白湯とは?ダイエットやデトックスに効果ありの理由と作り方・飲み方

白湯(さゆ)とは、水を沸かしたお湯のことです。お茶などを抽出して色のついたお湯と区別して、まっさらな透明な湯という意味で白湯、といいます。
 
水を10〜15分沸騰させた後、50℃〜60℃程度まで冷ました白湯をゆっくり飲むことは、健康法・美容法として注目を集めています。「白湯は最強の飲み物」「若返るスーパードリンク」と呼ぶ人もいます。
 
心身の健康や美容のために白湯を飲み、白湯によって大きな効果を実感している人たちがいるのです。
 
本記事では「白湯」の不思議にも思える効果とその理由、作り方や飲み方を解説していきたいと思います。

本記事のポイント

  • 白湯とは何か基本から理解できる
  • 白湯から得られる効果とその理由を解説
  • 作り方や飲み方の注意点・継続のコツをお伝え

「白湯とは何か知りたい」
「美容健康に効果があるなら自分もやってみたい」
…という方におすすめの内容となっています。
 
この解説を最後までお読みいただければ、「白湯の基礎知識」はもちろん、白湯のルーツや理論、効果ありといえる根拠を、多方面から理解できます。
 
「なぜ白湯である必要があるのか」「どうやると効果があるのか」といった疑問を解消して、美容やアンチエイジング、健康への大きな効果を実感していただければと思います。

また、白湯にはダイエット効果がありますが、健康的にダイエットをするなら、食生活の見直しや適度な運動も取り入れることも大切です。
同じ目標を持つ仲間と一緒にダイエットを続けるアプリ「みんチャレ」を使っ食事や運動などの生活習慣を改善し、健康的なダイエットに成功されている方にインタビューしていますので、以下の記事を参考にしてみてください。

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1. 白湯(さゆ)とは?基本の知識

 
まず白湯とは何か、言葉の意味や概要からご紹介します。

 

1-1. 白湯(さゆ)とは水を沸騰させたお湯のこと

冒頭でも触れましたが、白湯(さゆ)とは水を沸騰させたお湯のことです。
 
これからご紹介していく“美容法・健康法としての白湯”には、作り方や温度などのルールがあります。
 
ですが、辞書的な意味での「白湯」は、水を沸騰させた“ただのお湯”を指します。

▼ 白湯:辞書的な意味
【白湯】真水を沸かしただけの湯。

出典:デジタル大辞泉

読み方は「さゆ」が一般的ですが、「しらゆ/はくとう」という読み方もあり、これらも間違いではありません。
 
ただ「白湯(パイタン)」と読むとまったく違う意味になります。

▼ 白湯(パイタン)
《中国語》豚骨や鶏がらなどを煮込んで作る、白く濁ったスープ。

出典:デジタル大辞泉 

美容・健康効果が期待できるのは、“パイタン”ではなく“さゆ”のほうです。

白湯を冷ますと「湯冷まし」になる

 「白湯とは湯冷ましのことですか?」
という質問がありますが、沸騰させただけのお湯(白湯)を冷ますと、湯冷ましになります。

▼ 湯冷ましの意味
【湯冷まし】湯をさましたもの。

出典:デジタル大辞泉

何度まで冷ますと湯冷ましと温度が決まっているわけではありませんが、一般的には人肌程度(35〜37℃)に冷ましたお湯を、“湯冷まし”と呼んでいます。

 

1-2. 健康法としての白湯のルーツ「アーユルヴェーダ」

辞書的な意味としては“ただのお湯”でしかない白湯。
 
それが「白湯は最強の飲み物」「若返るスーパードリンク」など、特別な飲み物として扱われるルーツは、「アーユルヴェーダ」にあります。
 
アーユルヴェーダでは、白湯は消化力を高め、浄化力や代謝力を上げ、生命力のもととなるエネルギーをつくる飲み物と考えられています。

アーユルヴェーダとは?

