「勉強したくない」と悩んでいるあなたへ、最初にお伝えしたいことがあります。
あなたは怠け者ではないし、意志が弱いわけでもありません。本当は「勉強したい」と思っているからこそ、この記事を読んでいるはずです。
本記事は、「本当は勉強したい、勉強しなくちゃ」と誰よりも強く思っているのに、どうしても勉強したくない気持ちに苦しんでいる、あなたのために書きました。
本記事を読むと、今のつらい状況から脱出して、やらなければならない勉強に取りかかれるようになります。
本記事のポイント
- なぜこれほど勉強したくないのか理由がわかる
- 今すぐ取り組める3ステップの克服法を解説
- 苦しい気持ちから前向きな気持ちに変わって取り組める
「もう疲れた。勉強したくない」
「泣くほどイヤで、自分ではどうしようもない」
…という方におすすめの内容となっています。
最後までお読みいただくと、学校や塾で教わるのとはまったく異なるアプローチで、「勉強したくない気持ちの克服」ができるようになります。さっそく解説を始めましょう。
1. あなたが勉強に泣くほど疲れたたった1つの理由
「勉強をしたくなくて泣く」
——それほどあなたが追い込まれているのなら、その理由はたったひとつです。
1-1. 頑張りすぎてリソースがゼロになったから
冒頭であなたは怠け者でも意志が弱いわけでもないとお伝えしました。
勉強したくないスランプに陥る原因は、一言でいえば “ 頑張りすぎ ” です。
「リソース(resource)」という言葉をご存じでしょうか。日本語でいうと「資源」という意味になりますが、私たちが勉強に使えるリソースには限界があり、頑張りすぎるとゼロになります。
リソースにはさまざまな種類がありますが、例えば以下は個人が持つリソースの一種です。
- やる気
- 体力
- 思考力
- 集中力
- 意志力 など
頑張りすぎてリソースがゼロになると、人間は何もしたくなくなります。もちろん、勉強したくなくなります。
今、あなたは「やる気も体力も思考力もゼロの状態」とイメージしてください。そんな状態で勉強したくないのは当たり前。あなたのせいではありません。自分を責めるのはやめましょう。
スランプに陥らずに勉強し続けるためには、リソースがゼロにならないよう気を付けながらやる必要があるのですが、そのことを親や学校・塾は教えてくれません。
1-2. 今のあなたに必要なのはリソースの回復
すでにリソースがゼロになって、勉強するためのエネルギーが残っていないあなたが急いですべきことは、「リソースの回復」です。
間違っても、リソースがゼロのまま、頑張って勉強しないでください。それは一番やってはいけないこと。最悪の場合、あなたの体や心が壊れてしまいます。
いったん、勉強するのはやめましょう。
映画「魔女の宅急便」を見たことはありますか。主人公のキキがスランプになって飛べなくなったとき、絵描きのウルスラに相談します。
どうしても描けないとき、どうするのか聞かれたウルスラは、こんな風に答えました。
- キキ「でも、やっぱり飛べなかったら?」
- ウルスラ「描くのをやめる。散歩したり、景色を見たり、昼寝したり、何もしない。そのうちに急に描きたくなるんだよ」
どうしても勉強したくない、勉強できないあなたがすべきことも、これなのです。
1-3. 焦る必要ナシ!誰でもできる3ステップ
とはいえ、いつ急に勉強したくなるのかわからないまま勉強しないでいるのは、不安になるかと思います。
そこで、ゼロになったリソースを回復させるために取り組んでほしい3つのステップをご紹介します。
- ステップ1:土台を整える
- ステップ2:落とし穴を避ける
- ステップ3:新しい習慣を始める
ウルスラが「そのうちに急に描きたくなるんだよ」と言うように、「急に勉強したくなる」テクニックを具体的にお伝えしますので、実践してみてください。
2. ステップ1:土台を整える
1つめのステップは「土台を整える」です。ここでは、枯渇したリソースがまた湧き出るようにするための基礎を整えます。
具体的にしてほしいことは、次の4つです。
- 休息する
- 言葉を変える
- やる気の出る神経を整える
- 目標を決める
それぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1. 休息する
まずは、体と脳を休めます。自分では十分に休んでいるつもりでも、勉強する気が起きないということは、正しく休息できていません。
今日から1週間、以下の2つを実践してください。
