自己肯定感とは、ありのままの自分を肯定的に捉える感覚のことです。
自己肯定感が高ければ、自分の価値や存在意義を感じることができますが、自己肯定感が低ければ、自分は無価値だと感じ、低い自己評価で自分を否定しやすくなります。
自己肯定感が高いか・低いかは、“生きやすいか・生きづらいか”に直結しています。
もしあなたが生きづらさを抱えているのなら、自己肯定感について知ることが、あなたの生きづらさを解消する大きなヒントとなるかもしれません。
本記事では、幸せな人生を歩むためのカギを握る「自己肯定感」について、基礎知識からわかりやすく解説します。
本記事のポイント
●「自己肯定感」とは何なのか理解できる
● 自己肯定感が低い人・高い人の特徴を解説
● 自己肯定感を高める方法や注意点まで網羅
「自己肯定感について知りたい」
「自己肯定感を高めて幸せに生きられるようになりたい」
…という方におすすめの内容となっています。
この解説を最後までお読みいただければ、「自己肯定感の意味」はもちろん、自己肯定感を高めるためには具体的に何をすれば良いのか、わかります。
自己肯定感と向き合いながら、いま抱えている苦しさを、少しずつでも減らしていきましょう。では、さっそく解説を始めます。
目次
1. 自己肯定感とは何か?基礎知識
まずは、自己肯定感とは何なのか、基礎知識から見ていきましょう。
1-1. 自己肯定感とは“ありのままの自分を肯定的に捉える感覚”のこと
自己肯定感とは、一言でいえば「ありのままの自分を、肯定的に捉える感覚」のことです。
自分を「価値のある人間だ」と好意的に感じ、大事にされるべき存在であると思える感情や態度のことを、自己肯定感と呼びます。
自己肯定感があれば、自分の存在を価値あるものとして肯定でき、自尊心の形成や高い自己評価、自信につながっていきます。
逆に自己肯定感がないことは、自己否定や自己評価の低さ、自信のなさの原因となります。自分の存在に価値が見いだせなくなるためです。
1-2. すごい自分を肯定するのではなくダメな自分も肯定するのが自己肯定感
自己肯定感のよくある勘違いとして、
「人よりも優れた能力や、すばらしい人間性を持っているから、自己肯定感を持てる」
……というものがあります。
“自己肯定感が低いのは、能力や人間性が劣っているから”と捉えるのは、大きな誤解です。
自己肯定感の重要ポイントは、たとえ自分が優れた能力を持っていなくても、人間性がすばらしくなくても、あるがままの自分を肯定できることにあります。
すごい自分だから肯定できるのではなく、ダメな自分であったとしても、ありのまま受け入れられるという感覚が、自己肯定感です。
たとえ他人から否定されるような欠点を持つ自分であったとしても、自分は自分を否定せず肯定できる状態。それが、自己肯定感がある状態といえます。
自己肯定感とは、すごい自分を好きになることではなく、ダメな自分にもOKを出せる感覚のことなのです。
1-3. 自己肯定感は育った家庭環境や学校・社会生活を通して形成される
自己肯定感は、その人の能力や人間性に因らず、“ありのままの自分を受け入れられるか”がカギであることは前述のとおりですが、では何が自己肯定感の形成に影響を与えているのでしょうか。
それは、育った家庭環境や学校・社会生活などでの体験です。
「家族や周囲の人から、あるがままの自分を肯定的に受け入れてもらった、自分を大事にしてもらった」
という体験を多く積み重ねた人ほど、自己肯定感が高くなっていきます。
特に、心身が発達し基礎が形成されていく乳幼児期の体験は、自己肯定感に大きく影響しているといわれます。
例えば、何らかの事情で、乳幼児期に「両親や周囲の大人たちから大事にされた」という実感を持てなかった場合、自己肯定感は低くなる傾向にあります。