アーユルヴェーダとは古来インドの伝統医学です。5000年以上の歴史があり、世界最古の医学といわれています。
 
サンスクリット語のアーユス(Ayus:生命)とヴェーダ(Veda:科学)を組み合わせて、アーユルヴェーダといいます。
 
アーユルヴェーダの名前は知らなくても、私たちにとってアーユルヴェーダは身近にあります。
 
たとえば「ヨガ」は、アーユルヴェーダと姉妹のような関係です。時期を同じくしてインドで生まれ、どちらも紀元前3000年頃に書かれた「ヴェーダ」というテキストに登場しています。
 
ヨガの教えのなかでアーユルヴェーダが、アーユルヴェーダの教えのなかでヨガが登場することは多く、実際、白湯を愛飲する人たちのなかには、ヨギー(ヨガをする人)が数多くいます。


2. アーユルヴェーダにおける白湯の理論

 
本記事では西洋科学的な観点から見た白湯もご紹介していきますが、先にアーユルヴェーダにおける理論をご紹介します。
 
アーユルヴェーダの理論を頭に入れておくと、白湯を作るときにポイントをつかみやすくなるためです。

 

2-1. 白湯は「火・水・風」の3つの質のバランスが取れた飲み物

アーユルヴェーダでは、人間を含む自然界のあらゆるものは、3つの質(ドーシャ)で構成されていると考えます。

3つの質(ドーシャ)

  • 火のエネルギー(ピッタ)
  • 水のエネルギー(カパ)
  • 風のエネルギー(ヴァータ)

白湯は「3つのドーシャが完璧に調和した飲み物」とされます。
 
というのは、水を火にかけることで、《カパ:水のエネルギー》に《ピッタ:火のエネルギー》が加わり、さらに沸騰させることで風が起こって《ヴァータ:風のエネルギー》が加わるからです。
 
詳しくは後ほど説明しますが、アーユルヴェーダに基づいて白湯を実践するならば、《水・火・風》のエネルギーを意識して白湯をつくることが重要になります。

 

2-2. 白湯はアグニ(消化の火)を強めて心身を浄化する

そんな3つのドーシャのバランスがとれた白湯を飲むと何が起きるのかといえば、
「アグニ(消化の火)が強まる」
と考えられています。

アグニとは?

アグニとはサンスクリット語で「火」という意味ですが、アーユルヴェーダでは消化力のことを火に見立てて「アグニ」と呼びます。
 
アグニは、胃腸ではたらくアグニをはじめとして全部で13個あります。体だけでなく心にもアグニはあります。
 
「消化力=アグニ=生命力をもたらすもの、生命活動の根源」
という考え方がベースにあるので、アグニはとても重要です。

アグニが弱ると未消化の毒素(アーマ)が溜まる

アグニが弱るとどうなるのかといえば、未消化物が毒素(アーマと呼びます)となって蓄積し、体力や免疫力、気力がなくなっていきます。
 
太りやすくなる、体調が悪くなる、やる気が出ない、気分が落ち込む、老ける——といった症状が出やすくなるのです。

白湯でアグニ(消化力)を高める

そこで、アグニ(消化力)を高める効果を持つ白湯を飲み、アーマ(毒素)が溜まらないように心身を浄化します。
 
白湯を飲んでアグニを高めると、体にあるすべての火が元気に燃えだし、毒素はすみやかに排出され、エネルギー代謝は高まります。
 
前述のとおり消化力は生命力の源です。極論をいえば、美容・健康・寿命・心の安定など、すべてに好影響が及ぼされるのです。

 

2-3. 体と心のあらゆるバランスを整える

白湯を飲むことの効用はもうひとつあり、それは、
「体と心のあらゆるバランスを整える」
ということです。
 
アーユルヴェーダには「ドーシャ(3つの質)」という概念があることは先に述べたとおりですが、私たち自身も、ドーシャの偏りなく調和が取れている状態が良い状態と考えます。
 
