企業の健康経営の現状や課題を分析し、適切な戦略を提案します。
戦略立案のサポートを必要とする企業のほか、健康経営優良法人認定制度の取得をスピーディに実現したい企業にとっても、利用価値があります。
具体例
- 健康経営PDCAコンサルティング:パソナが提供する伴走型のコンサルティングサービスで、健康経営に取組む目的や課題を明確化したうえで最適な施策を提案。実行までサポートします。
- ウェルビーイング経営(健康経営)コンサルティングサービス:PHONE APPLIが提供するサービスで、戦略策定から実行・実現までウェルビーイング・健康経営領域における卓越した経験と専門知識を備えたコンサルタントが、クライアントの成長を総合的に支援します。
- 健康経営コンサルティングサポート:WILLEEが提供するコンサルティングサービスで、体系化されたノウハウを甚に実のある健康経営の推進を伴走サポートします。
3. 健康経営サポートの効果的な取り入れ方 4ステップ
健康経営サポートは、さまざまな種類がありますが、効果的に取り入れるためにはコツがあります。
次の4つのステップを、意識してみてください。
- 健康経営の推進に関する課題の洗い出し
- 必要なサポートの特定
- サポートを活用するためのプラン策定
- サポートの実行と評価
それぞれ見ていきましょう。
3-1. 健康経営の推進に関する課題の洗い出し
1つめのステップは「健康経営の推進に関する課題の洗い出し」です。
まずは、現在の経営課題を洗い出しましょう。具体的には、以下の質問を自問自答する方法があります。
自問自答の例
- どのような課題があるか?
- どのような分野で課題があるか?(知識、人的リソース、実行プロセス、施策立案、など)
- どのような課題が深刻か?
- どのような課題を解決すれば、健康経営の状況が改善されるか?
たとえば、以下のような課題が見つかるかもしれません。
課題の例
- 健診などの法的義務を果たすだけで手一杯になっており、人手不足が深刻である
- 経営者自身に健康経営の知識がまったくなく、どこから手を付けていいのかわからない
- すでに健康経営を進めているが、従業員の参加意識が低い
- 従業員の健康状態の把握ができておらず、健康経営の実効性が不明確である
- 健康経営の投資を進めているが、費用対効果を測定できていない
隠れた課題を発見するためには、複数人でブレインストーミング(アイデアを自由に出し合ってディスカッションする)のも、よい方法です。
3-2. 必要なサポートの特定
2つめのステップは「必要なサポートの特定」です。
前のステップで、課題を具体化できていれば、その課題に対応するサポートは比較的容易に見つけられるはずです。
「2. 健康経営のサポートの種類と具体例」でご紹介したサポートのほか、以下の記事も、参考にしてみてください。
課題が不明瞭であったり、課題抽出のための時間が割けなかったりする場合には、課題分析から依頼できるコンサルティングを利用する選択肢もあります。
利用するサポートの候補を複数ピックアップしたら、以下の点を考慮して、最適なサポートを選定しましょう。
最適なサポートを選定する基準
- 自社が抱える課題に対する適合性
- 料金(導入コストと運用コストの両方を確認)
- 実績・評価・評判
- サポート提供元とのコミュニケーションの取りやすさや相性
- 導入後のフォローアップやサポート体制
3-3. サポートを活用するためのプラン策定
3つめのステップは「サポートを活用するためのプラン策定」です。
前のステップで最適なサポートを選定したら、次にそのサポートを活用するためのプランを策定します。
具体的には、以下のようなプロセスを参考にしてみてください。
- (1)サポートの導入時期を決める
- (2)サポートをどの部署や担当者が担当するかを決める
- (3)サポートをどの程度活用するか、目標やKPIを設定する
- (4)サポートを活用するためのアクションプランを作成する
- (5)サポート提供元との打ち合わせを行い、アクションプランの内容や進捗状況などを共有する
- (6)定期的なフォローアップを行い、プランの修正や改善点の把握を行う
なお、プランの策定だけでなく、実際にアクションプランを実行し、結果を出していくことが重要です。
実行と評価については、次のステップに分けて解説します。
3-4. サポートの実行と評価
4つめのステップは「サポートの実行と評価」です。
サポートを選定するだけでなく、選定したサポートを実際に導入・活用していきましょう。
実際のプロセスは、導入したサポートの種類によって異なりますが、一般的には以下のようなステップを踏みます。
- (1)アクションプランに基づき、サポートを実際に導入・活用する
- (2)目標やKPIと照らし合わせて、実行したアクションプランの成果を評価する
- (3)評価結果を分析し、改善策を立てる
- (4)サポート提供元と打ち合わせを行い、改善策や進捗状況を共有し、アドバイスを受ける
- (5)改善点を反映させたアクションプランを再度実行する
