「効率のいい勉強法を知りたい」という方へ、本記事では「科学的メソッドに基づいて勉強効果を倍増させるテクニック」をご紹介します。
試験の合格や資格取得を目的とした勉強で成否を分けるのは、かけた時間や努力の度合いではありません。
「限られた時間の中で、効率的な勉強法を実践できたか」によって、成功・失敗が決まります。
そのことに多くの人が気付くのは、失敗した後です。失敗したときに、自分の勉強法が間違っていたことを思い知ります。
本記事にたどり着いたあなたには、そんな経験はしてほしくないので、今からご紹介する「効率のいい勉強法」を実践してください。
本記事のポイント
- 効率のいい勉強法の具体的なテクニックがわかる
- 勉強前・勉強中・勉強後にすべきことを解説
- 実践するだけで勉強の効率が大幅にアップする
「毎日、長時間勉強しているのに、結果が出ない」
「効率的に勉強して、最小の努力で最大の成果を出したい」
…という方におすすめの内容となっています。
この解説を最後までお読みいただき、 “ 効率が良くなるポイント ” を身につけて勉強すれば、結果は必ず変わります。さっそく解説を始めましょう。
目次
1. 効率のいい勉強法 3つの重要ポイント
まず、効率のいい勉強法のベースとなる3つの重要ポイントから解説します。
- タイプ別
- 間隔効果
- シングルタスク
1-1. 効率のいい勉強法(1)タイプ別
1つめは「自分のタイプ別にやり方を変える勉強法」です。
効率のいい勉強法を実践するために、 “ 最もやってはいけないこと ” は、何だと思いますか。
答えは、他人が成功した勉強法を、自分にも合うと思い込んで真似することです。
なぜなら、人によってタイプが異なるため、どんなにスゴい人が成功した勉強法でも、あなたに合うとは限らないからです。
▼ 人によって異なる勉強タイプ
タイプ | 効率がいい勉強法 |
視覚タイプ | 写真や画像を使う |
聴覚タイプ | 聞いて覚える、音声教材やオーディオブックを使う |
運動感覚タイプ | 手を動かす(書く、単語帳をめくるなど) |
論理タイプ | 論理・理屈・仕組みからアプローチする |
口頭タイプ | 声に出して覚える、音読する |
社交的タイプ | 他の人とグループで勉強する |
単独タイプ | 一人で勉強する |
参考:11 Techniques to Improve Your Study Habits
例:英単語を覚える
例として「英単語を覚える」場合を考えてみましょう。
あなたの尊敬する先生が「紙の単語帳をめくりながら覚えるのが一番効率的」と言ったとします。しかし、先生は運動感覚タイプなので、単語帳が合っていただけかもしれません。
あなたが聴覚タイプなら何度も耳で聞いて覚えたほうが効率がいいし、論理タイプなら語源から覚えたほうが記憶に定着しやすいはずです。
自分のタイプの見つけ方
あなたが、すでにある程度の経験を重ねていれば、前述の表を見るだけで「私はこのタイプだ!」とピンとくるかもしれません。
しかし、年齢が10〜20代と若く経験が浅ければ、簡単なテストで自分のタイプを見つけましょう。
自分のタイプを見つけるテストのやり方
- 1. 簡単な勉強の題材を準備します。
(例:英単語を20個覚える) - 2. 前述の勉強タイプ表を参考にしながら複数のやり方で取り組みます。
(例:画像を見て覚える、聞いて覚える、書いて覚える、仕組みから理解する、音読する、友だちと勉強する、一人で勉強する) - 3. 最もよく勉強の成果が出たやり方はどれかチェックし、自分の勉強タイプを推測します。
(例:1週間後に覚えていた英単語の数を、やり方別に比較する)
1-2.効率のいい勉強法(2)間隔効果
2つめは「間隔効果を活用した勉強法」です。
ウィリアムズ大学の心理学者ネイト・コーネル博士の研究によって、一気に勉強するより「間隔」を空けて勉強したほうが、効率的に記憶が定着することがわかっています(Nate Kornell、2009 )。
従来、一点集中で取り組むのが良い勉強法と思われていましたが、その常識を覆すと博士は述べています。
例:1000個の英単語を覚える
「1000個の英単語を覚える」を例に考えてみましょう。
1日で1,000個覚えるのではなく、1日に「100個まで」と制限し、間隔を空けて取り組んだほうが、最終的に記憶に残る単語の数が多くなります。
具体的な取り組みの例
- 英単語を100個覚えたら英単語の勉強は終了する(他の勉強に移るのは可)。
- 24時間後に同じように100個覚える。