たとえば《ピッタ:火のエネルギー》が強くなれば、すぐイライラしたり批判的になったりします。
 
《カパ:水のエネルギー》が強くなりすぎれば怠惰で鈍感になり、《ヴァータ:風のエネルギー》のバランスが崩れると不安に陥りやすくなります。
 
火・水・風の3つのバランスが完璧な白湯を飲むことは、自分自身のバランスを整えることにつながるのです。
 
参考:蓮村誠『病気にならない「白湯」健康法』


3. 白湯を飲むことで期待できる6つの効果とその理由

 
さて、ここからは現代科学・西洋医学の観点を交えながら、白湯の効果をご紹介します。

  • 消化をよくする
  • 毒素や老廃物の排出を促す
  • 体を温めて代謝を上げる
  • 食欲を抑制する
  • 脂肪の燃焼を促進する
  • 勉強や仕事の能率が上がり精神的にも安定する

科学的には、水の温度がどうであれ同じ物質として扱われ、「温度の高いお湯」に限定した研究は多くありません。
 
逆にいえば、水で実証されている効果は白湯にも期待できるということです。ここでは、水に関する研究も含めて見ていくことにしましょう。

 

3-1. 消化をよくする

1つめの効果は「消化をよくする」です。
 
アーユルヴェーダの観点では「消化力を高める」という効果を持つ白湯ですが、これは医学的に見ても理にかなっています。
 
というのは、体内の各消化器では「消化液」が重要な役割を果たしており、消化液を作るのは「水」の役割だからです。
 
消化液の分泌量が低下すると、消化が悪くなります。
 
▼ 消化液

消化液はたらき
唾液口の唾液腺でつくられ、デンプンを分解する消化酵素(アミラーゼ)を含む。
胃液胃でつくられ、タンパク質を分解する消化酔素(ペプシン)や塩酸を含む。塩酸には、ペプシンのはたらきを助けるほか、食物を殺菌するはたらきがある。
胆汁肝臓でつくられて胆のうにたくわえられ、小腸の上部の十二指腸に出される。胆汁は消化酵素を含まないが、脂肪の粒を細かくして、脂肪の分解を助ける。
すい液すい臓でつくられ、十二指腸に出される。デンプン・タンパク質・脂肪を分解する数種類の消化酵素を含む。
腸液小腸の壁の消化酵素がデンプンとタンパク質を最終的に分解する。

参考:消化と吸収
 
くわえて「食道」のはたらきにも、白湯は大きく関連しています。
 
加齢などによって食道の蠕動運動が弱くなると、食べ物を胃に送れなくなったり、逆に胃液や胃の内容物が食道に逆流する逆流性食道炎を引き起こすことがあります。
 
摂取する水の温度が食道の蠕動運動に及ぼす影響を調べた研究では、
〈温水は、常温の水よりも、食道の蠕動運動を活性化させ、食べ物を運ぶスピードを速める〉
〈冷水は、食べ物が胃に流入するのを遅らせ、食道に滞留する傾向が見られた〉
という結果が出ています。
 
以上をまとめると、白湯は消化液の分泌を促進する、消化器官の蠕動運動を高めるなどのはたらきによって、消化をよくする効果が期待できます。
 
参考:健康長寿ネット「消化器の老化」
Influence of bolus temperature on human esophageal motor function
 

3-2. 毒素や老廃物の排出を促す

2つめの効果は「毒素や老廃物の排出を促す」です。
 
アーユルヴェーダ的にいえば、未消化物の「アーマ」が毒素や老廃物にあたります。白湯によってアーマが除去されることも、科学的に筋が通っています。
 
というのは、体が脱水状態になると、尿や便などから老廃物を適切に排出できなくなるからです。
 
尿の回数が減れば、その分、尿から老廃物が排出されるのが遅くなります。
 
便秘になると、本来排出されるべき老廃物がたまってしまい、肌荒れ・吹き出物など、肌や体のトラブルまで引き起こされます。
 
習慣的に白湯をとることで尿の回数を増やしたり、便秘を解消したりすることは、老廃物をデトックスすることにつながるのです。
 
実際、日本人の成人男女を対象に2020年に行われた研究では、
〈水分を摂取することは、血液中の老廃物を少なくする効果がある〉
と確認されています。
 
参考:ナチュラートコーワ
Effect of Increased Daily Water Intake and Hydration on Health in Japanese Adults

 

