「飽き性を直したい、飽き性な自分がイヤ」
そんな風に自己嫌悪に陥っていませんか。
しかし、
「飽き性であることは、あなたの脳が生まれ持った素晴らしい個性です」
——と聞いたら、どうでしょうか。
これは気休めでも慰めでもなく、脳科学から見た事実です。
飽き性の脳を持つあなたが生きやすくなるためには、飽き性を克服するというよりも、飽き性の特性をうまく活かしながら共存していくという視点が大切です。
本記事では、飽き性の人の上手な生き方を指南します。
本記事のポイント
- 飽き性の仕組みや特性が理解できる
- 特徴を押さえたうえで実生活に直結する対策を紹介
- 飽き性でも物事を続けられるコツがわかる
「飽き性な自分を変えたい」
と悩み中の方には、タイムリーに参考になるはずです。
この解説を最後までお読みいただければ、飽き性な自分を好きになり、今よりもずっと上手に仕事・恋愛・続けたい物事を継続できるようになります。
ではさっそく解説を始めましょう。
目次
1. そもそも飽き性とは?
まずはそもそも「飽き性」とは何なのか、基本的な部分から見ていきましょう。
1-1. 飽き性の意味
「飽き性」の意味は、物事に飽きやすい性質のことです。
何かを続けようとしても早い段階で嫌になって長く続かなかったり、すぐに興味がなくなったりするのが、飽き性の状態です。
飽き性と同じ意味を持つ言葉としては「三日坊主」があります。飽き性と同じく、飽きやすくて何をしても長続きしないことを指します。
1-2. 「飽きる」ことは脳の特徴のひとつ
「飽き性」という言葉は、「飽き性=良くないこと」という前提でネガティブに使われることが多いものです。
しかし、そもそも「飽きる」ことは脳が持っている特徴といえるため、人間が飽きるのは当然ともいえます。
東京大学教授・脳科学者の池谷裕二氏によれば、人間の脳の大脳皮質には「馴化(じゅんか)」という性質があり、生きていくために必要な反応として「飽きる」ようにできています。
馴化とは?
異なる環境に移された生物が、次第になれて、その環境に適合した性質をもつようになること(広辞苑・第7版)。
◆参考:上大岡トメ,池谷裕二『のうだま やる気の秘密』
1-3. 人より飽きやすいと飽き性と呼ばれる
「馴化」という脳の正常反応と考えれば、飽きることは悪いことでもおかしなことでもありません。
人と比較したとき、相対的に飽きやすさが強い人が飽き性と呼ばれるだけで、飽き性であることはひとつの立派な個性ともいえるのです。
2. 飽き性は克服しなくていい!うまく共存することが大事
飽き性は、克服する必要はありません。必要なのは、うまく共存することです。
2-1. まずは飽き性の自分を受け入れる
「飽き性の自分はダメ」
「飽き性の性格を直さなければ」
そんな風に自分を否定して、自己嫌悪に陥っていませんか?
実は、自己否定を続けるほど、飽き性は直しづらくなります。なぜなら、飽き性のことが余計に気になって、そちらに意識が引っ張られてしまうからです。
まずは飽き性の自分を、ありのまま受け入れること。
飽き性は自分のひとつの特性でしかないと割り切って、飽き性名自分をまるごと肯定してしまいまししょう。
2-2. 飽き性を直すよりも活かす方法を探した方が幸せになれる
「飽き性の自分を肯定して、本当にいいの?」
「飽き性を直さないと、幸せになれないのでは?」
そんな不安が胸をよぎった人に知ってほしいのは、飽き性を直すよりも活かす方法を探した方が幸せになれるという事実です。
飽き性は脳の特性でもありますから、無理やり矯正しようとしても難しいものです。
それよりも、飽き性の自分を活かす方が、ずっと楽に楽しく、幸せな人生を歩むことにつながります。
そして「飽き性の自分を活かす」ための第一歩は、先ほどお伝えした「飽き性の自分を受け入れること」となります。
飽き性である自分を受け入れていなければ、飽き性を活かそうという気持ちにはなれないからです。
2-3. 飽き性の特徴を知れば対策が見えてくる
では、飽き性を活かすためには、具体的に何をすれば良いのでしょうか。
まず必要なのは、飽き性である特徴、特に飽き性のメリットとデメリットについて、きちんと把握しておくことです。
飽き性にはどんな強み・弱みがあるのか知れば、必要な対策が見えてきます。
詳しくは次章でご紹介しましょう。
3. 飽き性の特徴とは?