- (6)定期的に改善策の実行状況や進捗を評価するとともに、新たな課題を洗い出し、健康経営を推進していく
評価に当たっては、目標やKPIに従って、定量的・定性的なデータを収集し、分析することが重要です。
たとえば、健診の受診率や、従業員の健康管理アプリの利用率、ストレスチェック結果などを測定できます。
評価結果をもとに改善点を洗い出し、アクションプランを修正していくことで、より効果的な健康経営を実現できます。
4. 健康経営サポート導入にあたっての留意点
健康経営サポートを導入する際には、以下の4つの留意点があります。
- コストと効果のバランス
- サポート導入時の従業員への説明・周知方法
- 従業員のニーズに合わせたカスタマイズ
- 従業員のフィードバックを反映する仕組みづくり
4-1. コストと効果のバランス
1つめのポイントは「コストと効果のバランス」です。
健康経営はビジネスの一環であるため、ROI(投資対効果)も考慮する必要があります。
サポートを導入する際には、コストと効果のバランスを見極めることが大切です。
高額なサポートを導入する場合、その費用を回収するために経営に悪影響が及ぶ可能性があります。一方、低料金のサポートを導入すると、必要な効果が得られず、投資が無駄になる場合もあります。
健康経営で目指す目標や予算と照らし合わせ、コストと効果のバランスを検討し、最適なサポートを導入することが求められます。
4-2. サポート導入時の従業員への説明・周知方法
2つめのポイントは「サポート導入時の従業員への説明・周知方法」です。
健康経営サポートを導入するときには、従業員に対して十分な説明と周知が必要です。
従業員がサポートの効果や目的を理解していない場合、サポートの導入効果を最大限に引き出せません。
健康経営には、従業員のプライバシーや健康に関わる、センシティブなトピックが含まれることもあります。
サポートの内容によっては従業員の反感を招く可能性もあることを念頭に置き、従業員にとってわかりやすく、かつ適切なタイミングで説明と周知を行うことが大切です。
4-3. 従業員のニーズに合わせたカスタマイズ
3つめのポイントは「従業員のニーズに合わせたカスタマイズ」です。
健康経営で導入するサポートは、従業員のニーズに合わせてカスタマイズすることが重要です。
健康課題においては、従業員一人ひとりが異なるニーズを持っており、同じサポートを提供するだけでは、必要な効果が得られない可能性があります。
従業員のニーズは、年齢やライフスタイルの変化によって変わることもあります。
健康経営を導入し始めた初期段階では、きめ細かなカスタマイズは難しいかもしれません。しかし、徐々に改善していくことで、成果を最大化しやすくなります。
たとえば、『みんチャレ Healthcare』のように、カスタマイズ性の高いサポートを導入するのも良策です。
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4-4. 従業員のフィードバックを反映する仕組みづくり
4つめのポイントは「従業員のフィードバックを反映する仕組みづくり」です。
従業員は日々の業務に追われるなか、自分たちにとって必要な健康経営サポートが提供されているか、自発的にフィードバックすることは難しいといえます。
そこで、従業員からのフィードバックを収集する仕組みを整える必要があります。
フィードバックを収集する仕組みとして、たとえば以下があります。
- 定期的なアンケート調査の実施
- 健康経営サポート専用の問い合わせ窓口の設置
- 上司との定例面談でのフィードバック収集
収集したフィードバックをもとに、改善点を優先度順に整理しスピーディに実行することで、健康経営の成果を加速できます。
従業員のフィードバックを積極的に取り入れることは、従業員のモチベーションや健康意識の向上にもつながるため、好循環を生み出せます。
5. まとめ
本記事では「健康経営のサポート」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。
健康経営の取り組みが難しい理由として、次の3つが挙げられます。
- 従業員の多様なニーズに対応する必要性
- 健康経営に必要な人材の不足
- 自社の課題の見えにくさ
健康経営のサポートの種類として、以下があります。
- 人材育成のセミナー・研修
- 一般従業員向けのセミナー・研修
- 健康管理システム
- アウトソーシング
- コンサルティング
健康経営サポートの効果的な取り入れ方を4つのステップでご紹介しました。
- 健康経営の推進に関する課題の洗い出し
- 必要なサポートの特定
- サポートを活用するためのプラン策定
- サポートの実行と評価
健康経営サポート導入にあたっての留意点はこちらです。
- コストと効果のバランス
- サポート導入時の従業員への説明・周知方法
- 従業員のニーズに合わせたカスタマイズ
- 従業員のフィードバックを反映する仕組みづくり
自社に合うサポートを活用しながら、健康経営の実践を進めていきましょう。