逆に、「両親や周囲の大人たちから、自分はとても大事にしてもらった」という実感を持っている人は、自己肯定感が高い傾向にあります。
1-4. 自己肯定感はなぜ重要なのか
近年、「自己肯定感」は注目されることの多い概念ですが、なぜ重要なのかといえば、生きづらさの原因が自己肯定感の低さにあるケースが多いからです。
自己肯定感が低いと、人生のさまざまなシーンで、つまずきやすくなります。
例えば、恋愛、夫婦関係、職場での人間関係、家族との関係、友人との関わり方、仕事でのパフォーマンス、自分の性格に関する悩み——など、
人生で直面する多くの苦しみの根本には、自己肯定感の低さが関係しているからです。
逆にいえば、自己肯定感を高めることさえできれば、多くの苦しみが軽減され、今よりもずっと生きやすくなります。
自己肯定感が低いとどんな問題が起きるのか、自己肯定感が高まると世界はどう変わるのか。
より深く理解するために、次章では自己肯定感が低い人・高い人の特徴を見ていくことにしましょう。
2. 自己肯定感が低い人の5つの特徴
自己肯定感が低いと、具体的にどんな問題が起きるのでしょうか。
ここでは、自己肯定感が低い人の特徴を5つ、ご紹介します。
- 他人の目をいつも気にしている
- ダメ出しに過剰反応する
- 精神的に不安定になりやすい
- 悪いことが起きると自分のせいだと思う
- 自信のなさをカバーするため頑張り続けている
それぞれ見ていきましょう。
2-1. 特徴1:他人の目が気になる
自己肯定感が低い人の特徴1つめは「他人の目をいつも気にしている」です。
自己肯定感が低い人にとって、“他人から評価される”ことは、自分の生存に関わるほど重要といえます。
なぜなら、自分で自分を評価できないため、他人から評価されなければ、もう自分の存在意義を失ってしまうからです。
常に“他人から自分がどう思われるか”が気になって仕方なく、周囲からは自意識過剰と思われることも。
他人の目を気にするうちに疲弊してしまうため、いつも心に疲労感を感じています。
2-2. 特徴2:ダメ出しに過剰反応する
自己肯定感が低い人の特徴2つめは「ダメ出しに過剰反応する」です。
自己肯定感が低い人は、いつも自分で自分を否定しているので、これ以上、他人から否定される“ゆとり”がありません。
すでに、否定されることの許容ラインは、上限ギリギリです。
だから、ちょっとしたダメ出しであっても過剰反応します。否定される限界を、すぐ突破してしまうからです。
例えば、仕事で上司から注意を受けると、自分の人格が否定された気分になって落ち込んだり、恋人や配偶者から「ここを直してほしい」と指摘されると、突然怒り狂ったりします。
注意や指摘をする側は、なぜそんなに過剰反応されるのか理解できないため、だんだんと関係性にひびが入ることも、少なくありません。
2-3. 特徴3:精神的に不安定になりやすい
自己肯定感が低い人の特徴3つめは「精神的に不安定になりやすい」です。
自己肯定感が低い人の毎日は、不安や心配事、自分への怒りや嫌悪感でいっぱいです。
他人の目を気にして、ダメ出しに過剰反応するのみならず、そんな自分が嫌いで、責めてしまいます。
たとえるなら、“自分に対して常に否定的な言葉を投げつけてくる人”と24時間、一緒に過ごしている状態です。
精神的に不安定になりやすく、苦しさを抱えながら日々を過ごしています。
2-4. 特徴4:悪いことが起きると自分のせいだと思う
自己肯定感が低い人の特徴4つめは「悪いことが起きると自分のせいだと思う」です。
良いこともあれば悪いこともあるのが人生です。たとえ悪いことが起きたとしても、それは必ずしも自分のせいではありません。
にもかかわらず、自己肯定感が低い人は、何でも自分のせいにして考える癖があります。
例えば、「上司の機嫌が悪そう」という些細なことでさえ、「自分のせいだ」と結び付けてしまうのです。