- 毎日7時間以上の睡眠を確実にとる
- 朝昼晩と1日3食を食べる
- 空き時間に何もしない
「体」を休めるためには、7時間以上の睡眠と3食の食事が必須となります。
もうひとつ、「脳」を休めるためにしてほしいのが「何もしないこと」です。
例えば、勉強せずに休んでいるつもりでも、ゲーム・マンガ・SNSなど、 “ 何かをしている状態 ” では、脳はフル回転です。休んでいません。
脳を休めるために、空き時間に何もしないで過ごしましょう。目をつぶって視界を遮ると、さらに効果的です。
実際にやってみると、3分も我慢できないかもしれません。3分でもOKです。
何もせずに静かに目をつぶっている間に脳が休息して、リソースが回復していくところをイメージしましょう。
2-2. 言葉を変える
勉強したくない気持ちに陥っているとき、多くの人は精神的にダメージを受けていて、心が疲れています。
「心」を癒すために、自分でできるテクニックは「言葉を変える」ことです。
自分が発する言葉は、常に自分の心が聞いているので、イヤな言葉を聞かされ続けると、心はどんどん疲れてしまいます。
なるべく言わないように
気を付ける言葉
- でも、〜
- だって、〜
- どうせできない
できるだけたくさん
言いたい言葉
- ありがとう
- 大丈夫
- きっとできる
ネガティブな言葉は避けて、ポジティブな言葉をどんどん言いましょう。ポジティブな言葉を言うたびに、リソースが回復します。
2-3. やる気の出る神経を整える
私たちの体は精細にできていて、「やる気」も脳の神経やホルモンの分泌量によって左右されます。
自分の意志でコントロールしていると思いがちですが、実は意志よりも体や脳の状態が大きく影響しているのです。
勉強したくないときは、「ノルアドレナリン」という脳内ホルモンが減少している可能性があります。ノルアドレナリンは、やる気や集中力を高めるホルモンです。ストレスに強い心を作る働きもあります。
ノルアドレナリンの元となる栄養素は「タンパク質」なので、タンパク質を取ってください。
タンパク質は、肉・魚・卵・大豆や、プロテインドリンク・プロテインバーに多く含まれています。
コンビニでおやつを買うとき、以下のように変更してみましょう。
- × ジュース → プロテインドリンク
- × お菓子 → プロテインバー
- × 菓子パン → ◎サラダチキン
例えば「1本満足バー プロテインチョコ 」なら、普通のお菓子を食べている感覚で、タンパク質を摂取できます。
2-4. 目標を決める
ここまでにご紹介した「休息する/言葉を変える/やる気の出る神経を整える」を1週間以上継続できたら、目標を決めましょう。
学校では「高い目標を掲げるのが良いこと」のように習ったかもしれませんが、ここで立てる目標は、自分を手助けするために立てるものです。
というのは、私たちは “ 自分がどこへ向かっているのかわからないと不安になる生き物 ” です。目標がないと、常に不安が続いてしまうので、それを避けるために目標を決めます。
学校で立てる目標ではなく自分のための目標なので、立派である必要はまったくありません。誰にもいえない、自分だけの目標で良いのです。
目標の例
- バカにしてきたクラスメートに勝つ
- 嫌いな先生を見返す
- 夏休み明けの模試で突然成績が良くなってみんなをびっくりさせる
- 東京の大学に合格して東京で一人暮らしする
- かっこいい塾の先生に褒められる
- 好きなアイドルと同じ大学に行く
ここで立てる目標は「今のあなた」にとって魅力的だと思えるものであれば、何でもOKです。あとで考えが変われば変更もできます。
難しく考え過ぎず、素直に「●●したい」という自分の欲に従って決めることが大事です。
学校提出用の形だけの目標ではなく、自分の欲に合う目標が定まると、勉強するモチベーションが勝手に高まっていくのでやってみてください。
3. ステップ2:落とし穴を避ける
2つめのステップは「落とし穴を避ける」です。
このステップの目的は、リソースのムダ遣いを避けて、リソース不足を防ぐこと。せっかくステップ1で土台づくりをしたのに、落とし穴にはまるとリソースがすぐなくなってしまうからです。
具体的にしてほしいことは、こちらです。
- 嫌な気持ちになる人に近づかない
- 体がだるくなる食べ物を食べない
- 止まらなくなることをしない
- SNSを見すぎない
- ホルモンバランスと自分の関係を知っておく
3-1. 嫌な気持ちになる人に近づかない
