酵素ダイエットとは、新陳代謝にかかわる「酵素」を上手に利用することで、痩せやすい体づくりを目指すダイエット法です。
正しい知識を持って取り組めば、健康的なダイエットの助けとなり得ますが、注意が必要です。
というのは、2010年代に酵素ダイエットが大ブームとなって以降、「酵素を飲むと痩せる!」との誤った情報が氾濫しているからです。
「えっ、酵素を飲むと痩せるんじゃないの?誤った情報なの?」
と思った方も、いるかもしれません。
結論からお伝えすると、いくら酵素を飲んでも、酵素によって痩せることはありません。
本記事では、「そもそも酵素って何?」という基礎知識から、“どうすれば酵素をダイエットに役立てられるのか?”まで、わかりやすく解説します。
本記事のポイント
- 酵素とは何か理解できる
- 酵素ダイエットのメリット・デメリットを解説
- 酵素をダイエットに活用する正しい知識をお伝え
「酵素ダイエットに興味がある」
「やったことがあるけれど、痩せなかった」
…という方におすすめの内容となっています。
この解説を最後までお読みいただければ、酵素ダイエットの誤解がなくなり、健康的に痩せるための活用法がわかります。しっかり知識をつけて、賢くダイエットを成功させましょう。
また、詳しくは3-1で説明しますが、ダイエットの基本は「食事で摂取エネルギー量を減らす、運動によって消費エネルギーを増やす」ことです。
基本を行ったうえで、「プラスαとしてお好みで加えるのが酵素」のスタンスで取り入れましょう。
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実際にみんチャレを使ってダイエットに成功された方にインタビューしていますので、以下の記事を参考にしてみてください。
1. 酵素ダイエットとは?基本の知識
まずは基本的な知識から解説します。
1-1. 酵素は体内でさまざまな働きをするタンパク質のこと
「酵素ダイエット」と聞くと、新しくてスゴいダイエットのように感じるかもしれません。ですが、酵素は中学校の理科で習っているはずです。
アミラーゼやペプシンは酵素の一種
例えば、以下が酵素の一例です。
- アミラーゼ:唾液に含まれ、デンプンを分解する
- ペプシン:胃液に含まれ、タンパク質を分解する
- リパーゼ:すい液に含まれ、脂肪を分解する
少し記憶が蘇ってきた方もいるでしょうか。
酵素はタンパク質
酵素とは何かといえば、実体としては「タンパク質」です。体内で起こるほとんどの化学反応には酵素が必要です。
ヒトの体内には約5,000種類もの酵素があるといわれています。学校で習ったアミラーゼ、ペプシン、リパーゼなどは、そのうちのほんの一部分です
消化酵素と代謝酵素
酵素には「消化酵素」と「代謝酵素」の大きく2つに分けられます。
- 消化酵素:食物に含まれる栄養素を分解して消化する働きをする酵素
- 代謝酵素:分解された栄養をエネルギーに変えるなど代謝の働きをする酵素
1-2. 酵素自体にダイエット効果はない
ここまでに解説した消化酵素・代謝酵素は体内に存在するものです。
一般的に知られている「酵素ダイエット」は、酵素が含まれた酵素ドリンクやサプリメントを摂取することで、消化酵素・代謝酵素を補う(→結果、痩せる)というコンセプトです。
ですが、食べ物に含まれる酵素と、体内に存在する消化酵素や代謝酵素とは別物です。いくら酵素を口から摂取しても、体内の酵素の代わりはできません。
国立健康・栄養研究所の見解
国立健康・栄養研究所の公式サイトでは、以下のとおり解説されています。
【Q】最近、様々なメディアで「一生に作れる酵素の量は決まっていて、消化酵素を食事で補うことで代謝酵素をその分作れるから酵素を摂取することは大切だ」などと言われていますが、本当でしょうか?