ほかにも、仕事のトラブルから家族の病気、子どもの反抗期まで、自分が諸悪の根源かのように錯覚して、悩み続けています。
2-5. 特徴5:自信のなさをカバーするため頑張り続けている
自己肯定感が低い人の特徴5つめは「自信のなさをカバーするため頑張り続けている」です。
自己肯定感が低い人は、
「自分がダメなのは、自分の努力が足りないからだ。もっと頑張れば解決するはずだ」
という思考に陥りがちです。
そして、死に物狂いで必死に努力をする人も、少なくありません。
実際、自己肯定感の低さをバネにして猛烈な努力を重ね、成功を収める人もいますが、どんなに成功しても、自分を認めることができないのもまた、自己肯定感の低い人の特徴です。
結果として、ワーカーホリックになって頑張り続けたり、体を壊すまで走り続けたりしてしまいます。
3. 自己肯定感が高い人の5つの特徴
ここまで自己肯定感が低い人の特徴を見てきました。自己肯定感が低いと生きづらい理由が、ありありと実感できたのではないでしょうか。
もし自己肯定感を高めることができれば、世界は大きく変わります。
自己肯定感が高い人の5つの特徴はこちらです。
- 他人の目を気にしない
- 自分が生きたいように生きている
- 精神的にタフ
- 人生を楽しんでいる
- ダメな自分でも好きだと言える
3-1. 特徴1:他人の目を気にしない
自己肯定感が高い人の特徴1つめは「他人の目を気にしない」です。
自分で自分を肯定できていると、他人から評価される必要性がありません。
自己肯定感が高い人は、“他人からどう思われるか”に振り回されることなく、
「自分は自分、人は人」
という線引きがしっかりできています。
自分がOKと思えていれば、他人から否定されようが関係ない、と心から思っています。
自己肯定感が高い人は、他人の目から自由です。
3-2. 特徴2:自分が生きたいように生きている
自己肯定感が高い人の特徴2つめは「自分が生きたいように生きている」です。
自己肯定感が高い人は、自分の意見を尊重します。自分の意見は尊重する価値があるものだと、信頼できているからです。
“信頼する自分がやりたいこと”は、もちろん実現したいと考えます。
常に「自分はどうしたいのか」に自覚的で、“自分が生きたいように生きる”ことにプライオリティがあるのです。
3-3. 特徴3:精神的にタフ
自己肯定感が高い人の特徴3つ目は「精神的にタフ」です。
人から否定されようが、仕事で失敗しようが、自己肯定感の高い人の心はなかなか折れません。
心の中の「自己肯定」のバケツの水がたっぷり満タンなので、多少、その水が目減りする出来事があっても、大きな影響は出ないのです。
自己肯定感が低い人なら、ポキッと心折れる出来事でも、あっけらかんと平気な顔で乗り切ってしまう精神的なタフさを兼ね備えています。
3-4. 特徴4:人生を楽しんでいる
自己肯定感が高い人の特徴4つ目は「人生を楽しんでいる」です。
言い換えれば、“人生を楽しむ余裕を持っている”ともいえます。
自己肯定感は、人間が安心感を持って生きていくために重要なものなので、自己肯定感が低い人は、枯渇した自己肯定感を満たすために必死になります。
すでに自己肯定感が満ちている人には、自己肯定感を満たすための労力も時間も必要ありません。
自己肯定感が高い人は、人生を楽しむゆとりを持って、充実した毎日を過ごしています。
3-5. 特徴5:ダメな自分でも好きだと言える
自己肯定感が高い人の特徴5つめは「ダメな自分でも好きだと言える」です。
自己肯定感が低い人にとって、自分の欠点は死活問題です。何とか努力によって抹消しようとがんばります。
しかし、自己肯定感が高い人は、欠点を持ったダメな自分のまま、自分のことが好きだと言えるのです。
「私には、こういうダメなところがあるんだよね」
と、明るく認めながら、そんな自分を否定しない。