飽き性の特徴として、どんなメリット・デメリットがあるのか、見ておきましょう。
3-1. 飽き性のメリット:変化に強い
飽き性の良いところは何か?といえば、一言で言えば「変化に強い」ことです。
「飽きる力が強い=同じ状態で居続けるのが好きではない」ということなので、変化することを恐れません。
自分のことを飽き性だとネガティブに捉えている人は、まさかそんな長所が隠れているとは信じられないかもしれませんが、ぜひ受け入れてください。
飽き性であるあなたの長所は、変わり続ける強さを持っていることです。
例えば、こんなことが思い当たりませんか。
- 好奇心が旺盛ですぐ新しいことに興味を惹かれる
- 実はいろいろな趣味に手を出して体験したことがある
- たくさんのバイトや職場を経験した
- すぐ飽きるのでずっと同じ状態ではいられない
- 住む場所や食べ物など生活環境が変わっても苦にならない
変化する強さは、誰もが持っているものではありません。
飽き性ではない代わりに、
「変化するのはイヤ」「今のまま、ずっと変わらずにいたい」「変化は怖い」
——という感覚の人たちもたくさんいるのです。
この「変化に強い」「変わり続けることができる」という飽き性のメリットを最大化することが、飽き性を活かすポイントとなりますので、覚えておきましょう。
3-2. 飽き性のデメリット:継続が苦手
次に、飽き性のデメリットは「継続が苦手」ということです。
これは、わざわざいうまでもないことかもしれませんが、 ひとつの物事を長く続けることに苦手意識があるはずです。
- 何かを続けようと思っても挫折してしまう
- 熱しやすく冷めやすい
- 一人のパートナーと長い恋愛が続きにくい
- すぐ仕事を辞めたくなることがある
逆にいえば、飽き性という自分の個性を抱えたままでも、物事を継続することさえできるようになれば、飽き性のデメリットはなくなります。
そして、飽き性の人でも、工夫すれば物事を継続できるようになります。
飽き性の人が、何かを続けるための対策は、続けてご覧ください。
4. 飽き性の対策(1)仕事が続かない
ここからは、具体的な悩み別に、飽き性の対策をご紹介していきます。
まずは「飽き性のせいで、仕事が続かない」ときの対策を3つ、見ていきましょう。
- 飽き性が強みになる仕事を選ぶ
- 仕事に自分で変化を作る
- 独立を視野に入れて将来を考える
4-1. 飽き性が強みになる仕事を選ぶ
1つめの対策は「飽き性が強みになる仕事を選ぶ」です。
飽き性が強みの仕事とは、すなわち目まぐるしく変化する仕事です。
先に述べたとおり、誰もが変化に対応できるわけではありません。「毎日できるだけ淡々と、変化のない仕事がいい」という人も多いのが現状です。
ですが、飽き性の人は、むしろ変化を歓迎できる強みがあります。
例えば、変化が多い仕事としては、以下が挙げられます。
飽き性におすすめの仕事
- 案件ごとにクライアントや顧客が変わる仕事
・営業
・広告代理店
・コンサルタント
・クリエイター
・デザイナー - 新商品や新規事業を立ち上げる仕事
・商品開発
・事業企画
・経営企画
逆に、同じ作業の反復が続くような業務や、じっくりとひとつのことに取り組む必要がある仕事は避けましょう。
飽き性におすすめではない仕事
- 事務職
- 管理系(品質管理、経理、総務など)
- 工場勤務
- 研究開発
飽き性の人は、仕事の選び方を変えるだけで、急に仕事が長続きするようになることも、珍しくありません。
長く仕事を続けたいのであれば、できるだけ変化の多い仕事を選ぶのがポイントです。
4-2. 仕事に自分で変化を作る
2つめの対策は「仕事に自分で変化を作る」です。