3-3. 体を温めて代謝を上げる

3つめの効果は「体を温めて代謝を上げる」です。
 
温かい白湯をゆっくりとすするように飲むことで体が温まり、冷え性の改善につながります。
 
先にご紹介した2020年の研究では、
〈水分を摂取すると、体温を上昇させる、もしくは低下を抑制する効果がある〉
ことも示唆されています。
 
くわえて、アスリートの水分摂取と温度の関係を調べた研究では、
〈寒冷ストレスを与える実験では、52℃の温水を飲んだ場合に寒さによる震えが10分間抑制された〉
とされ、温かい水分の摂取が運動パーフォマンスを上げる可能性が指摘されています。
 
冷えが改善すると何がよいのか?といえば、“代謝が上がること”が挙げられます。
「体温が1℃上昇すると、約14%BMR(基礎代謝量)が上昇する」
とされています。
 
基礎代謝とは、私たちが何もせずにじっとしていても消費されるカロリーのこと。基礎代謝が多ければ多いほど痩せやすくなるので、白湯はダイエットに有効といえます。
 
参考:Effect of Increased Daily Water Intake and Hydration on Health in Japanese Adults
Full article: Staying warm in the cold with a hot drink: The role of visceral thermoreceptors
橋本勲『運動・栄養生理学』

 

3-4. 食欲を抑制する

4つめの効果は「食欲を抑制する」です。
 
白湯のダイエット効果はまだあります。近年「水には食欲の抑制効果がある」という研究がさまざまな研究者から発表されています。
 
たとえば、2014年に50人の女性を対象に行われた研究では、
〈水分摂取を始めてから8週間後の計測で体重・BMI・体脂肪・食欲のスコアがすべて減少した〉
〈水は自然な食欲抑制剤として機能する〉

と考察されています。
 
アーユルヴェーダ的観点からみれば、白湯を飲んで心身のバランスが整うと、精神的な安定が得られることが挙げられます。
 
心の渇望感を埋めるための摂食行動や、ストレス発散のための暴飲暴食が必要なくなるので、自然と食欲が減るのです。
 
参考:Effect of excessive water intake on body weight, body mass index, body fat, and appetite of overweight female participants

 

3-5. 脂肪の燃焼を促進する

5つめの効果は「脂肪の燃焼を促進する」です。
 
「消化」に水が必要なことは先に述べたとおりですが、消化吸収した後の脂肪などを燃焼してエネルギーにする「代謝」にも、水が必要です。
 
脂肪細胞に蓄えられた脂肪をエネルギーとして使うためには、まず水を用いた「加水分解」というプロセスを経る必要があります。
 
白湯を飲んで水分摂取量を増加させれば、脂肪をエネルギーとしてスムーズに使えるようになると考えられます。
 
実際、脱水症状と肥満やさまざまな病気との関係性を調べる動物実験では、
〈水分増加量を増加させると、脂肪細胞での脂肪分解の増加による脂肪の減少につながる〉
と考察されています。
 
参考:脂肪の代謝とその調節
Increased Hydration Can Be Associated with Weight Loss

 

3-6. 勉強や仕事の能率が上がり精神的にも安定する

6つめの効果は「勉強や仕事の能率が上がり精神的にも安定する」です。
 
前述のとおりアーユルヴェーダの理論では、白湯は心身のバランスを整えて、精神的な安定をもたらします。
 
科学的にも、水分摂取量の増加が人の気分や仕事・勉強のパフォーマンスに好影響を及ぼすと指摘する研究者が多くいます。
 
たとえば、水分不足の状態における短期記憶や計算などの成績を調べた研究では、
〈記憶や計算のテストの成績は、水分不足の状態で有意に悪化した〉
という結果が出ています。
 
20代の女性を対象にした研究では、
〈水分不足の状態では、気分の低下・倦怠感・仕事の難しさの認識・集中力の低下・頭痛の悪影響が起きる〉
ということがわかりました。
 
白湯を飲み始めてから、
「集中力が高まって、仕事や勉強の効率が上がった」
「心が穏やかになってイライラしなくなった」
という声は多いのですが、科学的にも納得できる理由があるのです。
 
参考:Effects of Voluntary Fluid Intake Deprivation on Mental and Psychomotor Performance
Mild dehydration affects mood in healthy young women