ダメな自分であれ、ダメでない自分であれ、いつでも自分を否定せずに受け入れているので、生きやすい人生を歩んでいます。
4. あなたの自己肯定感レベルは?セルフチェック表
「私の自己肯定感は、どれくらいなんだろう?」
そんな疑問を持ったら、セルフチェックしてみましょう。
次の項目のうち、自分に当てはまるものは、いくつあるでしょうか。
▼ 自己肯定感のセルフチェック表
- 他人の目が気になる
- ダメ出しに過剰反応する
- 精神的に不安定になりやすい
- 悪いことが起きると自分のせいだと思う
- 自信のなさをカバーするため頑張り続けている
- 幼少期に自分が十分に大事にされたとは思えない
- 自分のことが好きになれない
- 人から褒められても素直に受け取れない
- 自由に生きている人がうらやましい
- 生きづらさを抱えている
4-1. 0〜4個:自己肯定感が高い
当てはまる項目が0〜4個だった場合は、高い自己肯定感を持っています。
特に、0〜1個だった場合は、かなり自己肯定感が高い状態といえます。
4-2. 5〜10個:自己肯定感が低い
当てはまる項目が5〜10個だった場合は、自己肯定感が低い状態です。
特に、8個以上当てはまった方は、生きるのがつらく感じることも、あったのではないでしょうか。
次章で“自己肯定感の高め方”をご紹介しますので、取り組んでみましょう。
5. 自己肯定感の高め方〜いま苦しんでいる人のための5ステップ
自己肯定感が低く、生きづらさを抱えている人のために、自己肯定感を高める5ステップをご紹介します。
- ステップ1:自分で自分に肯定的な言葉がけをする
- ステップ2:自分に否定的な言葉がけをする人と距離を置く
- ステップ3:小さな成功体験を積み重ねる
- ステップ4:自分の本当の気持ちを言葉に出す
- ステップ5:自分の本当の気持ちにOKを出す
なお、このステップは、自己肯定感が高い人から見れば、どれも簡単なことに感じられるかもしれません。
ですが、自己肯定感の低さで苦しんでいる人にとっては、取り組むのが難しいと感じるステップもあるでしょう。
無理は禁物です。自分にできる範囲で、少しずつ取り組んでいきましょう。
5-1. ステップ1:自分で自分に肯定的な言葉がけをする
1つめのステップは「自分で自分に肯定的な言葉がけをする」です。
本記事の前半で“自己肯定感は育った家庭環境などを通して形成される”とお伝えしましたが、大人になってからでも、自己肯定感を高める方法があります。
それは、乳幼児期から今までの人生で十分に得られなかった「自分は大事にされている」という実感を、
自分に対する肯定的な言葉がけの繰り返しで補充するという方法です。
▼ 自分にかける肯定的な言葉の例
- 「よくやっているね」
- 「どうもありがとう」
- 「すごいよ!」
- 「すてきだね」
- 「すばらしいね」
- 「いいと思うよ」
- 「さすがだね」
- 「できるよ」
- 「そのままでOK!」
- 「だいじょうぶだよ」
家庭で得られなかった肯定は自分で代替できる
これらの肯定的な言葉は、本来であれば家庭で、乳幼児期に保護者などから受け取るのが理想です。
しかし、「家庭で愛情を得られなかったから、もう挽回できないのでは?」と不安になる必要はありません。
臨床心理相談センター長を務める伊藤美奈子奈良女子大学教授は、自己肯定感を高めるための経験は、
「いつでも挽回可能で、いろいろなものが代替可能だと考えるべき」
と述べています(出典: 子供たちの自己肯定感を育む )。
たとえ保護者から理想的な愛情や肯定を得られなかったとしても、学校の先生、友人、新しい家族、職場の仲間、そして自分自身との対話を通して、“自己肯定感を高める経験”を重ねていけば、自己肯定感は後からでも高めることができるのです。
自分の耳に肯定的な言葉を聞かせてあげる
「自分のことが嫌いなのに、自分に肯定的な言葉なんてかけられない」