- 10日間繰り返して1,000個覚える。
→ 記憶に定着する確率が高くなる
注意点として、間隔を空けすぎると逆に効率が下がることもわかっています(例:1週間に1回)。間隔は「24時間」を基本として取り組んでください。
長時間勉強をがんばっているのに成果が出ない人の悪循環
「自分では必死にがんばっているつもりなのに結果が出ない」
「自分より短時間しか勉強していない友だちの方が成績がいい」
と焦っている人は、一気に集中して勉強しているせいで、悪循環になっています。
長時間勉強していないのに成績が良い友だちは、無意識のうちに間隔効果をうまく使っている可能性が高いでしょう。
意識して「間隔効果」を使いこなせば、しっかり結果を出せます。
1-3. 効率のいい勉強法(3)シングルタスク
3つめは「マルチタスクを避けシングルタスクで取り組む勉強法」です。
マルチタスクとは、複数のタスクを同時進行で行うことです。例えば「勉強しながら、スマホでSNSを見る」のはマルチタスクです。
あるいは、パソコンで動画教材を見ながら、ブラウザを立ち上げて他の勉強や仕事をするのも、マルチタスクです。
同時進行は効率が良さそうに思えますが、マルチタスクで勉強した内容は記憶力が下がることが研究で示されています(May and Elder、2018)。
効率を上げるためには、勉強だけする(=シングルタスク)ことが大切です。必ず守りましょう。
ここまでの話をまとめると、効率のいい勉強法の重要ルールは、以下の3つです。
- 自分のタイプに合うやり方をセレクトする(合わないやり方で勉強しない)
- 間隔効果を使う(一気にまとめて勉強しない)
- シングルタスクを厳守する(マルチタスクはしない)
まずは、この3つを意識するだけでも、勉強の効率は大幅アップします。今日から取り組みましょう。
そのうえで、さらに効率を上げるテクニックは、この後にご紹介していきましょう。
2. 効率のいい勉強法のテクニック(1)2つの勉強時間帯
さらに効率を上げるテクニックとして、まずは時間帯の話です。
「1日の中で、どの時間帯に勉強するのが効率がいいのか?」を見ていきましょう。
2-1. 朝6時半〜10時までのゴールデンタイム
私たちのパフォーマンスが最も良くなるのは「朝6時半〜10時」です。この時間帯は、勉強のゴールデンタイムといえます。
その理由は、集中力を高めるホルモン「コルチゾール」の産生が、ピークに達するためです。
効率のいい勉強を可能にするゴールデンタイムを、他のことに費やすのは、もったいないといえます。
参考:Lack of Concentration
補足:コルチゾールが慢性的に増えすぎるのはNG
補足ですが、コルチゾールは「ストレスホルモン」とも呼ばれます。
適切な量であれば、集中力や免疫力など体に良い影響を与えるホルモンですが、ストレスがかかると慢性的に増えすぎることがあり、増えすぎると今度は悪影響になります。
コルチゾールの増えすぎを防ぎ、適正量で集中力を高めるには、ストレスの上手な解消も大切なテクニックです。
2-2. 日常生活の一部にしやすい時間
もうひとつ、効率のいい勉強ができるのは、“日常生活の一部にしやすい時間帯”です。
勉強は毎日することが重要なので、精神的な負荷が少なく、無理しなくてもスムーズに勉強に入れる時間で習慣化するのが効率的です。
いつが良いかは人それぞれです。“あなたにとってのベスト”を考えてみてください。
ライフスタイルに合わせて、朝の通学時間を使う人、帰る前にカフェで勉強する人、夜寝る前が集中しやすい人など、いろいろあります。
自分のベストがわからないときは、試してみましょう。朝、昼、夜、すきま時間——と勉強してみて、どれが最適か、確認してください。
参考:11 Techniques to Improve Your Study Habits
3. 効率のいい勉強法のテクニック(2)勉強前にする3つのこと
“勉強をスタートする前”の準備は、勉強の効率に大きく影響します。実践してほしい3つのテクニックがこちらです。
- 勉強場所の環境を整える
- スマホをしまう
- トリガー儀式を行う
3-1. 勉強場所の環境を整える
1つめは「勉強場所の環境を整える」です。
環境次第で、勉強の効率は大きく変わることを知ってください。このポイントだけは、妥協してはいけません。
自分のパフォーマンスが最大化する最高の環境を探求し、勉強を始める前に最高の環境を整えます。
例えば、以下の条件を考えてみてください。
- 気温は?