4. 白湯の作り方


さて、ここからは実践に関するお話をしていきましょう。
 
まずは白湯の作り方です。
 
アーユルヴェーダの考え方に基づいて本格的に取り組みたい方向けの作り方と、現代風にアレンジして簡易バージョンで取り組みたい方向けの作り方、2つのパターンをご紹介します。

 

4-1. アーユルヴェーダ式の本格的な作り方

1つめのパターンとしてアーユルヴェーダ式の本格的な作り方を見ていきましょう。
 
おさらいですが、アーユルヴェーダでは白湯を「ドーシャ(3つの質)のバランスが完璧にとれた飲み物」と位置づけていました。

ドーシャ

  • 火のエネルギー(ピッタ)
  • 水のエネルギー(カパ)
  • 風のエネルギー(ヴァータ)

「火・水・風」のエネルギーを意識しながら、白湯を作っていきます。

以下で詳しく解説しましょう。 

(1)「水」をやかんに入れる

まずはやかんに水を入れます。
 
白湯をつくるのに使う水は、ミネラルウォーター、浄水器を通した水、水道水など、自分の好きな水を選んでください。
 
「えっ、水道水でもいいんですか?」
という質問がありますが、水道水でも白湯の効果は得られます。
 
水道水の塩素やトリハロメタンを気にされている方向けの情報としては、この後に10〜15分沸騰させますので、除去できると考えます。

(2)「風」を送り込むためにフタはしない/換気扇を回す

やかんの中の水に「風」のエネルギーを送り込みたいので、フタはしないでください。
 
キッチンのガスコンロの上にある換気扇も回して、より風が入りやすくします。

(3)「火」で10〜15分沸騰させる(ガスコンロ使用)

やかんの水の準備ができたら、火にかけます。
 
水に「火」のエネルギーを入れるために、IHではなく火の出るガスコンロを使ってください。
 
強火にかけて水が沸いたら、沸騰してから10〜15分、そのまま待ちます。火加減は中火〜強火のまま、水面にポコポコと泡が出続けている状態をキープしてください。
 
火をかけっぱなしにしたまま忘れないように、キッチンタイマーをセットしておきましょう。
 
※補足:沸騰させ続ける時間は【10分以上・15分未満】がベストです。理由は、アーユルヴェーダの観点から見て、エネルギーのバランスが最良となるためです。

(4)火を消して飲める程度まで冷ます

10〜15分経過したら火を消して冷まします。適温*まで冷めたら白湯として飲めるようになります。
 
*白湯の温度や飲み方は次の章で解説します。続けてお読みください。
 
なお、10〜15分沸騰させ続けると、水がギュッと凝縮されて量が減ります。
 
量が減る分を見越して、多めに水を入れておくとよいでしょう。何度かつくると、量の加減をつかめるようになります。

(5)すぐに飲まない分は保温ポットに入れる

すぐに飲まない分は、保温ポットに入れて、温かさをキープできるようにしておきます。
 
再び火にかけて温め直すと、沸騰時間が長くなってエネルギーが変わってしまうのでNGです。
 
その都度つくるか、保温ポットで保温するか、どちらかのやり方で行いましょう。

 

4-2. 現代版の簡単な作り方

以上がアーユルヴェーダ式の作り方です。しかし、現代ではこの作り方を実践できないという人も少なくありません。
 
自宅がオール電化で火のガスコンロがない方や、時間をかけずに白湯を取り入れたい方は、簡略化した作り方で白湯を準備しましょう。

2つの条件

簡易的な作り方では、以下の2つの条件を満たせば、どんな作り方でもかまいません。

満たすべき2つの条件

  • 何も入っていない純粋な水を使う(ミネラルウォーター、浄水器を通した水など)*1
  • 飲むときには適温*2 まで冷ます

*1 アーユルヴェーダ式の作り方では10分以上沸騰させるため水道水でも問題ありませんが、簡易版では、残留塩素などを取り除いた水を用意しましょう。
 
*2 適温が何度かは次の章で解説しています。

作り方の例

作り方は、自宅のキッチンや持っているツールに合わせて、たとえば以下があります。

現代版の簡単な作り方

  • やかんの水をIHクッキングヒーターで沸かす
  • ティファールなどの電気ケトルで沸かす
  • マグカップに入れた水を電子レンジで温める
  • ウォーターサーバーの熱湯機能を使う

簡略化した作り方でも効果はあるの?