そう思うかもしれませんが、ここでの目的は“肯定的な言葉を言う”ことではありません。“自分の耳に肯定的な言葉を聞かせる”ことです。
自分に肯定的な言葉がけを行うとき、感情が伴わなくても、嫌々でも、棒読みでも、まったく問題ありません。
繰り返しになりますが、「乳幼児期に十分に得られなかった肯定的な言葉を、自分の耳に聞かせる」ことが、このステップでやりたいことです。
心の中に「自分が嫌い」という気持ちが浮かんでいたら、その気持ちは、そのままで構いません。
最初は口先だけでも良いので、肯定的な言葉を自分の耳に届け、“自分に肯定的な言葉がかけられた経験”を補充していきます。
1日3回おすすめのタイミング
肯定的な言葉を自分の耳に聞かせるタイミングとしておすすめなのは、以下の3回です。
- 朝、起きたとき
- 日中、自分を否定しそうになったとき
- 夜、寝る前
まずはこの3回を意識します。
朝の肯定的な言葉がけは、その日1日の自己肯定感を引き上げる効果があり、夜寝る前の肯定的な言葉がけは、睡眠中の潜在意識に働きかけます。
加えて日中、「私って本当にダメだ」などと自分を否定しそうになったら、
「でも、よくやってるよ」と、肯定的な言葉で上書きします。
ちなみに声の大きさは、自分だけに聞こえる小さな声で、ボソボソとつぶやくだけで十分です。肯定的な言葉を耳に聞かせる練習を始めてみましょう。
肯定的な言葉の選び方
肯定的な言葉には、たくさんの種類があります。
人によって相性の良い言葉がありますので、最初はいろいろな言葉をつぶやいてみましょう。
自分の耳に聞かせたときに、
「なんだか、ホッとする」
「じんわり、涙が出そう」
——そんな感覚があったら、あなたと相性の良い言葉です。
繰り返し、自分に聞かせてあげてください。
相性の良い言葉が見つからないときにおすすめの言葉は、次の3つです。
- 「●●は、本当によくやっているよ」
- 「だいじょうぶ、だいじょうぶ」
- 「私は、いつでも●●の味方だからね」
この3つの言葉は、自己肯定感が特に低い人の心に、響きやすい言葉になります。
●●には、自分の名前を入れて、声に出してみましょう。
5-2. ステップ2:自分に否定的な言葉がけをする人と距離を置く
2つめのステップは「自分に否定的な言葉がけをする人と距離を置く」です。
せっかく自分の中に肯定的な言葉を大量にチャージしようとしていても、肯定的な言葉を相殺する否定的な言葉を投げつけてくる人がそばにいると、効果が実感できません。
否定的な言葉は、できるだけ自分に聞かせないように、防御する必要があります。
身近にあなたを否定する人がいれば、距離を取ってください。
物理的に離れて連絡を取らないようにするのがベストですが、難しい場合には、できる限り接触する機会・時間を減らしましょう。
あなたの耳に入る否定的な言葉を、少しずつでも良いので、減らしていきます。
5-3. ステップ3:小さな成功体験を積み重ねる
3つめのステップは「小さな成功体験を積み重ねる」です。
ステップ1・ステップ2まで取り組めたら、ごくごく小さなことで構わないので、自分に成功体験を経験させましょう。
ここでいう成功体験とは、「何らかの目標を設定して、その目標をクリアできた」という成功体験です。
大切なのは成功体験の中身ではなく、成功体験を経験することです。よって、最初は成功できて当然と思えるような、本当に小さなところから始めてください。
例えば、
「1日に1回、自分にありがとうと言う」
「1週間のうち3日は24時前にベッドに入る」
「週末は1回以上自炊する」
など、自分にとってあえて“緩め”に目標設定すると良いでしょう。
慣れてきたら、少しずつ難しい目標にチャレンジしても構いませんが、最初はとにかく“小さな”成功体験に絞るのがコツです。
5-4. ステップ4:自分の本当の気持ちを言葉に出す