「せっかく勉強する気になっていたのに、嫌な言葉を言われて、一気にやる気がなくなった」
——こんな経験はありませんか。
あなたを嫌な気持ちにさせる人とは、距離を取ってください。イライラしたり傷ついたりすることで、リソースが浪費されてしまいます。
相手と言い争いたくなる気持ちもよくわかります。が、残念ながら解決せず、ますます勉強に集中できない可能性が高いでしょう。
相手のためではなく自分のためにグッと我慢して、その場を離れるのが一番良い方法です。
3-2. 体がだるくなる食べ物を食べない
人間は自分が食べたものでできていますから、食べ物の影響を強く受けます。
先ほど、やる気を出す神経を整えるために「タンパク質」が大切だとお話しました。逆に、人によっては体がだるくなって、やる気がなくなってしまう食べ物もあります。
何が自分に合わない食べ物か?は体質によるので一概にいえませんが、注意してチェックしたいのは以下の食べ物です。
- 糖分の多い甘いスイーツやスナック菓子
- 人工的な添加物が多いジャンクフード
- 揚げ物など高脂質な食べ物
“ 自分が食べるもの ” と “ 自分の状態 ” の相関関係を注意深く観察してみると良いでしょう。
「●●を食べた後は、決まってだるくなり、勉強が思うようにはかどらない」という食べ物が見つかれば、事前に避けられるようになります。
3-3. 止まらなくなることをしない
ゲーム、マンガ、YouTube視聴など、やり始めると止まらなくなり、ずっと続けてしまうことがある人は、それを避けましょう。
大切なのは「リソースは無限ではない(限りがある)」という考え方です。ゲームに夢中になってリソースを使うと、その分、勉強に使えるリソースは減ってしまいます。
ちょうど良く「勉強用のリソース」「ゲーム用のリソース」と配分できれば良いのですが、 “ やり始めると止まらなくなること ” は、コントロールができません。
一番おすすめなのは「一切やらない」と断ち切る選択です。少しずつ我慢しながらやるよりも、実は一番メンタル的にラクだからです。
「一切やらない」ができない場合には、時間を決めて、決められた時間以上は費やさないようにしましょう。
3-4. SNSを見すぎない
「勉強したい/したくない」のメンタルに大きな影響を与えるものにSNSがあります。
Instagram、TikTok、Twitterなどが大好きな人もいるかと思いますが、触れる時間は1日に1時間以内に留めてください。
「SNSは10代の若者のメンタルに悪影響を与える」というデータも出ており、SNSをやりすぎると、心が不安定になる危険があります。
参考:Teenage girls, body image and Instagram’s ‘perfect storm’ | Instagram | The Guardian
3-5. ホルモンバランスと自分の関係を知っておく
最後に、これは女子向けの情報です。
女性ホルモンのバランスが、自分にどう影響を与えるのか、その関係性をつかんでおきましょう。
多くの女性は、生理が始まる1週間〜10日前から、心や体の不調を経験します。眠くて仕方ない・集中力が低下する・勉強をする気がなくなる、といった症状のある人もいます。
自分はどんなタイプなのか観察して理解していると、事前に対策できますので、チェックしてみましょう。以下は産婦人科の外来のチェックリストです。
参考:月経前症状チェックシート
なお、生活に支障が出るほどつらい症状に悩んでいる場合は、できるだけ早く医療機関に相談してください。治療によって症状を軽減できるからです。
症状を我慢しながら勉強を続けるよりも勉強の成果が出やすくなりますし、何よりあなたの人生にとって大切なことです。
4. ステップ3:新しい習慣を始める
3つめのステップは「新しい習慣を始める」です。
ステップ1〜2まで完了したら、リソースが枯渇した人も心機一転リセットができた状態です。後は、時間の経過とともに「勉強に向かう気持ち」が出てくるでしょう。
そうなったとき、再びスランプに陥らず、勉強に取り組める自分を持続させるための取り組みが、ステップ3になります。
- 計画を立てる
- 小まめに休息する
- 体を動かす
- 今の気持ちを書いてみる
- 勉強を自動化する
4-1. 計画を立てる
ステップ1の「2-4. 目標を決める 」で、目標を決めました。目標とは、どこへ向かって歩いて行けばいいかを指し示すゴールです。
ゴールに向かう計画を立てましょう。