- 湿度は?
- 気圧は?
- 服装は?
- 椅子の種類は?高さは?
- デスクの高さは?
- パソコンを置く位置は?
- 座り方/姿勢は?
- 部屋の明るさは?
- モニターの明るさは?
- 音は?(BGM/無音/ノイズキャンセリング/雑音)
- 香りは?
- 手元に置く飲み物は?
- 前日の食べ物は?
- サプリメントは?
- 睡眠時間は?
- 前日/当日の運動は?
- 入浴方法は?シャワーの温度は?
- 瞑想や呼吸法は?
環境さえ整えたら、知らず知らずのうちにスーッと勉強に集中している。そんな環境を作ることが理想です。
最初からは無理ですが、そうなることを目指して日々創意工夫すれば、身につきます。
参考:モデルケース
とはいえ「自分にとっての最適って、どんな環境なのかわからない」という方へ、集中力が高まりやすいモデルケースをご紹介しましょう。
以下を万人向けの「デフォルト設定」と捉えて、適宜自分用にカスタマイズしながら、自分専用の環境づくりにチャレンジしてみてください。
集中力が高まりやすい
モデルケース
- 室温:25度
- 湿度:40〜60%
- 照明:色温度6500KのLEDランプ
- 服装:体を締め付けない
- 姿勢:横から見たときに、耳の後ろの骨・肩・骨盤を一直線にする
参考:
Study links warm offices to fewer typing errors and higher productivity | Cornell Chronicle web_zenbun1.pdf
Comparing task performance, visual comfort and alertness under different lighting sources: an experimental study
ベネッセ教育情報サイト
3-2. スマホをしまう
2つめは「スマホをしまう」です。
あなたの集中力を奪うものはすべて遠ざけなければなりませんが、最たるものは「スマホ」です。
勉強をスタートして終えるまでは、スマホを見ない・触らないこと。これは鉄則です。
ちょっとでも見る・触るをやってしまうと、効率のいい勉強はできません。スマホにはあなたの興味関心を引く誘惑が詰まっており、それに抗って勉強するのは無理だからです。
3-3. トリガー儀式を行う
3つめは「トリガー儀式を行う」です。
トリガー儀式とは何か?といえば、ある特定の所作・行為・作業を決めておいて、勉強をスタートする引き金として行うことです。
私たちは人間ですから、やる気がある日もあれば、まったく勉強したくない日もあります。トリガー儀式は、どんな日でも勉強するきっかけを起こすテクニックです。
トリガー儀式は何でもかまいません。例えば「コーヒーを飲む」としましょう。毎日、必ず勉強の前にコーヒーを飲んでいると、やがてコーヒーを飲むだけで勉強したくなってきます。
毎日繰り返す作業です。自分にしっくりなじみ、勉強する気がよく出る儀式を試して決めましょう。
トリガー儀式の例
- 決まった香りのするウェットティッシュで顔を拭く
- 髪の毛をポニーテールにギュッと縛る
- 机をキレイに拭く
- 逆立ちする
4. 効率のいい勉強法のテクニック(3)勉強中にする3つのこと
勉強中には、次の3つのテクニックを活用してください。
- 30分〜90分に1回休憩する
- 燃料を補給する
- 音楽やアロマテラピーを利用する
4-1.集中力が切れる前に休憩する
1つめは「集中力が切れる前に休憩する」です。
“疲れたから、休む”は、効率のいい勉強法とはいえません。すでに疲れてしまった時点でパフォーマンスが落ちているからです。
正解は、“集中力が切れてパフォーマンスが落ちる前に、戦略的に休む”です。戦略的な休憩は、半永久的にパフォーマンスを維持します。
具体的には「30分〜90分に1回、5分〜10分の休憩」をしましょう。
30分がいいのか、45分がいいのか、60分がいいのか、90分がいいのか——は、自分の集中力の持続度に合わせて選んでください。個人の特性によりますし、同じ人でも日によって変わるかもしれません。
大切なのは長時間勉強し続けることではなく、集中力が切れる前に休憩することですから、自分の状態に適切な時間で休憩を挟みましょう。
ただし、90分以上は連続して勉強しないでください。どんなに集中力が高い人でも、持続時間は90分が限界といわれているからです。
4-2. 燃料を補給する