4つめのステップは「自分の本当の気持ちを言葉に出す」です。
自己肯定感が低い人は、自分の本当の気持ちを表現していません。
いつも、他人の都合や人からどう見られるかが優先され、
「自分は、本当はどうしたいのか?」
というあなたの気持ちが置いてけぼりです。
本当の自分の気持ちが置いてけぼりになっていることにさえ、気付けていないケースが多いのですが、ステップ3まで取り組んでいくと、徐々に自分の気持ちの存在に気付き始めるでしょう。
そうなったら、勇気を出してその気持ちを、言語化してください。
紙に書き留めたり、「本当は私、●●したい」とつぶやいたりして、まずは“自分の気持ちの存在”を認めます。
今まで存在自体を無視してきた自分の気持ちを、あるものとして認めることは、自分自身を認めることでもあるのです。
5-5. ステップ5:自分の本当の気持ちにOKを出す
5つめのステップは「自分の本当の気持ちにOKを出す」です。
ステップ4では、ただ“その気持ちがある”ことを認めるだけでOKです。それができたら、このステップ5に進んでください。
自分の本当の気持ちに、OKを出すという取り組みです。
「こんなことを思ってはいけない」
「こういう考えを持つ自分はダメだ」
といった否定する気持ちを抑えて、どんな気持ち・どんな考えであっても、
「私がそう思うこと自体は自由」
と、OKを出してあげてください。
ここまでできたら、ステップ1〜ステップ5の作業を、毎日継続していきます。その繰り返しによって、少しずつ自己肯定感は高まっていきます。
6. 自己肯定感を高めるうえでの注意点
「自己肯定感が、自分の生きづらさの原因だったのかもしれない」
そう気付くと、今すぐにでも自己肯定感を高めたくなります。
ですが、その取り組み過程では、注意したい点があります。
- 過去の分析が必ずしも役立つとは限らない
- 心と体が疲れているならまずは十分に休養する
- 2週間以上憂うつな気分が続いたら医療機関を受診する
それぞれ解説します。
6-1. 過去の分析が必ずしも役立つとは限らない
1つめの注意点は「過去の分析が必ずしも役立つとは限らない」ことです。
“自己肯定感の形成には、育った家庭環境など、過去の体験が関わっている”と聞くと、どうしても、自分の過去に意識が行きがちです。
特に、幼少期から思春期にかけての「育ちの傷」ともいえる、父親・母親・家族との確執が浮き彫りになり、苦しむ人も少なくありません。
しかしながら知っておきたいのは、自己肯定感を高めるためには、過去の分析や原因探しは、必ずしも役立たないということです。
逆に、自己流で過去のトラウマや記憶をさかのぼれば、心が不安定になることもあります。
本格的に自分の過去と向かい合いたいのであれば、自己流ではなく、カウンセラーなどの専門家の助けを得ながら行うようにしましょう。
自分ひとりでの取り組みでは、過去にとらわれ過ぎず、「今の自分の気持ち」にOKを出す練習をしていくことが大切です。
6-2. 心と体が疲れているならまずは十分に休養する
2つめの注意点は「心と体が疲れているならまずは十分に休養する」ことです。
先ほど“自己肯定感を高めるための5ステップ”をご紹介しましたが、チャレンジしてみても、うまくいかないことがあるかもしれません。
うまくいかないときの理由として多いのが、つらいことの多い毎日で、心と体が疲弊しているためです。
疲れた状態のまま、さらに頑張ろうとしても、悪循環が続いてしまいます。
心と体が疲れているのなら、最初に必要なのは十分な休養です。
自己肯定感が低い人のなかには、自分が必要な休養を取ることにさえ、OKを出せない人がいます。
「自分には休養が必要だ」と自覚し、休むことを自分に許してあげましょう。
6-3. 2週間以上憂うつな気分が続いたら医療機関を受診する
3つめの注意点は「2週間以上憂うつな気分が続いたら医療機関を受診する」ことです。