「本格的な作り方ではなく、簡略化しても、白湯の効果はあるの?」
と不安になる方もいるかもしれません。
 
たしかに、アーユルヴェーダの観点から見れば、エネルギーのバランスは変わってしまいます。しかし、効果がゼロになるわけではありません。
 
3. 白湯を飲むことで期待できる効果」の章では、科学的な視点の研究データもご紹介しました。
 
科学的な観点からみれば、ガスコンロで作った白湯と電子レンジで作った白湯は、同じものです。
 
理想は、アーユルヴェーダ式の本格的な白湯をていねいに作って飲むこと。ですが、それができずに挫折するくらいなら、簡略化させて続けたほうがずっと効果的です。


5. 白湯の飲み方 6つのポイント


白湯の作り方がわかったら、次は「飲み方」を学んでいきましょう。
 
大切なポイントが6つあります。

  • 白湯の温度は50〜60℃が標準(体調によって調整する)
  • 朝一番に白湯を飲む
  • コップ1杯を5分〜10分かけてすするように飲む
  • 食事中は少しずつ飲む
  • 1日700〜800mL以上は飲まない
  • 1週間は続ける

 

5-1. 白湯の温度は50〜60℃が標準(体調によって調整する)

 
1つめのポイントは「白湯の温度は50〜60℃が標準(体質によって調整する)」です。
 
できあがった白湯を冷ましていくとき、「何度まで冷めたら飲んでいいの?」という点が、気になるところかと思います。
 
一般的に白湯の温度は「50〜60℃」が推奨されます。お風呂のお湯より熱く、普段飲んでいるお茶よりもぬるいくらいです。
 
ただ、「白湯は50〜60℃」と決まっているわけではありません。
 
体調や季節にあわせて調整可能です。調整すれば、より白湯の効果を感じられるでしょう。
 
冷え性の人は熱め、イライラしがちな人はぬるめ、持病がある人は熱めがおすすめです。
 
▼ 体調別の推奨温度

イライラしがち・怒りっぽい40〜50℃(ぬるめ)
皮膚の炎症・高熱・下痢40〜50℃(ぬるめ)
冷え性70〜80℃(熱め)
持病がある70〜80℃(熱め)
太りやすい・食欲がないのに痩せない70〜80℃(熱め)

 

5-2. 朝一番に白湯を飲む

2つめのポイントは「朝一番に白湯を飲む」です。
 
白湯は、どのタイミングに飲むのが最も効果的かといえば、「朝一番」です。
 
初めて白湯を飲む方は、朝一番の白湯にチャレンジするところから始めましょう。
 
というのは、アーユルヴェーダの視点から見ると、朝は最も毒素が出やすい時間帯だからです。
 
そのうえ、冷えやすい時間帯でもあるので、この時間に火と風の入った白湯を体に入れることで、アーマ(未消化物)を排出しながら基礎代謝を上げることができます。
 
医学的な見地からも、起床時の「目覚めの一杯」の水分補給は重要とされています。就寝中にたくさんの汗をかき、水分不足に陥りがちだからです。
 
くわえて、胃結腸反射と呼ばれる「腸のスイッチ」が入り、胃腸が活発に動き出します。便秘解消につながる大切な習慣です。
 
参考:厚生労働省「健康のため水を飲もう講座」
社会医療法人同仁会

 

5-3. コップ1杯を5分〜10分かけてすするように飲む

3つめのポイントは「コップ1杯を5分〜10分かけてすするように飲む」です。
 
白湯はゴクゴクといきおいよく飲むのではなく、少しずつすするように飲みます。
 
1回に飲む量はコップ1杯(150mL)程度で少なめです。5分〜10分の時間をかけて、ゆっくり飲んでください。
 
とくに朝一番に飲む白湯では、コクンと飲み込んだ白湯が、口から喉を通って胃の中に落ちていく感覚が、よく感じられるはずです。
 
白湯の感覚を大切に味わうつもりで、少しずつ飲みましょう。

 