前述のとおり、職種として変化の多い仕事を選んだうえで、毎日の“仕事の仕方”にも、自分で変化を加えましょう。
例えば、ルーティンワークで使用しているテンプレートのファイルがあれば、そのファイルに改良を加えて、使いやすくすることも変化のひとつです。
あるいは、“仕事に使う道具を定期的に変える”ことも、地味に見えて有益ですからぜひ試してみましょう。
ノート、手帳、ペンなどの文房具や、職場環境として可能であれば、椅子・デスク・パソコンなどを変えることも、自分を飽きさせない刺激となります。
仕事に自分で作る変化の例
- ルーティンワークのやり方を改良し続ける
- 仕事に使うツールや環境を変化させ続ける
ここで、とにかく飽き性で物事が続かない性格の持ち主であるAさんが、飽き性対策をしているうちに会社の幹部になってしまった例をご紹介しましょう。
飽き性対策していたら幹部になったAさんの例
Aさんの飽き性っぷりは筋金入りで、バイトも学校も恋愛も、何も続きませんでした。人生を振り返ると、辞めなかったことが何も思いつかないほどです。
社会人になってからも仕事が続かず、いくつかの職場を転々としましたが、20代のある時期、家族の事情などが重なって、
「どうしても仕事に飽きるわけにはいかない。今の仕事は絶対にやめられない」
……という状況に追い込まれてしまいました。
窮地に追い込まれたAさんが苦肉の策で繰り出したのが、
「飽きやすい自分を飽きさせないために、毎日変化を自分で自分に提供する」
という方法です。
同じ作業を繰り返すと、あっという間に飽きてしまう自分の特性を熟知していたAさんは、それから1度も同じやり方で仕事をすることはありませんでした。
例えば、単なるExcelの書類作りでも、毎回、どこかに工夫や改良を加えました。
最初は改良できる部分がたくさんあるので簡単ですが、毎回改良していると改良の余地は少なくなっていくため、必然的に改良のレベルが異様に高度になっていきます。
最終的には、いくつかのプログラム言語を覚えて入力を自動化したり、海外で最先端のビジネスアイデアを企画に反映させたりするように。
Aさん本人としては、ただ自分を飽きさせないために工夫していただけのつもりだったのですが、会社側からは優秀な人材として認知され、幹部として活躍する人生となりました。
実は「飽きないために変化し続けること」は「常に上を見て成長し続けること」と同じだったことにAさんは気付きます。
Aさんのケースは、飽き性だからこそ、飽き性の強みを活かして成長できた好例といえるでしょう。
4-3. 独立を視野に入れて将来を考える
3つめの対策は「独立を視野に入れて将来を考える」です。
実は、飽き性の人が多い職種が「経営者」です。
たくさんのことに興味関心が移り、スピーディに変化に対応していく性質を活かして、経営者として成功している人が数多くいます。
自分が飽き性であるという自覚があり、工夫しても、ひとつの職場に長く勤められない場合には、独立することも視野に入れ、前向きに将来を考えましょう。
実際に「飽き性」であることを活かして成功している社長や役員の例を、以下にリンクしておきますので、目を通してみてください。
飽き性で成功している社長の例
5. 飽き性の対策(2)恋愛が続かない
次に恋愛における飽き性のお悩み対策を見ていきましょう。
- 距離感を近づけすぎない
- マンネリを防ぐ工夫をする
- 自分以上に飽き性のパートナーと恋愛する
5-1. 距離感を近づけすぎない
1つめの対策は「距離感を近づけすぎない」です。
ここで飽き性の得意技である「馴化(じゅんか)」についておさらいしましょう。
馴化とは?