2つめは「燃料を補給する」です。
休憩時間は、自分の好きなようにリラックスして過ごしてOKですが、ひとつしてほしいのが、燃料補給です。
あなたの脳が効果的に働くための食べ物を食べましょう。
おすすめのスーパーフードはこちらです。
- 緑の葉野菜:ケール、ほうれん草、ブロッコリーなどの葉野菜には、ビタミンK、ルテイン、葉酸、ベータカロチンなどの脳に健康的な栄養素が豊富に含まれています。
- 魚:オメガ3脂肪酸の豊富な供給源です。鮭、マグロ(ツナ缶)、サバなどを食べましょう。
- ベリー:ブルーベリー、ブラックベリー、ストロベリー、ラズベリーなど鮮やかな色合いのもとであるフラボノイドが、記憶力の向上に役立ちます。
- 紅茶・コーヒー:朝の一杯のコーヒーやお茶に含まれるカフェインは、短期間の集中力を高めるだけではありません。カフェインの摂取量が多い参加者はスコアが良かったという研究や、新しい記憶を定着させるのに役立つという研究があります。
- クルミ:タンパク質と良質な脂肪の供給源であり、記憶力をアップさせる可能性があります。
参考:Foods linked to better brainpower – Harvard Health
4-3. 音楽やアロマテラピーを利用する
3つめは「音楽やアロマテラピーを利用する」です。
一部の研究では、音楽やアロマテラピーが集中力や記憶に良い影響を与えることが示されています。
ただし個人差が大きいので、あなたにとってどうか?は自分で試して判断してみてください。
例えば、音楽を聴きながら勉強したほうが効率がいい人・完全な無音のほうが効率がいい人がいます。
アロマテラピーは、ラベンダー・サンダルウッド・フランキンセンスに、勉強への効果が有望な研究がありますので、試してみると良いでしょう。
参考:11 Techniques to Improve Your Study Habits
5. 効率のいい勉強法のテクニック(4)勉強後にする2つのこと
勉強が終わったら、してほしいことが2つあります。
- 勉強日記を書く
- 睡眠を取る
5-1. 勉強日記を書く
1つめは「勉強日記を書く」です。
勉強した時間や内容を毎日記録してください。
「終わった!」と達成感とともに記録することで、「勉強=快(心地良い行動)」と脳にインプットされ、苦しまずに勉強を続けられる性質へと変わっていけます。
勉強日記は『みんチャレ』という三日坊主防止アプリを活用すると、より効果的です。
▼ みんチャレ
ドラゴン桜2の中でみんチャレが紹介された一部の話を公開中!
5人1組のチームを組んで、チャットで励まし合いながら勉強する習慣を身につけられるアプリです。
毎日チャットで勉強日記を書き、他の人に成果を見せることで、毎日サボらずに勉強を継続できます。
5-2. 睡眠を取る
2つめは「睡眠を取る」です。
「睡眠不足は成績の低下と関連する」「睡眠の質が良い学生は成績が良い」という研究データがありますので、睡眠時間は削らないでください。
睡眠時間を減らしてまで勉強するのは良くないですし、勉強が終わったからといって、夜更かしするのも避けましょう。
効率のいい勉強を叶えるためには、毎日7時間以上の睡眠時間を確保してください。
参考:Chronic sleep reduction is associated with academic achievement and study concentration in higher education students – PubMed
6. まとめ
効率のいい勉強法について、以下をご紹介しました。
効率のいい勉強法
3つの重要ルール
- 自分のタイプに合うやり方をセレクトする(合わないやり方で勉強しない)
- 間隔効果を使う(一気にまとめて勉強しない)
- シングルタスクを厳守する(マルチタスクはしない)
効率のいい2つの勉強時間帯
- 朝6時半〜10時までのゴールデンタイム
- 日常生活の一部にしやすい時間
勉強前にする3つのテクニック
- 勉強場所の環境を整える
- スマホをしまう
- トリガー儀式を行う
勉強中にする3つのテクニック
- 集中力が切れる前に休憩する
- 燃料を補給する
- 音楽やアロマテラピーを利用する
勉強後にする2つのテクニック
- 勉強日記を書く
- 睡眠を取る
これらのテクニックを活用すれば、最小限の努力で最大の勉強効果を得られるはずです。さっそく今日から試してみてください。