5-4. 食事中は少しずつ飲む

4つめのポイントは「食事中は少しずつ飲む」です。
 
前述のとおり、最も優先してほしいのは「朝一番に白湯を飲むこと」です。
 
朝一番の白湯を実践したうえで、「もっと白湯を本格的に取り入れたい」という方は、食事中の白湯にもチャレンジしましょう。
 
食事中の白湯は、食べながら少しずつ飲むのがポイントです。ごはん→おかず→白湯、という具合に、ひと口ずつ白湯を挟むようにして飲みます。
 
食事中に飲む白湯の量は、1食につきコップ1杯(150mL)程度を目安にしてください。1食食べ終えるのと同時に、コップ1杯の白湯を飲み終えるペース配分がよいでしょう。

 

5-5. 1日700〜800mL以上は飲まない

5つめのポイントは「1日700〜800mL以上は飲まない」です。
 
白湯がおいしいと感じる方は、たくさん飲みたくなるかもしれません。ですが、1日の目安は700〜800mLまでとし、それ以上は飲まないようにしてください。
 
アーユルヴェーダの教えでは、白湯を飲みすぎると、体に必要なエネルギーや栄養素まで洗い流してしまうとされています。
 
朝一番の白湯と朝昼晩の食事で、コップ1杯(150mL)の水を計4回飲むと、合計で600mLとなります。これ以外に飲んでよいのは、あと1杯程度、と覚えておきましょう。
 
それ以上に必要な水分補給は、常温の水やハーブティなどで行ってください。
 
念のための補足ですが、「700〜800mLを目標にがんばって飲む」という必要はありません。700〜800mLは、上限です。
 
まずは朝1杯(1日150mL)の白湯だけでも、良い影響を感じられるはずです。

 

5-6. 1週間は続ける

6つめのポイントは「1週間は続ける」です。
 
白湯を飲み始めたばかりの頃は、白湯をまずいと感じたり、飲むと詰まった不快な感じがして、心地よさを得られないことがあります。
 
毒素(未消化物)がたまっているからと考えられ、白湯によって浄化が進んでいくと、今度は白湯が甘くおいしく感じるようになるといわれます。
 
「白湯を甘く感じるようになるまで、およそ1週間かかる」
といわれますから、白湯を飲み始めたら、まず1週間は継続しましょう。
 
2〜3日で白湯をやめてしまうと、変化を実感できません。続けるかどうか決めるのは、1週間が過ぎてから。まずは1週間のチャレンジです。
 
参考:蓮村誠『病気にならない「白湯」健康法』、千葉麗子『白湯ダイエット』


6. 白湯を習慣化する3つのコツ

 
白湯を一生の習慣にできれば、心と体の健康や美容に良い影響が期待でき、人生そのものを好転させる可能性さえあります。
 
私たちにとってメリットの多い白湯ですが、習慣化が難しかったという声も聞きます。
 
そこで白湯を習慣化するコツを3つ、ご紹介しましょう。

  • 白湯が“しみわたる感覚”に集中する
  • 自分が楽しめる方法を見つける
  • 白湯仲間と一緒に楽しく続ける

 