異なる環境に移された生物が、次第になれて、その環境に適合した性質をもつようになること(広辞苑・第7版)。
恋人との距離感を近づけすぎて、一緒にいる時間が長くなると、お互いにその環境に馴化していきます。
馴化した結果、もちろん快適により長く一緒にいられるようになることもあるのですが、相手に飽きてしまう可能性もあるでしょう。
飽きないためには、馴化を起こさないこと。
あえて一緒にいる時間を減らしたり、会う頻度を少なくしたりして適度な距離を保ち、「慣れない」ようにすることが第一に大切なポイントです。
「この人には、飽きたくない、ずっと好きでいたい」
と思ったときこそ、急速に距離を縮めてずっと一緒にいるのはご法度です。
飽きたくない相手こそ「あえての距離感が大事」と覚えておきましょう。
5-2. マンネリを防ぐ工夫をする
2つめの対策は「マンネリを防ぐ工夫をする」です。
「距離感が大事」とはいっても、例えば同棲している場合や、学校や職場の都合で同じ時間を共有せざるを得ない場合には、マンネリを防ぐ工夫を積極的に行う必要があります。
マンネリを防ぐ工夫にはさまざまなやり方がありますが、効果の高い方法を例として挙げましょう。
マンネリを防ぐ工夫の例
- お互いに髪型・メイク・ファッションなどを定期的に変えてイメチェンする
- デートの場所を毎回変える/一度行ったレストランや場所に繰り返し行くのは避ける
- お互いの友だち・家族・仕事仲間など新しい人脈を広げていく
- 記念日・誕生日などのイベントを大切にして非日常を作る
- 一緒にできて続けるごとに変化や成長が感じられる趣味を作る(スポーツ、楽器、アートなど)
マンネリを防ぐコツは「同じ状態を続けないこと」。
ふたりの間に、常に意図的に変化を起こし続けることで、馴化が起きにくくなります。
5-3. 自分以上に飽き性のパートナーと恋愛する
3つめの対策は「自分以上に飽き性のパートナーと恋愛する」です。
これは荒療治ともいえますが、自分よりも飽き性のパートナーと恋愛すると、必然的に“自分が飽きられない”ために、数多くの努力をせざるを得ません。
前述の距離感のキープやマンネリを防ぐ工夫も、自分のためではなく相手のために行うことになります。
そんな日々のメリットは、何よりも自分自身が相手に飽きにくいこと。
飽き性のパートナーを選び、スリリングで刺激的な毎日を楽しみましょう。
6. 飽き性の対策(3)やりたいことが続かない
最後に「やりたいことがあるのに、続けられない」という悩みに対する対策をお伝えします。
- 飽き性でもできる「習慣化」を使う
6-1. 飽き性でもできる「習慣化」を使う
飽き性の人が物事を続けるための対策は、ひとつしかありません。
それは、飽き性であろうがなかろうが関係なく、誰でも物事が続くようになるテクニック「習慣化」を使うことです。
習慣化とは、同じ状況のもとで繰り返し行われた行動がやがて定着し、本人の意志や気分に影響されずに、勝手に自動化されて行われる状態を指します。
飽き性の人でも習慣化すれば物事が続くようになります。習慣化には「飽きる/飽きない」は関係ないからです。
例えば“お箸を持つ”ことは典型的な習慣化された行動ですが、どんなに飽き性の人でも、
「お箸を持つのに飽きたから、もうお箸を使いたくない」
……とは、ならないはずです。
▼ お箸を持つ
具体的にどうすれば習慣化ができるのか、テクニックの内容は「あなたが行動を習慣化したいと思った時におすすめの記事」にてご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
専門家監修のもとに開発された習慣化アプリの利用もおすすめです。
「みんチャレ」は、習慣化を成功させたい5人がチームを組んで、チャットで励まし合いながら習慣化を行うアプリです。
習慣化は、同じ属性や環境の人と行うと習慣化しやすいことが科学的にわかっており、それを誰でも参加できる簡単な方法で実現したのがみんチャレです。
飽き性でも物事が続くようになりますから、スマホにダウンロードしておきましょう。
7. まとめ
飽き性であることに悩む人は多いですが、「飽きる」ことは脳の特徴のひとつです。
飽き性を克服しようとするよりも、自分の生まれ持った脳が持つ個性として受け入れ、うまく共存することが大切です。
飽き性の具体的な対策として、以下をご紹介しました。
仕事が続かない
- 飽き性が強みになる仕事を選ぶ
- 仕事に自分で変化を作る
- 独立を視野に入れて将来を考える
恋愛が続かない
- 距離感を近づけすぎない
- マンネリを防ぐ工夫をする
- 自分以上に飽き性のパートナーと恋愛する
やりたいことが続かない
- 飽き性でもできる「習慣化」を使う
「飽き性」といわれる人たちの中には、変化に強くスピーディに動ける行動力を活かして、大きな成功を収めているケースも少なくありません。
ぜひ今日から飽き性について悩むことは手放して、飽き性を活かしながら、自分が思う人生をかじ取りしていきましょう。