『みんチャレ習慣化ラボ』では、習慣化・行動変容に関する理解、研究を深めるべく科学的なアプローチで「習慣化」の調査・分析に取り組んでいます。
今回は、習慣化の成功の鍵となる「ピアサポート(※1)」に関する調査・分析を実施しました。
※1同じような立場や課題に直面する人がお互いに支え合うこと。「ピア」は仲間を、「サポート」は支援を意味する。(出典:日本ピア・サポート学会)
■調査結果サマリー
・87%効果が実感していながら、言葉の認知度は低い
習慣化の成功に重要なピアサポートの認知度は約30%と低いものの、約87%のユーザーがピアサポートの支援効果を実際に感じており、モチベーション維持や心理的な支えとして機能していることが示されています。
・孤立感の軽減と社会的なつながり強化の効果
ピアサポートにより「孤独・孤立感が減る」と感じる人も多く、孤立対策やメンタルヘルス向上の面でも有効であることから、社会全体で孤独問題に対処する「孤独・孤立対策推進法」とも合致した効果が期待されています。
■調査概要
・調査対象:習慣化アプリ「みんチャレ」ユーザー
・「習慣化に関するアンケート」 2024年9月アンケート実施 / 回答数:148人
調査にご協力いただいた皆さま、ありがとうございました。
目次
1. 調査結果
1-1. 7割の人が知らない「ピアサポート」
習慣化の成功に導くために、習慣化アプリ「みんチャレ」は、「ピアサポート(※1)」を大切に考え、開発されています。このため、5人1組のチーム制や、にゃんチャレたち(説明)によるエールなどデジタルピアサポート(※2)を採用しています。
習慣化に取り組むアプリユーザーに調査したところ、「ピアサポート」については、7割の人が「知らない」という回答でした。
(※1・2)「ピアサポート」とは、同じような立場や課題に直面する人がお互いに支え合うこと。デジタル技術を使い、オンライン上で同じ境遇の仲間同士が支え合い、励まし合い、課題解決を図ることをデジタルピアサポートという。「ピア」は仲間を、「サポート」は支援を意味する(出典:日本ピア・サポート学会)。
1-2. なぜピアサポートが重要?87%が効果を感じた理由
「ピアサポート」の言葉の意味を説明した上で、その効果を感じているか?という設問については、ピアサポート自体の効果を「とても感じている」(58.8%)「ときどき感じている」(28.4%)という回答でした。
「ピアサポート(※)」という言葉自体の認知は、30%と低かったものの、習慣化の過程において約87%がピアサポート自体の効果を感じています。
実際にピアサポートを感じたシーンについて最も多かった回答は「同じ目標に向かっている他者の存在でモチベーションが維持できる」(101票)というものでした。仲間が同じ目標を共有していることは、前向きな刺激になり、自分も「頑張ろう」と思えるきっかけになります。同じ目標を持つ仲間の存在が、日々の取り組みを支えるモチベーション維持に大きく貢献していることが伺えます。
次に多かったのは、「声(メッセージ)をかけてもらって励まされる」(80票)というものです。ピアサポートにおける仲間からの応援や励ましのメッセージは、落ち込んだ時や挫折しそうな時に気持ちを立て直す力になります。この温かい支援の存在が、「楽しみながら頑張ることができる」(74票)にも繋がっており、仲間との活動を通じてポジティブな気持ちで取り組むことができるのは、ピアサポートの大きな利点です。
みんチャレは、匿名性を採用しています。「匿名だからこそ悩みや課題を共有できる」(54票)に回答が集まるように、匿名性が悩みを共有する心理的ハードルを下げていることがわかります。匿名でのサポートは、より自由に自分の気持ちを表現できる環境を提供し、安心感を高めます。
また、「孤独・孤立感が減る」(65票)という回答から、ピアサポートがメンバーに対して心理的な支えとしても機能していることがわかります。孤立せずに誰かとつながりを持つことで、不安やストレスの軽減につながる効果が期待できます。
この「孤独・孤立感の軽減」という効果は、個人のメンタルヘルスを支えるだけでなく、社会的なつながりを強化するための重要な役割も果たします。こうした社会的なサポートの必要性が広く認識され、日本でも「孤独・孤立対策推進法」が令和5年に制定されました。
1-3. 習慣化に必要なのは、孤独感の軽減
習慣化アプリ「みんチャレ」は、ピアサポートを活用することで、多くのユーザーが90%以上の習慣化効果を実感しています。ユーザーは、勉強、健康管理、断捨離などのさまざまな目標に向けて仲間とともに励まし合い、匿名性を活かして自由に悩みや課題を共有しています。このシステムにより、ユーザーはモチベーションを維持し、孤独感を軽減しながら前向きに取り組むことが可能になっています。
ピアサポートは、社会的なつながりを強化するための有力な手段として、日本の「孤独・孤立対策推進法」とも方向性が一致しています。みんチャレの取り組みは、メンタルヘルスやコミュニティの活性化にも寄与し、社会全体における支え合いの価値を証明するものでもあります。
ピアサポートについては、神奈川県立保健福祉大学(神奈川県横須賀市、村上明美学長)と、研究名:「デジタルピアサポートアプリ『みんチャレ』の行動変容へのインパクト評価に関する研究(略称:みらい・みんチャレ スタディ)」を共同で実施しています。
今後も、各機関と連携し、臨床学的数値の改善、健康行動に影響を与える要因や心身への影響に関する探索的な分析も行います。
2. みんチャレ習慣化ラボについて
「みんチャレ習慣化ラボ」では、ラボ所員や専門家、有識者らとともに科学的なアプローチで「習慣化」の調査・分析に取り組んでいます。私たちは、「始められない」「続かない」という状態から行動変容し、生活の質を向上させる方法を探求します。習慣化のプロセスをウェルビーイングの一環と捉え、継続的な成長と心身の充実した状態へ導くステップを考えていきます。
今回の調査では、習慣化の定着の過程において、ピアサポート効果を多くのユーザー様が実感している一方、その言葉の意味の認知度は低いということが分かりました。
今後も、臨床学的数値のより良い改善、健康行動に影響を与える要因や心身への影響に関する探索的な分析を行うとともに、ピアサポートへの社会的関心を高めるため、言葉そのものの認知拡大にも努めます。