6-1. 白湯が“しみわたる感覚”に集中する

1つめのコツは「白湯が“しみわたる感覚”に集中する」です。
 
白湯が続くようになる最大の秘訣は「白湯を好きになること」。そして好きになるための第一歩が、この感覚への集中です。

五臓六腑にしみわたる白湯

どういうことかといえば、たとえば「五臓六腑にしみわたる酒」という表現はご存じですか。
 
お酒好きな人にとっては、お酒を飲むと、腹の底から全身にまでしみわたっていく感覚があるはずです。
 
お酒ではイメージしにくい人は、カフェインでも糖質でも、自分の好きなものでイメージしてみてください。
 
ひと口飲み込んだら、ずっと欲しかった渇望感が満たされていくように、脳にも体にも効いていく感覚です。
 
同じことを「白湯」でやってみましょう。
 
白湯をひと口飲むたびに、「ああ、体にしみわたる」とつぶやいて、その感覚を自分から意識して感じ取りにいきます。
 
これを繰り返していると、そのうち本当に五臓六腑に白湯がしみわたると感じるようになり、白湯を好きになっていきます。

繰り返すと本当に好きになる

メカニズムを明かせば、脳の錯覚を利用しています。ビールやコーヒーも、初めて飲んだときには「苦い」と感じた人が多いのではないでしょうか。
 
それが「おいしいものだ」と思いながら繰り返し飲むうちに、いつしか手放せないほど好きになります。
 
同じことを白湯に応用すれば、白湯を習慣化できます。

 

6-2. 自分が楽しめる方法を見つける

2つめのコツは「自分が楽しめる方法を見つける」です。
 
しみわたる感覚を積極的に感じて、白湯自体を好きになると同時に、作ったり飲んだりするプロセスにも自分が楽しめるポイントをつくってください。
 
たとえば、「白湯1回分の150mLがちょうどよく入る、自分好みのカップ」を探してみましょう。
 
あるいは、白湯の愛好家の方たちがよく使っているのは「南部鉄器の鉄瓶」です。


南部鉄瓶
 
鉄瓶で沸かした白湯はとてもまろやかでおいしく、白湯づくりが楽しくなります。

 

6-3. 白湯仲間と一緒に楽しく続ける

3つめのコツは「白湯仲間と一緒に楽しく続ける」です。
 
何事も、ひとりでやるより仲間がいたほうが、継続しやすくなります。
 
たとえば、みんなと続ける習慣化アプリ『みんチャレ』には、白湯の習慣化を目指すチームがたくさんあります。


白湯の習慣化に一緒にチャレンジする仲間を探してみましょう。
 
詳しくは、以下のリンクからご確認ください。
 

 


7. まとめ

本記事では「白湯」をテーマに解説しました。簡単に要点をまとめます。
 
白湯(さゆ)とは水を沸騰させたお湯のことで、健康法としての白湯のルーツはアーユルヴェーダにあります。

アーユルヴェーダにおける白湯

  • 白湯は「火・水・風」の3つの質のバランスが取れた飲み物
  • 白湯を飲むとアグニ(消化の火)が強まり心身を浄化できる
  • 体と心のあらゆるバランスを整えることにもつながる

白湯を飲むことで期待できる効果として6つ、ご紹介しました。

  • 消化をよくする
  • 毒素や老廃物の排出を促す
  • 体を温めて代謝を上げる
  • 食欲を抑制する
  • 脂肪の燃焼を促進する
  • 勉強や仕事の能率が上がり精神的にも安定する

白湯の作り方はこちらです。

  • (1)「水」をやかんに入れる
  • (2)「風」を送り込むためにフタはしない/換気扇を回す
  • (3)「火」で10〜15分沸騰させる(ガスコンロ使用)
  • (4)火を消して冷ます
  • (5)すぐに飲まない分は保温ポットに入れる

自宅にガスコンロがない場合・簡単に作りたい場合には、電気ケトルやウォーターサーバーを利用してもかまいません。完璧な白湯をつくれなくても、取り組むことのほうが大切だからです。
 
白湯の飲み方として6つのポイントをご紹介しました。

  • 白湯の温度は50〜60℃が標準(体調によって調整する)
  • 朝一番に白湯を飲む
  • コップ1杯を5分〜10分かけてすするように飲む
  • 食事中は少しずつ飲む
  • 1日700〜800mL以上は飲まない
  • 1週間は続ける

白湯を習慣化する3つのコツはこちらです。

  • 白湯が“しみわたる感覚”に集中する
  • 自分が楽しめる方法を見つける
  • 白湯仲間と一緒に楽しく続ける

さて、さっそく明日の朝の起床時から、白湯をスタートしてみましょう。スーッと心と体へしみわたってく、白湯の心地よさと効果を感じたら、きっと毎日続けたくなります。
 
あなたの毎日が、白湯でスッキリ軽やかになりますように。

 

 

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