自分を否定する気持ちが強く前向きな気分になれないとき、実は心身の病気が隠れていることがあります。
治療が必要な状態にもかかわらず、自己流のケアを続けていると、病気を悪化させる可能性があり危険です。
目安としては、2週間以上、憂うつな気分が続いたら医療機関を受診して、専門家に相談しましょう。
医療機関を探すうえでは、厚生労働省の「全国医療機関検索|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」のページを利用すると便利です。
7. 自己肯定感を高めて幸せな人生を歩むために
最後に、自己肯定感を高めて幸せな人生を歩むために、あなたにお伝えしたいことがあります。
7-1. 世界はもっと優しいと知ってほしい
自己肯定感が低い人にとって、生きることは苦しく、厳しいことが多いものです。
自己肯定感が低くなった直接的な原因は、あなた自身にはありません。
たまたま、さまざまな要因が重なり合って、“ありのままの自分には価値がない”と勘違いしてしまったのです。
子どもの頃から周囲の大人の機嫌に敏感で、子どもらしく無邪気な幼少期を過ごせなかったという人も多いでしょう。
大人になったあなたにチャレンジしてほしいのは、世界はもっと優しいはずだと信じてみる勇気を出すこと。
もちろん、最初から信じることなんてできないでしょう。
「5. 自己肯定感の高め方〜いま苦しんでいる人のための5ステップ」でご紹介した取り組みを少しずつ実践しながら、一歩ずつ、チャレンジしていきましょう。
7-2. “小さな成功”を自分にプレゼントし続けよう
自己肯定感を自分で高めていくためには、小さな成功の積み重ねを、自分にプレゼントし続けることが役立ちます。
そのために、例えば「みんチャレ」のようなアプリを活用することも、おすすめです。
みんチャレは、同じ目標を持つ人が5人1組のチームとなって励まし合える「習慣化アプリ」です。
本名登録不要でニックネームで参加できるので、気軽にチャレンジできます。
ほんの少しずつで構わないので、「目標を達成できた」という経験を重ね、自己肯定感を高めていきましょう。
8. まとめ
自己肯定感とは“ありのままの自分を肯定的に捉える感覚”のことです。
すごい自分を肯定するのではなくダメな自分も肯定するのが自己肯定感で、自己肯定感は育った家庭環境や学校・社会生活を通して形成されます。
自己肯定感が低い人の5つの特徴はこちらです。
- 他人の目が気になる
- ダメ出しに過剰反応する
- 精神的に不安定になりやすい
- 悪いことが起きると自分のせいだと思う
- 自信のなさをカバーするため頑張り続けている
自己肯定感が高い人の5つの特徴はこちらです。
- 他人の目を気にしない
- 自分が生きたいように生きている
- 精神的にタフ
- 人生を楽しんでいる
- ダメな自分でも好きだと言える
自己肯定感の高め方として、以下の5ステップをご紹介しました。
- ステップ1:自分で自分に肯定的な言葉がけをする
- ステップ2:自分に否定的な言葉がけをする人と距離を置く
- ステップ3:小さな成功体験を積み重ねる
- ステップ4:自分の本当の気持ちを言葉に出す
- ステップ5:自分の本当の気持ちにOKを出す
自己肯定感を高めるうえでの注意点として、以下が挙げられます。
- 過去の分析が必ずしも役立つとは限らない
- 心と体が疲れているならまずは十分に休養する
- 2週間以上憂うつな気分が続いたら医療機関を受診する
“小さな成功”を自分にプレゼントしながら自己肯定感を高め、あなたらしい人生を歩むための一歩を踏み出してみましょう。
あなたが思うよりも安全で、優しい世界が広がっているはずです。
今はそう思えなくても構いません。少しずつ、一歩ずつ、無理せずに。自分のペースで歩いてみてください。