計画とは、どこを歩けばゴールにたどり着くかを教えてくれる「地図」ですから、あったほうが便利です。
勉強計画は、次の6つのステップで立てると、うまくいきやすいでしょう。
- ステップ1:進めたい勉強の全体量を定量的に定める
- ステップ2:かかる時間を計測する
- ステップ3:シングルタスクでスケジュールに配分する
- ステップ4:スタート日時を締切として設定する
- ステップ5:実行した結果を採点する
- ステップ6:改善した計画を立てて繰り返す
詳しくは「勉強 計画 立て方 」にて解説しています。参考にしてみてください。
4-2. 小まめに休息する
どうしても勉強したくないスランプは、 “ 心身が強制的に休息を要求した結果 ” ととらえることができます。
リソースが枯渇したのに勉強し続ければ、いつか死んでしまいますから、生存本能がスランプを引き起こした、と考えられるのです。
では、次に生存本能が発動しないために何をすべきか?といえば、小まめに先取りして休息することです。
本能的に強制終了がかからないように、先手先手を打っていきましょう。
具体的には、1日の中では、90分以上は連続して勉強しないようにします。どんなに集中力が高い人でも、90分以上は持続しないといわれているからです。
30分〜90分に1回、5〜10分の休憩時間を挟みながら勉強しましょう。
加えて、1〜2週間に1回の「休息日」を作る方法もあります。一般的には「休息日なしで毎日勉強したほうが効率が良い」といわれるのですが、スランプに陥りやすいタイプの人は逆です。
スランプに陥って勉強できなくなる前に、あえて勉強しない日(休息日)を作ることで、スランプを避けられるようになります。
4-3. 体を動かす
勉強ばかりしていて体を動かさないと、基礎体力が低下して、勉強を持続できません。体を動かす習慣を持ちましょう。
おすすめは筋トレです。自宅で誰でもカンタンにできますし、短い時間で体力アップの効果が得られます。
【毎日5〜10分】で良いので続けてみましょう。おすすめ動画をご紹介します。
▼ 1回5分で全身出来る世界で一番楽な座って出来る筋トレ
▼ 世界で一番楽な筋トレ&有酸素運動で全身10種目の10分間
4-4. 今の気持ちを書いてみる
心のストレスがたまらないようにするために、気持ちを吐き出す習慣を作りましょう。
今の気持ちを文字にして書き出すと、書き出した分、心のストレスが軽減されるので、試してみてください。
アメリカ心理学会の研究では、書くことで否定的な考えから抜けだし、ポジティブに集中できるようになることが示されています。
さらに、突然やる気を失ってしまう症状(燃え尽き症候群)の予防にも役立つため、今後のスランプ予防に最適です。
参考:A new reason for keeping a diary
4-5. 勉強を自動化する
最後に、できるだけ省エネで勉強を進められるように、自動化を進めましょう。自動化とは「習慣化」のことです。
習慣化した行動は、心理的にも肉体的にも疲労を感じずに自動実行できるため、リソースを使わずに勉強できるようになります。
【習慣化の基本テクニック】
3ステップで前準備する
- ステップ1:習慣化したい行動を5W1Hで決める
- ステップ2:習慣化実現のPros/Consチャートを作る
- ステップ3:継続するための工夫を3つ決める
習慣化の具体的なやり方は「あなたが行動を習慣化したいと思った時におすすめの記事」にて解説しています。ぜひ参考にしながら、勉強を自動化していきましょう。
5. まとめ
あなたが勉強に泣くほど疲れた理由は、「張りすぎてリソースがゼロになったから」です。
今のあなたに必要なのはリソースの回復であり、3ステップで具体的な実践方法をご紹介しました。
ステップ1:土台を整える
- 休息する
- 言葉を変える
- やる気の出る神経を整える
- 目標を決める
ステップ2:落とし穴を避ける
- 嫌な気持ちになる人に近づかない
- 体がだるくなる食べ物を食べない
- 止まらなくなることをしない
- SNSを見すぎない
- ホルモンバランスと自分の関係を知っておく
ステップ3:新しい習慣を始める
- 計画を立てる
- 小まめに休息する
- 体を動かす
- 今の気持ちを書いてみる
- 勉強を自動化する
今はまだ勉強をしたくない気持ちが強くてつらいかもしれません。ですが、この3ステップを実践すると、必ず変わります。スランプを抜け出し、 “ 勉強できる自分 ” を取り戻しましょう。