【A】酵素が不足しているから食べ物から補給しなければならないという話は、商品の広告記事でよく見ます。しかし、このような考え方は、現在の科学的な考え方では説明できません。
一生に作れる酵素の量は決まっているわけではなく、消化酵素を作らなかった分、代謝酵素を作るということもありません。
先ず、酵素はたんぱく質なので、通常は消化管で分解されて活性がなくなり、そのまま血液中に入って作用することはありません。口から摂取した酵素で意味があるのは、おそらく消化管で作用する消化酵素だけでしょう。
次に、生体には様々な酵素がありますが、それらは体内で合成され、それぞれ基質特異性や至適pHがあり、必要な場所で作用しています。様々な酵素を一括し、少ないから補うなどとは言えません。
酵素の痩身効果を掲げた4社に措置命令
「酵素で痩せる」と訴求している広告を見かけることもありますが、これらにはエセ科学という批判があることを知っておきましょう。
実際、消費者庁の発表(2019年3月)によれば、“酵素等の成分の作用による痩身効果を標ぼうする食品”の販売会社4社に措置命令が出ています。
参考:消費者庁
そもそも酵素を摂取しても痩せない
そもそも体内にある酵素と同じ成分を口から摂取したとしても、痩せません。実際に医療で使われる「消化酵素製剤」がありますが、服用すると消化がよくなる効果があるだけで、痩せはしないのです。
「酵素で痩せたい!」と意気込んでいた方にとっては、ガッカリする結果かもしれません。
ただし、ここまでご紹介した知識を踏まえたうえでうまく活用すれば、酵素をダイエットの味方にできます。次章からはメリット・デメリットを見ていきましょう。
2. 酵素ダイエットのメリット
ダイエット中に、食物酵素が含まれる食品や酵素ドリンクを併用するメリットとして、以下が挙げられます。
- 消化が良くなる
- 腸内環境が整う
- 酵素ファスティング(断食)で体重が落ちやすくなる
それぞれ見ていきましょう。
2-1. 消化が良くなる
1つめのメリットは「消化が良くなる」です。
生の野菜やフルーツは、自らを分解する酵素を多く含む食べ物です。
たとえば、「胃腸の調子が悪いときには、大根おろしがいい」と聞いたことがあるかもしれません。大根にはジアスターゼという消化酵素が含まれているため、消化を助けてくれるのです。
「ダイエットすると胃腸の調子が悪くなる」というダイエッターは、ぜひ酵素を活用しましょう。
2-2. 腸内環境が整う
2つめのメリットは「腸内環境が整う」です。
ポッコリお腹の原因となる便秘はダイエットの敵といえますが、ダイエット中は便秘に悩まされるという方はたくさんいます。
便秘対策として、酵素を活用するのは良いアイデアです。なぜなら、酵素の働きによって生成される代謝物は、直接的に腸内環境を整えて善玉菌を増やしてくれるからです。
たとえば、酵素ドリンクとして発売されている飲料は、酵素の代謝物が多く含まれています。腸内環境が良くなることは、酵素ドリンクをダイエットに使うメリットといえます。
参考:教えて!酵素のギモン|大高酵素
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2-3. 酵素ファスティング(断食)で体重が落ちやすくなる
3つめのメリットは「酵素ファスティング(断食)で体重が落ちやすくなる」です。
酵素ドリンクは、ファスティング(断食)とセットで推奨されることが多いのですが、ファスティングによる摂取カロリーの減少や食習慣のリセット効果によって、体重が落ちやすくなるケースはよく見受けられます。
厳密にいえば、「酵素」ではなく「ファスティング(断食)」によるダイエット効果です。
“酵素ドリンクをファスティングのお供にすることでファスティングの成功率が上がる”と考えれば、相乗効果ともいえます。
※ファスティング(断食)のダイエットは以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
3. 酵素ダイエットのデメリット
一方、酵素ダイエットのデメリットとして挙げられるのが次の3つのポイントです。
- 酵素だけでは痩せない
- (酵素ドリンクによっては)飲みすぎで太るリスクがある
- 生の食べ物が体に合わない人もいる
3-1. 酵素だけでは痩せない
1つめのデメリットは「酵素だけでは痩せない」です。
繰り返しになるのですが、「酵素ダイエット=酵素ドリンクを飲めば痩せる」は誤解です。酵素それ自体に痩せる効果はありません。
消化を良くする・腸内環境を整えるといった、健康・美容への好影響は期待できますが、酵素だけで痩せるのは不可能です。
ダイエットの基本は「食事で摂取エネルギー量を減らす、運動によって消費エネルギーを増やす」こと。
基本を行ったうえで、「プラスαとしてお好みで加えるのが酵素」のスタンスで取り入れましょう。そうしないと、「酵素を飲んでいるのに痩せない」という失敗の原因となります。
3-2. (酵素ドリンクによっては)飲みすぎで太るリスクがある
2つめのデメリットは「(酵素ドリンクによっては)飲みすぎで太るリスクがある」です。
ダイエット用の酵素ドリンクとして販売されている商品の多くは、野菜や果物に砂糖を加えて発酵させ作られており、実体は「甘いシロップ」です。
「酵素には痩せる効果がある」と信じて飲み続けると、太ってしまうケースがあります。
摂取カロリー・糖分としては、「野菜・果物・砂糖」をたくさん食べているのと同じだからです。
3-3. 生の食べ物が体に合わない人もいる
3つめのデメリットは「生の食べ物が体に合わない人もいる」です。
これは、市販の酵素ドリンクを使わずに、生野菜や果物から酵素を取る場合のデメリットです。
生野菜や果物は「冷え」の原因ともなり、人によっては合いません。同じ野菜でも、火を通して食べたほうが体の調子が良いという人もいます。
体が冷えると代謝が悪くなり、ダイエットには逆効果です。
4. 失敗しない酵素ダイエットのやり方 3つのポイント
酵素ダイエットのメリット・デメリットを踏まえたうえで、失敗しない酵素ダイエットのやり方をお伝えします。
4-1. 酵素を多く含む食材を毎食取り入れる
最初は、「毎食、1つ以上、酵素を多く含む食材を取り入れる」ことから始めましょう。
酵素は熱に弱い特性があるので、熱を通さずに食べることが基本となります。具体的におすすめの食材は、以下のとおりです。
- プロテアーゼの多い食品(タンパク質分解酵素)
麹、納豆、塩辛、パイナップル、パパイア、いちじく、キウイ、プルーン、りんご、ゴーヤ、メロン、玉ねぎなど - アミラーゼの多い食品(でんぷん分解酵素)
大根、キャベツ、山芋、かぶ、バナナ、生姜、キウイ、パプリカ、梨など - リパーゼの多い食品(脂肪分解酵素)
納豆、味噌、漬物、甘酒、チーズ、アボカド、イチゴ、オレンジ、スイカ、グレープフルーツ、大根、人参、ほうれん草、セロリ、トマトなど
出典:社会福祉法人健成会
体の冷えを感じやすい方は、フルーツを冷蔵庫で冷やさずに常温で食べる・甘酒や納豆を取り入れるなど、工夫してみましょう。
4-2. 酵素ドリンクやサプリメントは少量で試してから購入する
酵素を多く含む食材を取り入れたうえで、「もっと酵素を増やしたい」と感じたら、市販の酵素ドリンクやサプリメントの利用を検討するのも良いでしょう。
ただし、本記事の前半でご説明したとおり、酵素の痩身効果を標ぼうした会社は消費者庁から措置命令が出ています。「酵素で痩せる」といった煽り広告を出している商品は選ばないよう注意してください。
自分に合うかわからない段階でのまとめ買いや定期購入の契約も避けるのが賢明です。
たとえば、酵素ダイエットブームより前から存在し90年の歴史ある老舗「大高酵素」の酵素ドリンクは、 60ml 540円(税込)から購入できます(スーパーオータカ60ml)。
少量で試してみて、「自分に合う」と思えたら本格的に購入してみましょう。
4-3. 他のダイエット方法と組み合わせる
ここまでお読みいただければご理解いただいているとおり、酵素それ自体にダイエット効果はありません。
食材やドリンクで酵素を取り入れるだけでは、ダイエットに失敗してしまいます。
酵素を取り入れつつ、ベースとなる他のダイエット方法を行ってください。
具体的におすすめのダイエット方法は「おすすめダイエット14選!目標別に確実に痩せる方法の厳選まとめ」でご紹介しています。
▼ 10kg以上体重を減らす
- レコーディングダイエット
- 糖質制限
- 有酸素運動
- 全身の筋トレ
- ダイエット外来(肥満外来)
▼ 部分痩せ・ボディメイク・体型を変える
- 半身浴
- ヨガ・ピラティス
- 変えたい部位の筋トレ
▼ 食事制限を成功させる
- 置き換えダイエット
- 食べ放題ダイエット
- 栄養補助サプリメントの併用
▼ ダイエットのやる気を高める
- 催眠ダイエット
- やる気のコントロール
- モチベーションマネジメント
出典:おすすめダイエット14選!目標別に確実に痩せる方法の厳選まとめ
自分に合うダイエットを選んで、酵素と組み合わせて実践していきましょう。
5. まとめ
酵素ダイエットとは、酵素の力を活用してダイエットをスムーズにするダイエット法のことです。
大ブームの影で、根拠のない広告表現によって措置命令を受ける企業も出ており、誤った情報が広まっている点に注意が必要です。
酵素は体にとって重要な働きをしますが、酵素ドリンクやサプリメントを取っても、痩せる効果はありません。
ダイエット中に酵素を取り入れるメリットとして以下が挙げられます。
- 消化が良くなる
- 腸内環境が整う
- 酵素ファスティング(断食)で体重が落ちやすくなる
デメリットとして以下が挙げられます。
- 酵素だけでは痩せない
- (酵素ドリンクによっては)飲みすぎで太るリスクがある
- 生の食べ物が体に合わない人もいる
失敗しない酵素ダイエットのポイントは以下のとおりです。
- 酵素を多く含む食材を毎食取り入れる
- 酵素ドリンクやサプリメントは少量で試してから購入する
- 他のダイエット方法と組み合わせる
酵素だけで痩せることはできませんが、健康や美容への好影響は期待できます。上手に取り入れながら、ダイエットに取り組んでいきましょう。